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7・俺、幻を作り出す

 十六試艦戦の試作は超スピードで行われた。というのも理由は二つ。


 まず一つ目は昭和十六(1941)年に入ると日米関係の悪化は顕著であり、よほどのことが無い限りは衝突間違いなしと誰の目にも明らかだった。

 よほどの楽観主義者か譲歩案を持っていない限り、好転するとは思えないところまで来ている。


 そうなれば、確かに零戦の量産も必要なのだが、次期艦戦の試作も早める必要がある。


 というのも、実はこの頃すでに米国では2000馬力級エンジンであるR2800が完成しており、それを搭載した戦闘機の試作が行われていた。

 日本では普及が早かったF6Fが有名だが、実はF4Uは1940年5月に初飛行しており、実用化に難航しなければ1942年初めから半ばには空母に積まれるところだった。

 開発難航という情報を隠して、俺は2000馬力級艦戦を米国が開発しており、それは十六試艦戦の早期実用化無くしては対抗不能だと実しやかに海軍に伝えていた。


 海軍も情報自体は知っていたようで、より一層危機感を持つことになる。


 考えても見て欲しい。いくらこの世界の零戦が俺の介入によって弱点を克服したとはいえ、搭載するエンジンは最大でも1400馬力かそこら、空力的に優れていたとしても600km弱の速度が出せれば良い方で、2000馬力級戦闘機がその気になれば逃げきれるわけが無い。

 俺は二重の意味で海軍に恐怖を植え付けることに成功した。


 まず一つは、零戦がいくら優れた機体であろうとも、確実に日本側にも損害は蓄積していく。シナ軍機を100機墜とすベテランであっても、米海軍を相手にすれば20機も墜とせば自身も墜とされる危険がある事を説いた。

 工業力を考えれば、その数値は日本側の100人のベテランが払拭してもなお、米国には強力な戦闘機群を揃えて雲霞の如く攻め寄せてくる力がある訳だ。

 ならば、その対策には、ベテランでなければ相手の2000馬力級戦闘機を相手に出来ない零戦ではなく、十分な教育を受けた多くの搭乗員が互角程度に戦える十六試艦戦を揃えなければ、戦争になった時に勝ち目はゼロだと主張した。

 

 海軍はそこに精神論で吠えるアホも居た。


「では、九六艦戦で零戦に勝てる搭乗員はどれ程いるのですか?2000馬力ある米艦戦に勝てる腕を持つのは、その数えるばかりの人たちだけで、後の搭乗員は再来年を見ずに墜とされる事になるでしょう」


 そう言い放ってやった。


「お前の作った零戦というのはそんな旧式機だと言いたいのか!」


 と、アホがさらに吠えたが


「いえ。十六試艦戦が零戦を遥かに凌駕する戦闘機だと言っているだけです。十六試艦戦に比せば、零戦など過去の機体」


 自信をもってアホを見据えてやったら二の句が継げないんでやんの。


 結果、早急な試作という話と相成った。



 そして、俺が恐れているのはミッドウェーの惨劇だ。


 あれで海軍のアホはさらにアホになる。見るべきものより目先の成果を目指しだす。史実の烈風の悲劇もそこにあったのではと俺は見ている。

 もし、ミッドウェー作戦があと数か月遅かったり、赤城、加賀が生き残っていれば、少なくとも翼面荷重150で話は推移したのではないかと。


 130を求めたのは、確かに旋回半径もあるが、なによりSTOL性能ではなかったか。


 というのも、日本の空母というのは非常に幅が狭い。その分高速ではあるのだが。


 その高速正規空母や巨大空母を一気に喪失し、25ノットそこらの改造空母や1万トンそこそこの小型空母で急場を凌ぐことになった。その後に量産するのも飛龍をベースとした雲竜型に過ぎない。


 つまり、改造空母では発艦能力が疑わしく、量産空母では発艦距離が確保できない恐れが出ていた。しかも、マトモなカタパルトも作れないというのでは、発艦距離が長くなる高翼面荷重の機体では運用が厳しくなる。

 つまり、新型機に求める新世代の性能よりも、大馬力を積んでなおフワッと発艦できる欲張りな機体であってほしかったのだろう。


 そんな事もあって、カタパルトの実用化も一応道筋は付けておいた。英国の油圧カタパルトの構造書の日本語訳を海軍の艦政本部?だったか、軍艦の装備機材を開発している部署に渡るように手配している。これで少なくとも流星あたり、6tの機体を射出することは可能になるはずだ。


 それでも、カタパルトの実用化と装備はどう頑張ってもあと2,3年はかかるだろうから、来年6月に赤城と加賀を喪失した場合、海軍の連中は翼面荷重を下げろと言い出しかねん。十六試艦戦が実用化する頃にはカタパルトの実用も可能だろうが、どうせそんな先の事など連中が考えるわけが無い。

 そう、確実に来年6月までに試験を開始しておいて、連中には後戻りできない現実を突きつける必要がある。いや、そうしておくべきだ。


 そのため、設計は俺だけでさっさと片付けている。後は作るだけだ。


 十六試艦戦に搭載する翠星は史実のハ43より多少大型化しており直径が1260mmある。それを踏まえて十四試局戦と同じ手法で側面集中排気を採用して機体を細くし、エンジン以後を絞っていくFw190のようなスタイルとなっている。完全に和製の熊猫(F 8 F)だ。翼は横幅は無いが縦幅がある英国機に近いイメージになった。そう言う意味では、ミニシーフューリーかな?


 ただ、問題が無いわけではない。何時になったら20mm機銃が決まるんだ?またまた米国式に13mmを翼に6丁積むことになりそうだ。

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