表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

諸刃の剣は二人たち 共通① 駆ける者、駆けられる者

私はとある機密組織に所属している。

いまは住み込みで普通の住民に紛れながら

街に悪党が現れないか見張っている最中。


「ふんふん~」

どこからか鼻唄が聴こえた。


キセルに着物、無精髭の大人の男。


あれは…売れっ子小説家の吉松先生じゃないですかー!


「吉松先生!昨日発売だった新作の上巻読みましたよ!片想いの相手と心中したヒロインの母親~とか~も~

…今日かえったら下巻読みます!」

「そりゃどうも~」

「執筆頑張ってください!」

「ああ、またな~」


「またあの腑抜け野郎と話していたのか」

「…お兄ちゃんには関係ないわ!

それに偉大な先生よ!?」


「どうせカタギの仕事なんてしてないだろ

小説家の裏ではヤバイことやってるに違いない」

「いくらギャンブルで詐欺をしていそうな雰囲気だからって失礼よ」


「そこまでは言っていないがな…

お前が人気だと言うから調べてみたが、俺の好きな推理小説家・狂魔四郎より売れてないぞ」


「センパーイと、妹ちゃーんティッシュどーぞー」

「うわっ」


「なんで嫌そうな顔してんですかセンパーイ」

「人の妹に近寄るな話しかけるな副業するな」


「やだなーべつに掛け持ち禁止じゃないしむしろコレが副業なんですよー」


「あの…名前何さんでした?」

彼は兄の部下、私とは部署が違うし、兄がなにも言わないからまだ名前をしらなかった。


「名乗るほどのもんじゃな…」

「キメ顔すんなうざい。

おまえ遅刻はするし、よくクビにならないな

それに携帯の電源はちゃんと入れろ」

「すんませーん。電源は入れてるけど携帯ゲームしてたらいつのまにか着信切れてました」


―――


「様子はどうだ」

男は通信器を使い、部下と連絡を取る。

「ターゲットとおぼしき女は出て来ませーん」

部下は通信器のアンテナを持ちながら話す。

「アンテナを持つな」

上司の男は部下のその不真面目な態度に不機嫌になった。


「なーんで影像無いのにわかるんですか千里眼ですか?」


「パン買ってきたよお兄ちゃん」


彼等と私はいわゆるスパイ。


―――


『はぁ…今日も遅くなっちゃった』

私は切れかけていて明るさが心許ない街灯でぼんやりと照された道を、スタスタと歩く。


あまり物欲がなかった私だけれど、最近になってすごくやりたい事ができた。

だから私は約一週間前から、放課後に家の近くのカフェで短期間のバイトをしている。

いくら近いと行っても暗い夜道を歩くのは怖い。

けれどようやく期限がきて、目標額も貯まったので明日終るのだ。


『あと一日~!』

嬉しさのあまり叫んでしまった。

人に見られていたら恥ずかしい、と思いながらキョロりと辺りを見る。

近くには誰もいないので私は安堵した。


しかし、誰もいなかったはずの背後からカツっと近くから靴音が聞こえてきた。


『うわあああお化け!!』

『おい』


いや人間の男の声だ。


『誰!?』

『「お前には我等の拠点へ来てもらう』

『なんでよ!?』


こうして私は謎の組織に連れ去られた。


「しかし本当によく似てますねー」

「ああ、顔や髪まで母親にソックリだ」

「年齢、容姿はデータ通り。身長や体重は年数の間増減有り。」

「よし、ターゲットはあの少年に間違いない」


その組織こそ兄が所属している場所だった。なぜかはわからないが組織で優秀な兄の妹だからということで私も強制的に入れられてしまったのだ。


「はあ……」

「まだおこってるのか」

「いやいや普通こんな組織に入らせられたら怒るでしょ先輩~。まともな恋もできないんすから」


うんそうそう。そうなんだよね!!

スパイしてたら恋なんてできないんだよ!!


だって敵がいつどこにいるかわからないし、もしかしたら恋した相手が敵の可能性もある。


「恋なんてしなくていい。金ならあるんだ生活だってそこそこ贅沢だろ」

「金があっても、ねー」

「はい」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ