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[第一章完結] 揺り籠の烙印者  作者:
第二章 ウィリディスの冒険
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第六話 予期せぬ客人

 第三制トキタスア機構国、それがトキタスアの正式名称である。しかしまあ長いので、公文書などを除いては単にトキタスアと呼称するのが慣例だ。


 さて、政治都市フォルセティスにおいて現在、トキタスアは客人との会合を行っていた。

 いきなりやって来た失礼な客人を、トキタスアは最大限の礼と待遇を以て迎え入れた。このような異例の対応を取るのは、それもそのはず、来訪した客人が天下三国の一つを統べるハイ=オビリス族であるからだ。


 ハイ=オビリス族。俗に蔑称として冷人と呼ばれるその人種には、心が無い。

 そう、魔族や獣人族など数ある人類種のなかで最も意味が分からない種族だ。

 激しい感情や静かな感情、理性、一人一人が生まれながらに持っているはずの欲求やあるいは無意識。しかしそれらをハイ=オビリス族は持ち合わせていない。得体のしれぬ“アイディーの意志”と彼らが呼ぶものにただ従うのみである。

 忠誠、献身……それらの言葉とは違う、あたかも彼らすべてがアイディ―の意志の身体であるかのように生きている。思考し判断し言葉を交わす手足が如く。

 分かりやすく例えるならば、”手足は痛覚を伝えても悲しみを()()はしない”。ハイ=オビリス族はそのようなものである。


 彼らはイリニポトスに住んでいる。

 イリニポトスにおいて社会を秩序付けるのは国ではなく、個人でもない。アイディーの意志が率いるハイ=オビリス族は全体で一つの生命体であり、一つで社会の根幹を構成していた。多人族から成る隷属国を幾つも抱える八大陸最大の勢力は、人類全てを平和的に管理し生存に健全な環境を保つことを御旗として掲げている機関だった。


 天下三国が一角のイリニポトス――正確には国ではないが――とトキタスアの間には、移動や通商など最低限の国交すらない。そもそもイリニポトスは()()()()()()()を一切認めていないのである。すべての国がイリニポトスに組し隷属することをアイディーの意志は長年望んでいた。

 国力の差はまさしく天と地。その上自らの国だけが人類の正しい社会秩序であるとーーそのような、アレヴターウェンの最も嫌う独善的な思想を平然と押し付けてくるのがハイ=オビリス族であった。






 フォルセティスの端に位置する国立美術館、その敷地内にある国見の塔の最上階、天空の間。全方位の国土を望むことが出来る、トキタスアにて客人をもてなす最高位の部屋にアレヴターウェンはいた。


 体面に座すは、件のハイ=オビリス族である。


 アレヴターウェン個人がハイ=オビリス族と関わるのは此度(こたび)が初めてではない。イリニポトスへは幾度も訪れたことがあった。そして訪れる度に、アレヴターウェンはこの人種に対する警戒の念を重ねて抱いていた。


 彼が会合に呼ばれたのは、ハイ=オビリス族との面識があり、尚且つ彼らと会話をしても精神に異常をきたさない性質を持ち合わせているからである。

 なぜトキタスアへ来たのか、それを聞き出し穏便にお帰り頂くこと。それらはすべてアレヴターウェンの双肩に懸かっていた。


 心が無いからこそハイ=オビリス族は心を弄ぶ術に長けている。心に関わり踏み込んで征服することが、物事を都合よく進めるために最も効率的な手段であると知っていた。

 例えば芸術という心で評価するものの価値を彼らは、人への影響力で推し量る。どのような人間に感銘を与えるのか、その程度はどれほどか。その効果は汎用性を持つか。そのようにしか扱わない。


 彼らは時にひとつのことを執拗に詰問する。イライラと苛立ちを覚えない人間は少ないし拷問だと捉える人間もいる。

 また、理解されたい。優位にいたい。堕落したい。そんな人の心を彼らは探求し利用する。その人の生き甲斐、大切なもの、知られたが最後心身の破滅は免れない。

 人間の心理操作と実験には人類一造詣が深く、心の機微や感情の強弱への追及は隠すことがない。ハイ=オビリス族は世界の心理研究の分野をほぼすべて統括しており、研究者への資金提供も惜しまないため、研究成果は日進月歩を積み上げ、彼らと言葉を交わすことはまさしく自殺行為とされていた。

 決して、彼らの口にする言葉を深く考えてはいけない。真に受けてもいけない。高い確率で精神の不均衡または破滅をもたらす、というのは実際に彼らと関わりを持った者が抱く共通認識である。






 アイディーの意志とは何か、それは知っていても言葉にしてはいけない存在であるという。アレヴターウェンは、それが人類と似た何かだと聞いたことがあった。


「またお会いすることが叶うのならば、歓迎の支度をさせていただきたかった」


 憂い気に、しかし堂々とアレヴターウェンは言霊を発する。普段より意識して高めに紡がれたその声は、空気をよく通る。いずれの国の音色さえ、アレヴターウェンの声には(かな)うまいと評されるのも必然である。

 もしもこの部屋に居るのがハイ=オビリス族でなかったならば、アレヴターウェンの伏せられた目を彩る睫毛の揺らぎすら、部屋の中に風をそよがせているような心地がしただろう。


 深く腰を下ろしているにも関わらず、威圧感をいだかせず、また人を惹き付ける魅惑を振りまくアレヴターウェン。少しの動きで長い深緑の御髪をさらりと(なび)かせる、清廉な彼はグリーンベール家の当主としてこの場に座していた。


 天空の清純な空気が満ちた空間。そこは美しきものだけが許された聖域と言っても良いかもしれない。


 その中にいるのはたった四人の人間だった。


 現代において至高の美男と評される尊顔と、実戦上で培われ調律の整った肉体を持つアレヴターウェン。深き森の緑葉を写し取ったような彼の深緑の御髪は毛先の一つ一つまで(つや)やかであり、軽く取り付けられた結紐がいつすり落ちてしまうか不安になるほどである。

 髪と同色の瞳を覗き込もうものならば、優美な外見の雰囲気とは裏腹のただただ力強い眼差しに魂を撃ち抜かれることであろう。

 これ程の容姿であれば、広く市井に知られている"美貌でドラゴンを打ち落とした"などというトンデモ流言を信じる者が出るのも無理はない。

 加えてアレヴターウェンは、よりしなやかに、と己の躯体を良く魅せる所作を心得ていた。

 爪の先から顔の筋ひとつまで、彼の意識は途切れ崩れることがない。アレヴターウェンは生まれもった容姿という武器を最大限に磨き上げ、魅了の力として使っているのだ。

 漆黒の南洋領軍正装という格式ばった格好も彼には似合いすぎている。仕事中は普段着のように着こなしているため、アレヴターウェンが堅苦しい服を好まないなどという真実に気づく者は少なかった。


 そして――中机を介し彼に向かい合う三名。架空戦記の女神が転臨したかと見惑う姿を持ち、身体の性別を勘ぐることすら戸惑わせるハイ=オビリス族。

 彼らの容姿が総じて整っていることはなんということもない、アイディーの意志による個体厳選の成果である。生前・生後・生育後の検査において理想的な個体のみを残し、その後に必要な調整を加えて生体機能を拡張させる。

 そのためにーー極々一部の者たちから、"アイディーの意志は素晴らしい芸術家だ"と謎の信仰を持たれたりもしている。


 さて、女や男という呼称など些事とさせ、人類を超越した美の化身たちが集い、太陽の残照のようにそこにあるだけで人の目を惹き付けるような空間はしかし、誰の目にも触れられることはなかった。


 ハイ=オビリス族と言葉を交わして心を狂わせた人間の数は計り知れない。よって一般の人間にとっては恐怖の対象であり、強く揺らがぬ心のよりどころを持つ人間以外では眼前にすることすら難しかった。

 恐怖と無知から、冷人には性別もない、などと言われる程である。

 そのような諸事情がある中で、アレヴターウェンは役目に心を任せることで彼らに感情を晒さずに話が出来た。たいせつな物は胸の奥深くへしまい込むことが得意であったためである。

 トキタスアにおいてハイ=オビリス族の相手は彼と合わせてあと数人にしか務まらない。だからこそ、アレヴターウェンは今ここに一人きりで対峙しているのであった。


「アレヴターウェン様ったら、お忙しいのによく顔を見せにいらっしゃるのですもの。ご機嫌をお伺いするぐらいよろしいではございません?」

「デナリウス、ふざけた話し方をやめろと言っているのに」


 ……このように、ハイ=オビリス族はだいぶ砕けた話し方をするのである。まあ、これに釣られて隙を見せたら”終わり”なわけだ。

 アレヴターウェンにすれば、彼らは効率的で、正直なところ他の人間たちよりも会合などでは話し易い相手であるが、一人で相手をさせられるのはほとほと困ったことである。主に精神的なストレスの面で。濃色魔族当主位への神格化と妄信は歯止めを掛けねば、いい加減こちらの許容を超えることは明白であった。そもそもアレヴターウェンは共通語が好きではないのだ。

 能力を周囲から認められているのは有り難いことだが、この身ひとつになんでも任せられては()つモノも()たなくなる。せめて補佐官ぐらいは傍においてほしいと思うアレヴターウェンであった。


「相変わらず仲のよろしいようですね、貴殿方に友好的でない人々にも見せて差し上げたい」

「……はて? “人として当たり前のもの”と彼らが勘違いしているものがないだけで、我々を人ではないと言う人もございましょう? わざわざ“我々は人類だ”と教えてあげる気すら起こりませんですのよ」


 主に話をするのはデナリウスという真ん中に座ったハイ=オビリス族、端の二人の名前はカルクスとオボロスであった。


「そうですね、魔族である私も貴殿方もただの人間であるというのに――」


 アレヴターウェンは言葉を続けようとするが、カルクスは、デナリウスに目配せをしてから会話を遮った。これまでの観察の結果から、アレヴターウェンと会話をいくら続けたところで得るものが無いことは分かっていた。


「この方は無駄話が多いから一々応えなくていいよ。エイラクから聞いただろう。さあアレヴターウェン、本題に入ろう」

「ごめんあそばせ、ですの」


 決められた言葉を話すだけの綺麗なお人形が、まるで生きているかのように振舞っている、この不気味さは実際に面と向かわなくては感じられない。

 表情はすべて今まで集積した情報の中から、然るべきものを瞬時に選び取っているだけ。彼らの口から発せられる言葉も同様だ。

 彼らがよく表情に浮かべる“友好の笑み”は、いつも通りの一寸も変わらぬ笑みだ。環境、場合、機嫌、時々における人の表情の変化に合わせることも可能であるにも関わらず、彼らは故意に修正しない。

 それに対して相手が恐怖を抱くと知っているからだ。理解できないことと自然でないことに抱く本能的な畏怖心を材料に有利な交渉を形成する。彼らの不気味さは常套的な戦略手段であることを、アレヴターウェンは重々承知していた。

 だからこそ、背筋を走る嫌悪感を無視して悠々とこの場にいられるのである。


 本題、の口火を切ったのはやはりデナリウスであった。


「自然主義協会から、アイディーの意志へとお手紙が届きましたの」


 自然主義協会、という名称から瞬時にこの突撃訪問の意図を察したアレヴターウェンは、刹那の間にこの後の対応を決断した。


「アレヴターウェン様は、アイディーの意志の大願である”世界人類の平和”に協力して下さるものね。共にこの世界に生きる人間として当然のことですわ」

「はい、当然のことと承知しております。我らトキタスアの力がアイディーの意志のお役に立つのならば、喜んで馳せ参じる所存です」

「火急の用であっても、友人を呼びつけることをアイディーの意志は好んでおりませんの。でも……今回の会合では別の方とお会いできると思っていましたのよ」

「おや、私の顔は見飽きてしまわれましたか。それとも交渉には適さないと?」


 デナリウスは笑った。


「アイディーの意志は交渉相手として貴方をたいへん評価していらっしゃいます。今の言葉は単なる我々の、心象ですわ。貴方が動かねば、この国は動かないでしょう。逆に動いたならば、後戻りは利かなくなる。よーくお考えなさってね」


 アレヴターウェンは突き刺さる六つの目に映らぬよう、胸中でのみ、一呼吸を置いた。


「エインスィーフを名乗っていた反国制主義派の残党が、反権威主義者を集めて自然主義協会を乗っ取ったことはトキタスアでも知られています」

「あら、ご存知でしたの」


 口元を手のひらで覆うデナリウスは今日一ワザとらしかった。

 自然主義協会とは、人類の()()()繁栄と平和を掲げる団体である。かつてはアイディーの意志とも対立していた世界的組織であったが、今や名を知る者ですら希少なほどに弱体化していた。


「反権威主義者に政治はできません。政治は彼らの役割ではない。彼らは政治を行う者たちのために存在するのです。しかし、声は大きい。これから自然主義協会にくみするような国や組織があるならば、時期に人類の国制による秩序統制への被害は顕在化をするでしょう」

「つまり、トキタスアが与することはないとおっしゃいますの?」

「ありえませんね、アステラビュールですらそんなことはしない。我が国が自然主義協会に与する、あるいは如何なる形でも支援をすることはありません」


 アレヴターウェンはトキタスアの姿勢を明確に表明した。


「アステラビュールはトキタスアの反魔族組織でしたね、お可哀そうに、早晩アレヴターウェン様に摘まれる魂たちでございましょう」

「私がですか?」

「アイディーの意志は先明でございますもの」


 このデナリウスの言い方には、含みを感じさせるものがあった。つまりは、アレヴターウェンに反魔族組織を排除しろと言っているのである。


「悪逆な犯罪、惨忍な人間、暴虐な宗教、残虐な思想、不必要な善意。そのすべてをアイディーの意志は滅ぼしますわ」


 特に――戦争や紛争などと言う愚かな所業を引き起こす低能者などはアイディー意志の怒りを直に身に受けることとなる。アイディーの意志こそ真の人類の守護者でございますゆえに。

 何食わぬ顔でデナリウスが口にするのは、アレヴターウェンの神経を逆なでする言葉である。今生きている人間の価値観や気持ちを考慮せず、思いやりもなく思想を押し付けてくる傲慢な姿勢がにじみ出ている。

 そのせいで反発に合い、天下三国同士で争うような羽目になっているというのに、反省の態度も見られない。一体何のための心理研究かとアレヴターウェンがアイディーの意志に対して、力不足を感じるのはこういうところである。


「いかなる国にも属さない個人の善意組織。それが自然主義協会だった。だからこそ、滅ぼさなくてはならない……そうですね」

「今の自然主義協会には“対話に応ずる知能も価値もない”とアイディーの意志は結論を出していらっしゃいます。実証を持った力ある結論を。トキタスアもその点はご理解いただいて嬉しいですわ」

「害意あるものに対して対策を取ることは生物として然るべきことですからね」


 こちらが知っていると思わされていること、知らないとも知れないことがどれだけあるだろう。炎は物質ではなく現象である、そのようなことを知らないことがどれほど民へ影響を与えているのか。

 人道を揺るがすようなこの世の真実。重要な情報を、アイディーの意志やハイ=オビリス族は間違いなく知っている。だからこそ、彼らの”敵にならない”ことが重要なのだ。


 ハイ=オビリス族に振り回され、予定通りにいかない予定、こんな会合に時間を取られているせいで、他のすべきことがまた進まなくなる。

 本当ならば、今頃は南洋領において領営病院の関係会議があったはずなのに流れてしまった。それもすべて彼らがやってきて、アレヴターウェンが会合へと缶詰めにされているからである。

 少し話して、ハイ=オビリス族がアイディーの意志に確認を取る。その繰り返しを彼らが満足するまで続けなくてはならない。


 誰かがするべき役目ならアレヴターウェンに選択肢など初めからない。しかし、アレヴターウェンは焦らず、諦めず、思考を止めることがない。いつ何をどうすればいいのか。どうせ、正解なんてないのだから。

 彼には不屈の意志があった。自身の願いのために、できうる限りを尽くすという強い意志が。

 それは信用できない人間の言うことを聞かなければならない苦痛さえも、乗り越えることができるほど強固であった。


「それは、相手が守るべきトキタスアの民であっても同様でいらっしゃるの?」

「その者が私情によって国家へと不利益をもたらすと言うのなら、グリーンベールであれラスピエンジであれ看過することは赦されません。特に有害人物であるのなら、所属にとかくされることはありません。国家の平穏こそ、トキタスアにおいての最高事項ですから」


「ねえ、デナリウス。わたくしもアレヴターウェン様とお話がしたいのだけど、いいかしら」


 やおら、ハイ=オビリス族の一人、オボロスはここへ来て初めて口を開いた。突然のことで、アレヴターウェンの手先が一瞬ピクリと震えたが、反応としてはそれだけで済んだ。


「魔法には、人の頭から記憶を消し去る術があるのだとか。アイディーの意志は興味を持っています。とても高度で、珍しく、不可逆的な禁忌の魔法」

「記憶……寡聞にして存じ上げないが、調査をするべきですか」

「いいえ。でも、アレヴターウェン様が知らないというなら、()()()()()()にしてもいいわよ」

「なんとも不確定な事象の下で、こちらの希望を決めつけられるのは愉快ではありませんね」


 不満げな表情をしてみせるアレヴターウェンは、身を乗り出して主張した。


「私は十三の頃より身も心も、()()()()()に捧げております。その証は正しくこの胸に深く刻まれている。だからこそ、アイディーの意志も信頼を下さっているのでしょう?」

「ええ、もちろん」


「トキタスアは常に次の時代の準備をしています。たとえ“十三の月の時代“が再び訪れようとも、トキタスアは乗り遅れることがない。時代の名が変わることを我々は恐れませんので――ですから、これから先に何が起きようとも、トキタスアがアイディーの意志の信頼を裏切ることは決してありません」


 アレヴターウェンがあからさまに”魔法に関する”論点をずらしたことに対して、オボロスは反応をしなかった。また元のように口を閉ざして友好の笑みを浮かべている。もしかすると、アレヴターウェンは彼らの目算通りの返答をしたのかもしれない。

 十三の月の時代とは、お伽噺に出てくる月の神が人を統治した物語に由来する。今の言は、それと合わせてアイディーの意思は月にいるという噂をもじったものである。


「そのようなお心でいらっしゃったのね。理解しました。トキタスアの意志を確認できて幸運でしたわ。では、こちらの手段でアイディーの意志へ確認を取りますから、一刻程お待ちなさってね?」


 オボロスの音頭で、会合に一区切りがついた。


「分かりました。別室にて待機しておきます」


 毅然と立ち上がり、静かに控えの間に下がるアレヴターウェンを三人は最後まで見送った。

 微動だにせず、友好の笑みを浮かべて。

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