第1話
初投稿です。
短編になると思います。よろしくお願いします。
ある休みの日に食材を買いに行ったんだ。
ふとまばたきをして、気がついたら森の中にいた。
「どこだ…ここは」
ここはどこ?なんてリアルで言うことあるんだな。20数年生きてきたけど初めて言ったな。
こういう場合慌ててはいけない。
取り敢えず冷静に現状確認だ。
周りを見渡してみたがどうやらここは森の中にある小規模な広場のようだ。
視界の端に大きな岩が見える。
それだけだった。
耳をすましてみると遠くから鳥だか猿だかの鳴き声が聞こえる。
ここが人の管理されていない敷地だとすると野生の動物に襲われてしまうかもしれない。
何か武器になるようなものを探してみる。
何もなかった。
木の枝や石ころなんかはあったが、武器になりそうもない。
仕方がない、少しでも身を守れるように岩にのぼろう。
高さ3メートルほどの大きな岩だ。斜めに突き刺さったような感じで転がっているのでのぼる手間はあまりない。
人間の俺がのぼりやすいのだから猪や熊なんかも上がってきてしまうだろう。
そしたら飛び降りたり、一か八か体当たりでもすれば落ちてくれるかもしれない。
のぼりきった頂上になにか見慣れない物が置いてあった。
「剣の持ち手かな?」
持ち手だけだ。アニメや肖像画ぐらいでの知識しかないが西洋の剣の柄みたいだ。
徐に持ち上げてみる。
刃が伸びてくる。いや、刺さっていたのか。根本まで?
その割にはするりと抜けた。
とても軽い。鉄でできていないかもしれない。おもちゃだろうか。
しかし全長は1メートル以上はありそうだ。
これで岩の先を背にして剣を振り回せば野性動物を撃退出来るかもしれない。
ひとまず武器は手に入った。
腰を下ろして現状について考えてみる。
なんでこんなところにいるのか。
近所には山も森もない。東京から電車で2~30分のところに住んでいる。
スマホで時間を確認してみたが買い物を終えた後に確認した時から20分も経っていない。スマホには圏外のマークが出ていた。
誰かに助けを頼むこともできない。
記憶を失ってさ迷った訳じゃないな。
意識がないうちに連れ去られたわけでもないと思う。わざわざ時計の時刻をずらす意味もあまり無さそうだ。
「つまりいま考えられる可能性は…異世界転移…とか?」