第2話
「つまりいま考えられる可能性は…異世界転移…とか?」
うーん、言葉に出してみるとアホっぽい。
しかし、これ見よがしに剣が刺さっていたり、森の中みたいなのにぽっかりと空いた広場が気になる。
転移した先が召還の間じゃなく、女神様が目の前にいるわけでもない。
けど、自分は突然転移してしまったのだと思ったらテンションが上がるのでそういうことにしておく。他の理由は思い浮かばないし。
まずは自分の持ち物を確認してみる。
ビニール袋の中には今夜の夕食になるはずだった弁当屋の弁当が入っている。焼肉弁当である。
食料は貴重なはずだか2~3日も置いておいたら腐っていってしまうので明日までには食べてしまおう。
あとはいつも身に付けているスマホ、財布、鍵、時計にワイヤレスイヤホン。
どれもサバイバルには役に立たなさそうだ。
アナログ時計で方角が分かる方法を探偵のコナンくんが言っていたが日本じゃないと意味ないよな?
取り敢えず試してみる。
しかし、うろ覚えだ。短針を太陽に合わせて12時と短針の間だったと思う。
丁度岩の先端方向だ。
今方角がわかったところであまり意味はないかな?
持ち物に飲料水がなかった。
ずっとここにはいられない。
飲み物を探しに行くしかない。
岩の先端が南だと仮定して真っ直ぐ進んでみよう。
この場にいてもできることはない。
剣を中段に構える。剣道の経験はないが多分中段の構えだ。
剣を持って切っ先を斜め上に上げた状態。
スマホが使えれば調べられるんだけどな。
真っ直ぐ歩くこと5分。
人工らしき道を見つけた。
「あれ!?」
野性動物に出会わなかったばかりか夜営の準備をしている集団を見つけた。4人くらいいるだろうか。
「ついてるってレベルじゃないな。」
いるかわからないけど女神様に感謝の祈りを捧げておく。
このまま黙って近づいたら強盗かなにかだと思われてしまうかもしれない。
剣は…ベルトに通しておこう。斜めにならず垂直になってしまった。専用のベルトが必要なのかな?
「おーい」
大きな声になりすぎず小さすぎない程度の声を出してみる。
お、1度で気がついてもらえた。
しかし男性らしき人物が剣を構えてしまった。
「何者だ!」
「道に迷ってしまったんです!」
我ながら嘘臭い台詞だ。
「道に?このだだっ広い平野でか?」
疑われてしまっている。なんとか信じてもらわなければ。
「道を外れずに歩いていれば1週間で街に着くようなところよ?胡散臭いわね」
仕方がない。
信用してもらえるかわからないが本当のことを言ってみよう。
信じてもらえなかっとしても街までの方角を聞いて歩いていくしかない。食べ物と飲み物はどうしよう。
「あの…信じてもらえるかわからないのですが、気が付いたらあそこの森の中にいて。」
「気が付いたらねー。」
男性が訝しげにこちらを見る。
他に嘘も言い訳は思い付かない。
「街までは1週間ぐらいなんですよね?道を教えてもらえれば歩いていきます。」
「ちょっと待って」