表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/14

8・飛行機は改変されたが、歴史自体は変わらず

 昭和十六(1941)年十一月二十六日、とうとう十六試艦戦は初飛行を果たした。


 初飛行を担当したテストパイロットの評価も良く、十二月中には本格的な試験が始まり新たな試験機も飛行場へと送られていくことになった。

 その間にとうとう開戦した訳だが、やはり史実と何の変りもなかった。そりゃあそうだ、俺は歴史には介入していない。あくまで戦闘機を作っているだけで、あとは電子機器などの進歩に貢献している程度でしかない。


 とはいっても、カイゼンは日本中に普及している事から生産効率や工作精度も良くなっているし、まだ陸海軍で機種の統一などという話こそ出ていないが、航空機銃については統一する動きがあり、航空機の部品類にも規格の統一が行われるようになっている。

 そのおかげで各メーカーは大忙しで、新型機開発には陸海共通の規格を適用するという事になり、その調整に大わらわだった。

 

 俺?十六試艦戦に使用するエンジンが新しいものであることを理由に、自分の設計を基準しやがれという態度で色々ヤラカしてやった。

 もちろん、それは生産性を考えての話で奇をてらって製造の難しい構造を採用したりはしていない。


 航空機銃は13mmに統一されたので陸海軍で融通できて史実の様な事にはならないだろう。ただ、ドイツ製の炸裂弾に仕込まれている信管を日本で量産するのが難しいという問題を除いては。


 これは、これまでのところ大きな問題となっていなかったが、対米開戦に当たって生産の規模が大きく異なる事から、製造目標未達、不良多発という問題が発生した。

 そこで、様々な試みが見られていたのだが、どうやら空気信管が早くもお目見えすることになるらしい。そういえば、英国でも試作されていたとか何とかで、ヒントはすでに転がっていたという事なんだろうな。


 そう言えばさっさと他の人々に任せた十四試局戦なのだが、改良型エンジンを搭載して1600馬力を達成した事から速度性能や上昇性能が大幅に向上したという。すでに610kmを出し、6000mまでの上昇に6分という記録を示している。ただ、6000mを超えると大きく性能が落ちることが今のところのネックだった。もう少し高空対応の出来る過給機の開発が必要らしい。

 と言っても、今の時点でそれは大きな問題ではなく、昭和十七(1942)年に入ると制式化の話も出てきた。


 エンジンに翠星を積む十六試艦戦の方も目標速度である640kmを超える性能を示し、海軍はその速度と零戦を相手にしても小回りこそ効かないがパワーでねじ伏せる事で勝利を収める姿を見て大喜びしている。


 ただ、海軍が喜んでいる機体は俺が提示した機銃6丁搭載型ではなく、より軽量化を求められた4丁搭載型だ。そこまでの重武装は必要ないというのが今の海軍の見解らしい。


 そして、やはりと言うか、四月にはB-25がやってきた。


 ここで架空戦記ならば制式化間近の十四試局戦や十六試艦戦が迎撃に上がって大戦果となるところなのだが、現実はそんな事にはならなかった。

 すでに電探もそれなりの性能があるし、設置もされている。


 しかし、本土空襲への備えは出来ていなかった。どうなったかは明らかだった。史実同様に市街地への被害もあり、迎撃による戦果もまるでなかった。


 やはりと言うか当然と言うか、海軍ではミッドウェー作戦の話が出ていると5月末には俺たちの耳にも入ってきた。


 その頃にはようやく20mm機銃問題が解決を見た。いや、解決ではなく決裂だ。

 結局、胴体搭載を望み、新規開発を続けていた陸軍にしびれを切らした海軍はエリコンを制式化してしまう。

 すでにいくつかの試験を行っており、短銃身型は試験が中止されており、長銃身型の採用が決まった。と言ってもエリコンは弾倉型なので弾数はそう多くない。

 零戦の場合は20mm機銃への対応はまるで考えていないので搭載はかなわず、とうとう制式化が決まった十四試局戦あらため、一式局地戦闘機に関しては、4丁搭載できるように改設計が行われることになったが、もともとそれは俺が用意していたので全く時間を掛けずに行う事が出来た。


 問題となったのは十六試艦戦だった。

 陸上から迎撃に上がる場合の対応は一式局戦に任せるとして割り切ったとしても、すでにフィリピンでB-17と対戦した零戦の戦闘記録から、いくら炸裂弾を持つとは言っても、13mmでは厳しいことが分かっていた。海上で大型機を迎え撃つ場合、その主役は艦戦なので、ここはやはり問題が残っている。

 俺としても鉄工所(グ ラ マ ン)の艦戦が今後さらに防弾に力を入れてきた場合、やはり20mmは必要と考えていたので、当然、史実の九九式20mm機銃に対応した設計も持っていた。

 では、四丁の20mmにするのかと言うと、そこで論争が起きることになる。2丁づつ13mmと20mmを混載する。13mm4丁に20mm2丁追加などという話まで出てきた。

 そうした混乱が起きている最中に、十六試艦戦も正式に二式艦上戦闘機として制式化されることが決まった。

 一式局戦が雷電、二式艦戦が烈風と名付けられるのは少し後の話になる。

 そして、二式艦戦一一型の武装は13mm機銃4丁型と決まっていた。やはり、軽いのが良いんだね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ