不良娘は 共通①
「ふぁ…」
染めた金髪を上げてクリップで止めた。
玄関でヒールの高いローファーを履き、鏡の前でブレザーのネクタイをリボン結びにアレンジ。
「雅代さん!いいかげんになさい!」
朝から母がキレる。
自分のダサい名前を呼ばれるのが一番うざい。
あたしの家は古い時代からの名家、厳格でお堅い。
きめつけられるのにうんざりしたあたしはわざと名門校の制服を着崩して、親に、家に反発している。
狙いは金持ち学校で退学をくらって家に恥をかかせるという最低な事だ。
こうするまでもなく家を出ていけば済む話なのだが、屋敷の至るところに監視がいる。
何度か家出をこころみるも連れ戻されてしまうばかりだ。
「菊川!!」
当校早々に止められるのはいつものことだ。
今日も七三眼鏡の副会長は真面目そうである。
「学校には普通の制服を来てこいと言ってるだろう!!」
「そんなにガミガミやってるハゲちゃうよ加藤」
ちゃらちゃらとした教師が副会長を黙らせた。
さすが、悪い子の救世主、大平先生だ。
「おはよーセンセイ」
「ああオハヨ、今日も可愛いね」
大平先生はアイドル気取りでパチリとウインクした。
「やだー皆に言ってるくせにー!」
もちろん女子に人気がある人だがあたしが先生に照れることはない。
入学当初は少しだけコロッとなりそうだったけど。