こんな私でもいいですか・・・?
桜の木も緑色に代わり夏の準備が始まるころ、一人の女性は新しい場所で一人暮らしを始めていた。
「今日からお世話になります、大森智夏です。」
「よろしくねー。」「よろしく。」
皆に迎えられた智夏。田舎から親元を離れて一人暮らしを始めた新人社会人。今日から新しい仕事に就くことになった。
「よし、それじゃあさっそく仕事に入ってもらうよ。ここが君の机ね。仕事のことは滝口さんに聞いていろいろ教えてもらってね。」
「滝口です。教育係に任命されたのでわからないことは私に聞いて頂戴ね。」
「はい、よろしくお願いします。」
仕事初日、智夏はさっそくチーム内での仕事に入る。
「PCはどれくらいできる?」
「えっと、PC久しぶりで・・・でも、オフィスはある程度。」
「そう、じゃあまずここからね。」
仕事をしていくとあっという間にお昼休みの時間になってしまった。智夏はお弁当を持って社員食堂へ向かう。その途中、誰かに声をかけられた。振り向いてみると二人の女性社員がたっていた。
「こんにちは大森さん、これからお昼?もしよかったら私たちと一緒に食べない?」
「は、はい、ぜひ!」
三人は食堂の中に入り席についてそれぞれの昼食を広げる。
「こんなに若い子が入ってくるの久々ね!私は同じ部署の藤咲、こっちは私の友人の小森さん。小森さんも同じ部署よ。」
「よろしくね。大森さん、それって自分で作ってきたの?」
「はい、料理が好きで。」
「へー!おいしそう!よかったら交換しない?」
「あ、わたしも!」
「は、はい!」
にぎわう食堂。三人が会話を楽しんでいるとあっという間に午後の業務開始時刻が迫っていた。
「あ、もうこんな時間・・・そろそろ戻らないと。大森さん、午後も頑張ろうね。」
「はい!」
そして三人は食堂を後にした。午後も変わらず智夏は業務をこなしていく。そして何とか一日目が終了した。
「初日はこれで終わりよ。また明日新しいこと覚えてもらうからね。」
「はい!お疲れさまでした。」
智夏は帰路へつく。電車に揺られ最寄り駅に着くと仕事帰りの人々で駅はにぎわっていた。コンビニによって行く人、仲間と飲みに行く人、まっすぐ家に帰る人、いろんな方向へ歩いていく。その人ごみの中を歩いていると智夏のカバンから一枚のハンカチが落ちた。それに気づかないまま智夏は新居へと帰っていった。
道に落ちたハンカチは・・・