始まりの花園
足りない所や、必要ない所など、どんなに些細なアドバイスでもいいので、よろしければアドバイスを頂きたいです!
家に裏口から入ると、一犀いっせいは藤花のいる台所でお茶を入れ始めた。
蓮は居間に行く前に着替えるため、自室に戻った。
少し着物の着方を迷い手が止まったが、すぐになれた手つきで袴などを着る。
着替えた後、居間に戻ろうと廊下を歩いていると、
途端背中から強い衝撃を感じる。
身体の芯に強い振動が加わり、吹き飛びそうになった。
「うお!」
「へへ! 兄貴、びっくりした?」
黒く綺麗な長い髪は朝日に照らされ微かに紫色に見える、色白で華奢な身体の妹、菫が背中に抱きついていた。
「びっくりしたよ。 それに勢い強すぎるよ。」
「ごめんごめん。 それより触ってみて感じたけどまた魔力が強くなったね」
「そんな事ないよ。」
「そんな怒んないでよー、本当にごめんなさい。」
「怒ってないって。よしよし」
蓮が頭を撫でると、菫は嬉しそうに笑った。
「さっ、ご飯たべよー!」
妹に腕をがっしり掴まれて、蓮は居間に連れて行かれた。
居間に行くと深い水底のような青色の髪を後ろでまとめた、隻腕で大柄な父の竜胆りんどうが座って短剣を手入れしていた。
長方形のテーブルを囲んで竜胆が座っている向かい側に、蓮は菫に引っ張られて隣に座った。
一犀いっせいは掛け軸がある壁側に座って、台所からお茶を入れた陶器のような茶色のカップを啜っていた。
「蓮よ、今日でお前も齢よわい12か。日に日に強くなるお前を父は誇らしく思うぞ。一ヶ月後の《鬼組手》の相手は決めたのか?」
《鬼組手》は12歳以上の鬼が自分の力を村の中で示すためのものだ。
魔物であるためか、戦いの強さで信頼を得る風習は他の村でも良くある事だった。
また、選んだ相手を基準に強さを測られる。より強き者と戦い、その戦いぶりにより多くの信頼を得られるというわけだ。
父の竜胆りんどうもまた、前任の村長だった祖父の一犀には一度も敵わなかったが、その戦いぶりや戦闘能力を認めさせて今の村長として信頼を得ていた。
「ありがとう父さん。俺は組手の相手は父さんって決めた。」
「ほう! いいだろう、麒麟児と言われるお主の力を存分にみせてみろ! 」
「カカカっ 楽しみじゃな、村長の竜胆と組手をやりたがる者はなかなか居らんからな。」
「私はどっちも応援してるね!」
「蓮と菫! 食事を運ぶの手伝って頂戴。」
「はーい!」
藤花とうかに呼ばれて2人は配膳を手伝った。
それから家族皆んなで朝食を済ました後、食器を片付けている時に。
「蓮と菫は今日の午前中は薬品の調合を手伝って頂戴ね。」
「分かった。」
「えー、兄貴がいれば私やらなくていいでしょ?」
「こういう知識は必ず必要になるわよ? 手伝ってくれるよね?」
藤花は含みのある笑みを見せると、蓮は目を逸らし、菫は取り繕うような笑顔で返事をした。
「はい! 喜んで!」
片付けを終わらせた後、蓮はまた菫に腕をがっしり掴まれて、様々な植物や生き物の一部など薬品関係の物置部屋に行った。
部屋は独特の植物やアルコールの様な匂いがする。
薄暗く、温度も低くて乾燥している感じがする。
「薬水やくすいを作るから手伝っておくれ。菫は薬を絞るの、蓮は薬草をすりつぶしておくれ。」
「はーい」
回復の薬水やくすいを作るには薬草の知識と調合する為のある程度の技術に加えて、一つの回復薬を作るために材料の量が多く、それなりの労働力を必要とする工程である。
母の藤花はこの村では薬師くすしとしての知識に優れているだけ出なく、戦いにおいても皆から慕われていた。
父の竜胆りんどう曰く、あの女とは戦いたくないと言うほどの実力と知識を兼ね備えている為、村では憧れを持つ者も多かった。
「私も早く兄貴くらい強くなりたいなー」
すりつぶした薬草を絞りながら言う。
「菫も強いよ。パワーを活かした戦い方はすごくいいと思うよ」
「でも力加減とかがうまくいかないし、魔法もすぐ爆発させちゃうからさー。もっと上手く使えるようになりたいよ。」
「ま、練習あるのみだな。」
「そうよ。貴女も才能あるんだから。 自信を持っていいのよ。」
「そうだよね! じゃあお兄様これが終わったら私の修行に付き合ってくださいね!」
「んー、今日は夜に任務があるから少しだけな。」
「ありがとうお兄様♡」
「菫、手が止まってるわよ。」
「はーい」
その後も蓮達は黙々と作業を続けていった。




