好きの理由
小説だけでなく、シナリオも書いてます。
しかし、シナリオの基礎も小説同様に皆無です。
そこで、ここに投稿してシナリオの基礎的な書き方に関するご指摘を頂戴したい、と思いました。
* 背景:教室(夕方)
* 立ち絵:小夜(普通)
小夜「あの…、衛君?それで、話って?」
衛「は、はい!話!そうです!夏目さんに、大切な話、があって…。」
* 立ち絵:小夜(困り顔)
小夜「…?」
二人きりの教室。相手は俺が告白することも許されないような学園一の美少女、夏目小夜。お勉強もでき、優しくて純粋な人柄で、友人もたくさんいる。将棋部の主将で全国大会にも出場を果たしている超秀才だ…。
衛「そ、その!高校生活も最後だしさ!だから…。」
小夜「…だから?」
大きくて綺麗な瞳が、俯く俺を覗き込んでくる…。
―どうしても、言い出せない。呼び出して置いて言うのも何だが、俺と彼女とでは全く釣り合わない…。男友達の
男友達「絶対後悔するって!男なら当たって砕けろ、だろ?」
なんて言葉に流されここまでしてしまったが…、どう考えても、幸せなビジョンは浮かばない…。正直、砕けたくないし…。
小夜「衛君、頑張って!」
遂に、告白相手に慰められてしまった…。もう死にたい。そして、小夜さんマジ天使…。
…ええい!こうなれば自棄よ!生き恥を晒すくらいなら、いっそここで小夜さんに殺ってもらおう!
衛「夏目小夜さん!」
* 立ち絵:小夜(驚愕)
小夜「は、はい!」
衛「ずっと前から好きでした!俺と、付き合って下さい!」
…やってしまった。心臓が破裂しそうなほどに脈打つ。
* 立ち絵:小夜(照れ笑い)
小夜「…私も、ずっと前から衛君が好きでした。こちらこそ、よろしくお願いします!」
衛「ああ、だよねぇ?俺なんかに告白されても困るよね?ごめ…。…え?」
…待て。何だこれは?
小夜「あ、あの?ちゃんと聞いてました?私の返事?」
衛「ご、ごめん!…その、もう一回、お願いできる?俺の耳、鼓膜が破れて幻聴しか聞こえなくなってるみたいだらさ!」
* 立ち絵:小夜(照れ笑い)
小夜「なんですか?それ?…じゃあ、とりあえずもう一度。…私も、ずっと前から衛君が好きでした。こちらこそ、よろしくお願いします。」
※ハキハキとゆっくりした語調で
衛「嘘、だろ?」
小夜「本当です♪」※楽しげに
衛「ごめん。失礼かもしれないけど…、俺なんかのどこが良いの?」
小夜「ど、どこって!…雨の日に、道路際に捨てられた子猫に傘を進呈して、立ち去ろうとしたけど、やっぱり心配になって引き返して、結局子猫を拾っちゃうとこ、ですかね?」
なんかメチャクチャ恥ずかしい所見られてた!?
衛「…それ、カッコイイ?」
小夜「いえ。でも、優しくて可愛らしい人だなぁ、とは思いましたよ♪」※楽しげに
もう、恥ずかしくて悶え死ぬ…。
* 立ち絵:小夜(普通)
小夜「…まあ、そんな所ですかね?」
衛「そんだけ!?」
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「はい♪」※楽しげに
衛「…何か釈然としないなぁ?」
小夜「まあ、別に良いじゃないですか?これでも、私、結構容姿には自信がありますし、モテるんですよ?そんな美少女を偶然とは言え虜にしたんですから素直に喜んでおけば良いじゃないですか♪」※楽しげに
衛「…まあ、事実だけど?普通そういう事、自分で言う?」
* 立ち絵(困り顔)
小夜「…それとも、私じゃ役不足、でしょうか?」
衛「全然全く問題ないです!」
* 立ち絵(照れ笑い)
小夜「なら良かったです♪」
*背景:挿絵(赤面して夕暮れの教室で衛に微笑む小夜)
―釈然とはしないものの、どうやら俺は、学園一の美少女を彼女にできたらしい…。
―夏目小夜view―
* 背景:廊下(夕方)
* 立ち絵:無し
衛「ご、ごめん!俺手汗凄いでしょ?」
小夜「それはお互い様ですから、気にしないでください♪」
衛君からの告白を受け入れた私は現在、彼と手を繋いで生徒昇降口へと向かっている。
衛「俺、こんな幸せで良いのかな?明日辺り死ぬんじゃね?」
小夜「それは困ります。せっかく恋人になれたのに…。」※残念そうに
衛「冗談だから!俺が死ぬときは間違いなく老衰だから!」
小夜「フフ♪それじゃあ、私がきちんと看取ってあげますね。」
私は彼にそう告げ、彼の汗ばんだ手をギュッと握る。すると、彼の手も同じように力を込めてきて…
衛「お、おう。…ありがとう?」
小夜「…はい。」
衛&小夜「「…。」」
そして沈黙。二人分の足音だけが夕暮れの廊下に響く。
実は、彼の他にも何人かに呼び出されていたのだが、その他の全てを無視して彼の所に向かった。その甲斐あって、
―私は今、とっても幸せだ。
衛「なぁ、やっぱり俺のことを好きになってくれた理由、少なくないか?」
―もう!折角良い雰囲気だったのに!この人ときたら要らないことばかり気にして!
小夜「何でそこにそんなに拘るんですか!?」※少し怒ったように
衛「い、いや。何か気になって…。」
…確かに、少し無理があるかもしれない。
子猫の一件は私の心をキュンとさせた要因ではある。それに嘘はない。ただ、それが直接の恋愛感情の根源になったのか、と聞かれれば、その答えはNOである。
何故、子猫の一件を目撃するような所に私が居たのか?
そんなの偶然に決まっている、これが普通の答え。でも、今回の場合は偶然ではない。―私は彼を気にしていたのだ。気になる男の子を帰り道に見かけてしまったらどうするか?これも人それぞれだろうけど…。
…私はちょっと危ない子なのかもしれない。
まあ、とりあえず、その恋愛感情の根源が何か、を彼に教えるつもりは今の所は無い。
小夜「…確かに、まだありますけど」
衛「マジか!?それじゃあそれを教え」
小夜「秘密、です♪」
衛「えぇぇぇぇ!?」
―だって、恥ずかしくて言えないもん♪
―夏目小夜view END―
* 背景:街(昼)
* 立ち絵:小夜(赤面)
衛「ごめん!待った!?」
今日は、あの告白の後の初デート。失敗する訳にはいかない。
約束の15分前。待ち合わせ場所、駅前の高尚な芸術家様がお作りになった、全裸で一人空気椅子をしている石像前。
白いワンピースに麦わら帽子。一際目を引くザ・お嬢様を発見。
小夜「いえ!今来たところです!」
衛「それなら良かった。」
本当は小夜ちゃんの台詞は俺が言う予定だったのだが…。
実は、一時間前に一度この場所に来ていたのだが、彼女を待っているうちに、
―一時間前は流石に、やりすぎじゃない?何と言うか、ガッツキ過ぎとか思われないだろうか?
なんて思い始め、一度帰宅。そして今に至る。
石像前はカップル定番の待ち合わせスポットとなっており、他にも待ち合わせをしているであろう男女が時計を気にしながら突っ立っている。
女性A「…あの、余計なことかもですが、言わせて頂きますね。その子、もう二時間はそこに立ってましたよ?私も彼女と同じですから、言わずにはいられませんでした。」
衛「…へ?」
* 立ち絵:小夜(困り顔)
小夜「…すみません、嘘吐いて。」
二時間?つまり、彼女は俺が最初に来た時も…
衛「…もしかして、俺が一時間前にここに来たことも」
小夜「…はい。知ってました。」
衛「どうして声掛けてくれなかったの!?」
というか、どうして気付かなかった俺!?
小夜「お手洗いから帰ってきたら、衛君が居て、声を掛けようと思ったんですが…、その、重い女だと思われたくなくて…。」
―ヤバい、チラチラと上目遣いにこちらの顔色を窺いながら、モジモジとしている姿がひたすら可愛い。
衛「そんなこと無いから!俺こそ、ごめん。気付いてあげられなくて。…俺もさ、ちょっとがっつき過ぎかな、とか思ってあの時は一回帰ったんだよ…。その、初デートでいきなり小夜ちゃんに嫌われたくなくてさ…。」
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「そうだったんですか…。てっきり、忘れ物でもしたのかと。…ということはお互い様、だったんですね?」
衛「そう、みたいだな。」
二人してクスクスと笑い合う。
衛「そ、それじゃあ、行こうか?」
小夜「は、はい。」
そうして、二人並んで歩き始める。
* 立ち絵:小夜(普通)
小夜「そ、それで、何処に行きましょう?」
衛「小夜ちゃんは何処か行きたいとこある?」
小夜「ゲームセンターにラーメン屋さんに牛丼屋さんにハンバーガーショップ!カラオケにボーリングにバッティングセンター!」
衛「メッチャ有るのな!?…とりあえず順番に行くか。んじゃ、え~と、ゲーセンからだな。」
小夜「…あ。すみません。私、あまりそういう所と縁が無くて…。だから、行ってみたい、です。」
衛「友達同士で行ったりしないんだ?」
小夜「皆私に遠慮してるみたいなんです。ですから、誘って頂けなくて…。」
衛「ああ~、小夜ちゃん、お嬢様だもんな。」
小夜「はい…。皆さんのお気持ちは嬉しいのですが、正直、少し寂しくはあります。私から誘う、というのも考えたんですが、折角の皆さんの気遣いを無駄にしてしまう気がしてしまいまして…。」
衛「ふ~ん。まあ、それは仕方無いのかもしれないけど…、俺の前でそんな気遣いは要らないからね?」
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「分かってます♪…ところで、さっきから、私の、その、名前…。」
…ばれちゃったか。
* 立ち絵:小夜(赤面)
衛「小夜ちゃんは最初から俺のこと名前で呼んでたし、俺も!って思ってさ。…やっぱ、いきなりは嫌だった?」
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「…いえ。なんだか、衛君にとって私が特別だって感じられてとっても嬉しいです♪ですから、そのままでお願いします。」
…え?これ現実?何これ?めっちゃ嬉しいんだけどぉ!?
衛「な、なら良かった。…そろそろ到、着ぅ!?」
瞬間、腕に柔らかい感触…。
小夜「…気遣いは無用、なんですよね?」
衛「も、勿論!」
俺の腕を包む胸が、柔らかいんだ…。ポヨポヨでフカフカ、なんですよ…。
―ヤバ過ぎる。こんなに幸せでいいんだろうか?
* 立ち絵:小夜(赤面)
小夜「こ、これ結構、恥ずかしい、ですね…。」
衛「…幸せです。」
小夜「…それなら、こんな思いをた甲斐がありました♪」
…俺たちは一体、ゲーセンの入り口で何をやっているのだろうか?
衛「と、とりあえず!入るか!」
俺の腕を抱きしめる彼女の力が、少し強くなる。
小夜「は、はい!参ります!」
衛「戦いに行く訳じゃないんだから、そんな緊張しなくでも大丈夫だよ?」
小夜「…いえ、油断大敵、です!」
爆音が鳴り響く店内を凝視する彼女の姿は、人間を警戒する野良猫のようで…。
とても微笑ましい。
衛「大丈夫だよ。」
小夜「ふぇ!?」
気付けば、俺は彼女の頭を撫でていた。
さらさらの髪の毛の感触に止み付きになりそう…。彼女の頭から手を放すことができず、永遠と撫で続ける。抵抗されるかとも思ったが、耳を真っ赤にしてされるがままも小夜ちゃん…。
女性店員A「…すみません。お客様。入口の前でそうイチャつかれると営業妨害ですので…。」
…彼女が来てくれなかったら、俺達は延々と営業妨害を続けていたことだろう。
* 背景:ゲームセンター
* 立ち絵:小夜(困り顔)
小夜「…何だか凄く騒々しいですね。耳がおかしくなりそうです…。」
衛「まあ、そこは少し我慢で…。それで、何かやってみたいのある?やっぱりプリクラか?」
小夜「勿論、それも楽しみにしてきたんですが、それよりも…、アレです!アレがやってみたいです!」
と店内に入って早々に彼女が指さしたのは…
* 効果音(パコン※エアホッケー)
* 立ち絵:小夜(拗ねた顔)
小夜「む~!」
衛「ま、まあ、初めてだしな?」
―大人から子どもまでの全ての年代が楽しめることでお馴染みの、エアーホッケーであった。
小夜「えい!」
衛「おっと?」
小夜「む~!」
小夜ちゃんの放ったヨレヨレのパックを、スタンプを押すようにマレットで捕獲。
小夜「…どうして取れるんですか?」
衛「もう少し力入れて撃たないと…、こんな感じ!」
* 効果音(パコン※エアホッケー)
* 立ち絵:小夜(驚愕)
小夜「キャ!」
…ありゃ?結構加減したつもりだったんだけど。
* 立ち絵:小夜(拗ね顔)
小夜「…手加減、してください。」
頬をパンパンに膨らませてこちらを涙目で睨みつける小夜ちゃん…。
…彼女には非常に申し訳ないのだが、癖になりそうなくらい可愛いです。
衛「ごめんごめん!んじゃ、仕切り直しな?…それ!」
…ヨレヨレで撃ち出すの、結構難しいな。
小夜「あわわわわわ!?」
マレットでテーブルを叩きまくる小夜ちゃん。
衛「落ち着いて!大丈夫!小夜ちゃんなら取れ」
* 効果音(カラン※エアホッケー)
衛「…あ。」
彼女が振り回していたマレットが、ヨレヨレパックを直撃し、パックは彼女側のゴールへと落ちて行った。
彼女の顔色を窺うと…
* 立ち絵:小夜(泣き顔)
*
小夜「…意地悪!」
…何だ?この感覚は?もっと拗ねる彼女の顔を見たい!
と思ったが…
小夜「えい!」
* 効果音(カコン※エアホッケー)
小夜「やったぁ!」
俺は、渾身の力で放ったと思われる彼女のヨレヨレパックを、絶妙に空振りし、慌てて打ち返そうと慌てたふりをし、見事に自らのゴールへ導くことに成功する。
衛「や、やられた、だと?」
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「ふふん♪私だってやればできるんです!」
―うん。こっちの方が、やっぱり可愛いな。
小夜「次はあれで遊びましょう!」
衛「もうホッケーは良いの?」
小夜「勝ち逃げ、しときます♪リベンジはまた次の機会にお受けしまーす♪」
俺の彼女は、案外負けず嫌いなことが発覚。
衛「それじゃあまたの機会に、御手合わせよろしくお願い致します。」
小夜「仕方ありませんね~。」
上機嫌で俺の腕を引く小夜ちゃん。俺がそんな彼女を微笑ましく眺めていると、とある筐体の前に辿り着く。
衛「…これはまた今時珍しい。」
* 立ち絵:小夜(驚愕)
小夜「そうなんですか?」
50円コーナ―?こんなのも有るんだな。
衛「…そして、これで金を取られるのか?」
小夜「これ、珍しいんですか?」
衛「多分?」
彼女が興味を示したのは…、テト○スだった。
衛「ゲーセンにあるのは初めて見たな。」
* 立ち絵:小夜(普通)
小夜「そういうものですか。まあ、とりあえずやってみましょう!」
小夜ちゃんは筐体に腰掛け、50円玉を投入し画面を見つめる。
* 立ち絵:小夜(困り顔)
小夜「え~と、ブロックが降って来たんですが?」
…これも初めてなのか。
衛「綺麗に列を揃えられれば、ブロックが消えるんだよ。んで、消せなくなって画面の上までブロックが積み重なっちゃったらゲームオーバー。」
* 立ち絵:小夜(驚愕)
小夜「なるほど…。あ、消えました!消えましたよ衛君!」
衛「おう!その調子だ!」
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「はい!」
レバーをカチャカチァと動かしながら画面に噛り付く小夜ちゃん。
* 立ち絵:小夜(普通)
小夜「…何となく分かってきました。これ、こんな風に長い棒を待つのが所謂セオリー、なんですよね?」
衛「そうだな。縦にその棒を差し込んで一発で4列消せるように積んで行くってのが基本だ。」
ちょっとプレイすると誰でも分かる簡単なセオリー。
小夜「…それだと、つまらないですね。」
衛「まあ、そういうゲームだしな。」
小夜「こうした方が、面白くないですか?」
そう告げると同時に、彼女のプレイスタイルが変貌する。
衛「…おいおい。」
…瞬く間に、消えていくブロック。
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「こうやって、バンバン消す方が私は好きですね♪」
ブロックが三段以上に積まれることが一切ない。更に、消すスピードが尋常ではない…。
スコアこそ伸びないがこれは…。
衛「…え~と小夜さん?実は初めてじゃない、とか?」
小夜「いえ?全くの初見です。そもそも私の家にはこういう類のゲーム、というものがありませんからね?」
…いや、だって、
衛「…スピンって、初めての人は分からないと思うよ?」
スピンとは、ブロックが落下地点に着いた瞬間に、方向キーを入れることによって複雑な隙間にブロックを嵌めるテクニックだ。
* 立ち絵:小夜(普通)
小夜「こういうことができないと、このゲーム、成り立たないじゃないですか?棒が来なかったらゲームオーバー、とは考え難かったので、試しにやってみたら…できました♪」
…流石、学年一位の頭脳の持ち主。思考回路が俺なんかとは別次元である。
* 立ち絵:小夜(困り顔)
小夜「…衛君、暇じゃないですか?」
衛「全然。普通に楽しいぞ?」
自分の好きな子が楽しそうにしているのだ。退屈な訳がない。
* 立ち絵:小夜(困り顔)
小夜「そう言ってくれるのは大変嬉しいのですが…。あ!そうです!衛君も座って下さい!」
そう言って。自分の隣に座るようにと、ポンポンと椅子を叩く小夜ちゃん。
衛「いやいや。その椅子一人用だし」
小夜「…私の隣、嫌、ですか?」
潤んだ瞳で俺を見つめてくる小夜ちゃん…。
衛「ご褒美です!」
瞬間、俺は彼女が空けてくれたスペースに体を捻じ込む。
* 立ち絵:小夜(赤面)
小夜「…近い、ですね」
衛「そう、だな…」
―もう、なんでこんな甘い匂いがすんの?
腕と腕が否応なしに触れ合い、伝わる彼女の体温と…
小夜「…衛君、ドキドキしてます?」
衛「…小夜ちゃんだって…」
―互いの心臓の鼓動。顔が熱を持ち始めるのを誤魔化すように俺は口を開く。
衛「そ、それで、どうするんだ?」
小夜「は、はい!…私がこのレバーでブロックの方向を変えるので、衛君はそちらのレバーでブロックを積んでください。ただそれだけではつまらないので、ゲーム中はお互い指示は無し、というルールを追加しましょう。」
衛「な、なるほど。カップルの絆が試されるわけだな?」
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「そういうことです♪」
ということで、再度50円玉を入れ、ゲームスタート!
* 立ち絵:小夜(普通)
小夜「…あ。」
衛「…。」
* 立ち絵:小夜(困り声)
小夜「…あれ?そんなとこに入れたら…」
衛「…。」
小夜「…本当に、そんな所に入れるん、ですか?」
衛「…。」
* 立ち絵:小夜(驚愕)
小夜「そこは、ダメぇぇぇぇ!」
衛「エロい気分になるから止めてぇぇぇぇ!?」
耳元でそんなこと言われたら変な気分になるわ!
そんな状態でゲームに集中できる訳もなく、あっという間にゲームオーバー…。
* 立ち絵:小夜(赤面)
小夜「す、すみません。でも、もう少し次に来るブロックの事を考えて積んだ方が良いと思います!」
衛「わ、分かった。気を付けるよ。」
―こうして、俺達は小一時間テト○スで遊んだ。
* 背景:街(昼)
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「とっても楽しかったです!」
衛「俺も楽しかったよ!」
あの後、プリクラを撮り、腹が減った、となりゲーセンを後にした俺達。
衛「でも、やっぱりそれは取り直した方が良くないか?」
* 立ち絵:小夜(普通)
小夜「どうしてですか?」
衛「どうしてって…」
彼女は先程から自分の携帯の裏側を見つめてご満悦。それは良いのだが…
衛「流石に初プリクラがそれは、小夜ちゃん、嫌じゃない?」
俺達は互いにプリクラ初心者だった。そのため、何が何だか分からないまま撮影を終えてしまい、
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「ふふ♪良いんです。これが正真正銘私たちの初プリクラなんですから。」
衛「そういうもんか?」
小夜「そういうもんです♪」
…二人して、不思議そうに画面を見つめている、という構図で、ハートの落書きが施された何とも珍妙なプリクラが貼られた携帯を、大切そうに胸元に抱え込む小夜ちゃん。
小夜「そんなこと言って、衛君だって貼ってるじゃないですか?」
衛「そ、そりゃあ、す、好きな人の初プリクラだし!」
* 立ち絵:小夜(赤面)
小夜「そ、そうですか…。」
と、再び彼女が俺の腕に引っ付いてくる。いくら恥ずかしかろうが、その柔らかい感触を振り払うなんてできなくて…
衛「そ、そうだよ。」
そう答えるのが精一杯で。
それきり、俺達は言葉を紡ぎだせなくて、でもなぜかそれが無償に心地良くて…。
そんな沈黙の中、二人並んで次の目的地に向かって歩を進める。
* 背景:ラーメン屋
* 立ち絵:小夜(普通)
小夜「ここが、噂に聞く…。」
向かった先は、彼女のリクエストにお応えしてラーメン屋。
衛「…だから、そんな緊張しなくて大丈夫だからね?」
ゲームセンターの時同様、野良猫モードの小夜ちゃん。
小夜「…一人にしないで、くださいね?」
上目遣いに俺にそう懇願してくる姿は、猫と言うよりも犬を彷彿とさせる。
衛「絶対に一人になんてしないから。…ね?」
俺は思い切って、そんな彼女の手を握ってみた。所謂、指と指を絡める恋人繋ぎで。
…振り解かれたら俺泣いちゃうかも、なんて思っていたのだが
* 立ち絵:小夜(赤面)
小夜「…ありがとう、ございます♪」
―もう、俺、明日辺り頭上から飛行機でも落ちてきて、死ぬんじゃね?
そう思ってしまうくらいには幸せだ。
ラーメン屋店員A「はい!お二人様ご案内!」
苦笑いしながら、男性の店員が俺達にそう声を掛けてくる。
衛&小夜「「…。」」
これ、俺達のやり取りが終わるの待って話しかけてきたヤツだ…。
これには二人して黙ってしまう。
…俺達、何やってんだろ?
それでも繋いだ手は放す気にはなれず、店員さんの案内に従い、そのまま食券機の前へ。
* 立ち絵:小夜(困り顔)
小夜「これに、お金を入れれば良いのですか?」
衛「そうそう。お金を入れて食べたいものを選ぶ。…こんな感じ。簡単だろ?」
俺はそう言いながら千円札を入れ、ボタンを押し、おつり取り出し口に手を伸ばす、という一連の動作をやってみせる。
小夜「分かりました…。では、参ります!」
彼女はそう意気込むと、千円札を御札導入口へ。しかし、
小夜「あ、あれ?」
…戻ってくる千円札。
小夜「ど、どうして?」
後ろに並んでいるお客さんがモタモタする小夜ちゃんに、鬱陶しそうな視線を送ってくる。
* 立ち絵:小夜(赤面)
小夜「あ、うぅ。」
衛「大丈夫だから、こうしてお札の向きを変えれば…」
俺は彼女の手の平に、自分のそれを重ね、お札の向きを調整し、ゆっくりとお札導入口へと導く。
衛「…ほら?大丈夫だろ?」
小夜「…この後は?」
衛「あ、ああ。食べたいメニューのボタンを押すんだ。」
小夜「…どこ、ですか?」
衛「仕方ないな~。」
俺は再び、彼女の手を取る。
小夜「…あは♪」
衛「どした?」
小夜「…幸せだなぁ、と思いまして♪」
…あ。
ここに来て、俺は自分のしていることの大胆さに気付く。
衛「ご、ごめん!その…いきなり慣れ慣れしかったよな!?」
小夜「…慣れ慣れしくしてください。私は、アナタの彼女、なんですよ?」
…もう、明日死んでもいいや。思い残すことは何もない。
ラーメン屋店員B「…すみません。列が押して居ますので、お早くして下されば…。ってあれ?聞こえてない?…あのお客様!?」
潤んだ瞳でこちらを見上げる小夜ちゃんから目を離せない。
衛「小夜ちゃん…。」
小夜「衛君…。」
ラーメン屋店員B「…で、では彼氏さんと同じメニューでよろしいでしょうか?」
小夜「…私、ずっと衛君と一緒が良いです。」
衛「…俺も小夜ちゃんと一緒が」
ラーメン屋店員B「はい!よろしいですね!バカップル二名様、ご案内!」
店員さんに引きずられるようにして、俺達は席へと案内されるのであった。
* 立ち絵:小夜(普通)
小夜「何と言うか、随分と簡素なお店なのですね?」
席に着くなり、小夜ちゃんが店内にキョロキョロと視線を這わせながら告げる。
衛「こんなもんだよ。それに、ラーメン屋にしては、ここは綺麗にしてる方だと思う。」
* 立ち絵:小夜(驚愕)
小夜「そうなのですか?」
衛「ああ。もっとガチのお店だと、店内もこんなに広くないし、席もカウンター席しかない、みたいな感じだからな。」
俺が彼女のためにチョイスしたのは、チェーン展開している小奇麗なラーメン屋。
きっとこういうお店は初めてだろうし、油マシマシ!、みたいなガッツリ系は回避したのだが…。
この店で簡素、とな?…俺の彼女は、普段はどんな店でお食事してらっしゃるのか?
…きちんと働かなきゃって思います。マジで…。
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「では、今度はその、ガチ?、のラーメン屋さんにも行ってみたいです!」
衛「とりあえず、食べてみてからだな。それで、気に入ったら今度連れてってあげるよ。」
小夜「はい!」
…ラーメンを食べるのも初めてというお嬢さまだ。ラーメンという食べ物自体がアウト!、という可能性も十分にある。
ラーメン屋店員B「お待たせしました!ご注文の、天嵐みそチャーシューメンです!注文にお間違いはございませんか?」
衛「はい。大丈夫です。」
ラーメン屋店員B「では、失礼致します。」
タイミングを見計らったように、二人分の料理を運んでくる店員。
小夜「これがラーメン!」
目の前の、如何にも濃い味です、というような匂いを漂わせる一品に、箸を構えて目を輝かせる小夜ちゃん。
衛「熱いから気を付けて食べるんだぞ?」
小夜「はい!…熱ッ!」
衛「だから言ったのに…。こうやって食べるんだ。」
俺は手にした蓮華に麺を移し、小さなラーメンを作ってふーふーと冷まして口へ運ぶ。
* 立ち絵:小夜(笑顔)
小夜「なるほど!」
俺の真似をして、ふーふーと蓮華に移した麺に息を吹きかける小夜ちゃん。そして、その小さな口へと麺を運び、
小夜「…おいしいです!この世にこんな食べ物があったなんて!」
衛「良かった~。それじゃ、どんどん食べて!」
小夜「はい!」
彼女は溢れんばかりの笑顔でそう答えた後、ラーメンの咀嚼に集中し始める。
…一生懸命ふーふーする姿がとても愛らしい。こんな彼女の姿を独り占めできるなんて、俺はなんと幸せなのだろう?…これは今日、風呂で溺死するな。
なんて、彼女を眺めながら幸せに浸っていると…
客A「…すげぇ。何あの子?めっちゃ可愛いんだけど!」
客B「モデルさんかな?…で、あの男は?」
客C「まさか…、彼氏!?」
客B「まさか~、兄貴だろ?」
客A「だよな~、そうでもないとあの組み合わせはありえねぇよな!?」
隣のテーブルの学生グループのそんな話声が耳に入ってきた。
…いや、まあ、分かってますとも。彼女と俺が釣り合ってないってことくらい。
それじゃあ、俺にどうしろと?イケメンになれってか!?
…整形、考えたほうがいいかな?ていうか、見て目の問題か?
―彼女は俺なんかでは本来お近づきになれないような、学園カースト一位の超絶美少女。
対して、俺は教室の一角で、あの女優が可愛い、などと男連中と盛り上がっていただけのどこにでもいるような普通の男子高校生…。
…やべぇ、何か悲しくなってきた。
* 立ち絵:小夜(困り顔)
小夜「…衛君。」
俺に聞こえているということは、小夜ちゃんにも聞こえているということで…。
気付けば、小夜ちゃんが俺を心配そうに見ていた。
衛「い、いやぁ!やっぱり俺と小夜ちゃんじゃ釣り合ってないみたいだね!…俺、もっと頑張るな?小夜ちゃんと並んでも違和感がないような男にならないとな!まず、整形かな?形から入るっていうのも一つの手だと思うんだよね!」
…声、震えてないよな?
―こんな風に振る舞って、彼女が心配しないようにするのが、精一杯だ。
俺、超かっこ悪いな…。こんなんだから…
小夜「…良し!」
衛「…ど、どした小夜ちゃん?」
…急に意気込んだと思ったら、麺を一本口に咥えてこちらを見る小夜ちゃん。
衛「…え~と?」
…ヤバい。これどうしたら良いの?
小夜「ん!ん!」
と俺が呆然としていると、彼女が、麺の口に咥えていない側を箸で摘まんで、こちらに差し出してくる。
まさか…。
衛「…こっち側を、俺に咥えろと?」
* 立ち絵:小夜(赤面)
小夜ちゃんが頬を朱に染め、首を縦に振ってくる。
…マジか。なんで急に!?
と、周囲が騒々しくなっていることに気付く。
客A「…おいおい?誰だよ?兄貴って言った奴!?」
客B「だ、だって、明らかに釣り合ってないから!」
客C「…いや、まだだ。実はあの子が重度のブラコンで、兄貴とポッキーゲーム、…いや、ラーメンゲームをしたくなっただけ、という線もある。」
…まさか、小夜ちゃん、俺に気を使って?
* 背景:挿絵(小夜、麺を咥え涙目)
彼女は耳まで真っ赤に染めながら、潤んだ瞳で麺を咥え、こちらを見つめている。
―彼女にここまでさせちまうなんて、俺はどこまでかっこ悪いんだよ…。
だが、今は自己嫌悪に時間を割いている時ではない。
衛「…わ、分かった!行くよ!小夜ちゃん!」
彼女は真っ赤な顔で微笑み、頷いてくれる。
…俺の、彼女、どこまで天使なの?
そんな彼女にこれ以上要らん恥をかかせないために、俺は差し出された麺の先を咥える。
すると、
小夜「はむ。」
* 背景:挿絵(小夜、麺を咥え涙目※口元一段階ズーム)
衛「!?」
小夜「はむ。」
* 背景:挿絵(小夜、麺を咥え涙目※口元二段階ズーム)
迫りくる真っ赤な美少女の顔面…。
目、めっちゃ大きな…ってそうじゃない!
…ここで、男を見せなければ、本当に彼女の傍に居る資格なんて無いぞ工藤衛!
衛「はむはむはむ!」
小夜「!?」
* 背景:挿絵(小夜、麺を咥え涙目※口元三段階ズーム)
一気に彼女と俺の距離が縮まる。もう彼女の呼吸を感じられる距離だ。小夜ちゃんは、両拳を膝の上で震えるほどに握り込み、真っ赤になって停止。
互いに互いの口元を凝視してしまう。
―あと一噛み。それで、俺はあの可愛い唇に辿り着く!
…やってやる!
衛「…はむ!」
小夜「ん!?」
―そして遂に、二人の唇が重なる。目の前には大きく見開かれた綺麗な瞳。
触れような、軽いキス。でも、それは紛れもない粘膜の接触で、彼女の柔らかい唇の感触が俺のそれを支配する。…接触部分が、熱い。
衛「…俺は、君の彼女だよね?」
小夜「…はい♪」
俺は彼女の口元まで導いてくれた麺を噛み千切り、そう彼女に告げる。
彼女はそれに頬を染めながらも、笑顔で答えてくれて…。
ラーメン屋店員B「御見それしました!もう、アンタら、本物です!入店してきた時は、爆発しやがれ!、なんて思ったけど、今日は俺の奢りにしておきますよ!ていうか、奢らせてください!ホント、良いもん見せてもらいました!バカップル最高!」
彼の一声と同時に、店内に鳴り響く拍手。
どうやら、気づかぬ間に店内の注目を集めってしまっていたらしい。これには二人して俯くしかない。お互い、顔が真っ赤なのは言うまでもなく…。
―こうして、お勘定はタダとなり、支払った食券代は、俺達が食べ終えると同時に、彼の手から俺達の元へと返還された。
* 背景:街(昼)
* 立ち絵:小夜(赤面)
小夜「…その、ごめんなさい。出過ぎたことを、しました。」
店内から外に出ると、小夜ちゃんがいきなりそう言って頭を下げてきた。
衛「あ、頭上げてよ!そんなことないから!…俺の方こそごめん。…気使わなくて良いって言ったのに…。」
あんな偉そうなことを言っておきながら、この様だ。
衛「…俺、頑張るからさ。小夜ちゃんの隣に相応しいような」
* 立ち絵:小夜(普通)
俺の台詞は彼女の真剣味を帯びた声に掻き消された。
小夜「衛君?さっき、整形が何とかっておっしゃってましたよね?」
衛「あ、ああ。まあ、半分冗談だけど。…もしかして、小夜ちゃん、整形に賛成?それなら」
小夜「冗談でも、二度と、あんなこと、言わないでください。私が好きになった衛君は、今の衛君です。誰に何と言われようと変わる必要なんてありません。」
衛「俺にも男としてのプライドが…」
小夜「…私がアナタをこんなに好き、これじゃあ、衛君の誇りには、なりませんか?」
* 立ち絵:小夜(赤面)
衛「!?」
彼女が、背伸びをして俺の唇をついばむように、再びキスをしてきた。
―時が、止まる。震えているのは俺の唇か、彼女の唇か?それとも、その両方か?
永遠にも感じられる数秒が幕を下ろすと、彼女は口を開く。
小夜「…私では、役不足ですか?」
―そんなことは絶対にない。身に余る光栄、とはこのことだろう。
小夜「!?」
言葉の代わりに、行動で想いを伝える。
今度は俺から彼女の唇を奪う。
ゆっくりと離れ、彼女の潤んだ瞳を見つめながら、言葉を紡ぐ。
衛「…ありがとう。小夜ちゃんが俺を好きで居てくれることは十分伝わったよ。…でも、俺も男だからさ。…やっぱり、頑張りたい。小夜の隣に居ても良いんだって、自分で思えるようにさ。」
* 立ち絵:小夜(困り顔)
小夜「…困った殿方です。でも、そんな所も大好きです♪」
衛「俺も小夜ちゃんみたいな子を彼女にできて、めちゃくちや幸せです!」
俺たちは、行き交う人の群れの中で抱き合う。
―ああ、幸せ♪
でも、ここに来てやはり、気になってしまうことがある…。
衛「…ところで、だ。」
小夜「…はい?」
抱き合う力を緩め、俺は彼女に問う。
衛「…告白の時も聞いたんだけどさ、こんな俺のどこが好きなんだ?」
* 立ち絵:小夜(拗ねた顔)
小夜「…また、その話ですか?」
衛「べ、別に小夜を疑ってるわけじゃないんだぞ!?…でも、どうしても気になって…。」
小夜「だから、雨の日に道路際に捨てられた子猫に傘を進呈して、立ち去ろうとしたけど、やっぱり心配になって引き返して、結局子猫を拾っちゃうとこ、だって言ってるじゃありませんか?」
衛「そんな理由は嫌なんだよ!頼む!嘘でもいいから何かそれっぽい他の理由を俺に下さい!」
* 立ち絵:小夜(赤面)
小夜「…嘘でも、いいんですよね?」
衛「イエス!」
小夜「…それじゃあ、一目惚れ、なんてどうですか?」
衛「…え~。」
* 立ち絵:小夜(怒り顔)
小夜「…衛君の馬鹿!」
俺にそう告げ、さっさと前を歩き始めてしまう小夜ちゃん…。
衛「えぇ!?嘘ぉ!?何でぇ!?待って小夜ちゃん!」
それに必死に追いすがる俺…。
小夜「衛君の鈍感!」
衛「何が!?」
小夜「知りません!」
―この後、土下座して何とか許してもらいました。
―夏目小夜view―
* 背景:街(昼)
* 立ち絵:無し
小夜「…何が、いけなかったか、分かってるんですか?」
目の前には私に土下座する衛君。
衛「…俺が小夜ちゃんの気に障るようなことを言ったんだよな?」
小夜「そうです。では、それはなんですか?」
衛「…。」
小夜「はぁ。」
いや、まあ分かられても困るのだが…。何とも複雑の心境である。
それに、彼がそこに拘る気持ちも良く分かるのだ。
元々、私と彼はあんまり話をすることもない関係だったのだから。
そんな状態で、高校の卒業式が終わった後、彼に放課後の空き教室に呼び出され…、
―告白された。
私はとっても嬉しくで、すぐにそれを受け入れた。
…でも、それは彼にとっては不自然以外の何でもなくて。
ろくに話してことも無い相手からの告白を受け入れる相手がどこにいるのだろうか?
…ここに居ます。
小夜「今、私は衛君がこんなに好きです。とりあえずは、それで良いですよね?」
衛「はい!」
…絶対、分かってない。まあ、そんな所も可愛くて好きなのだが…。
小夜「と、ところで、私の嘘、そんなにダメでしたか?」
衛「ん?俺を好きなった理由の話か?」
小夜「…はい。」
衛「まあ、信じられないな。そもそも一目惚れって有り得るのかよ?そんなの、今時お伽話でも有り得ないんじゃないか?」
小夜「…。」
―良し決めた。このことは墓場まで持って行こう。
彼には申し訳ないけど、正直、好きになった理由なんて私にとってはどうでも良いし…。
廊下で擦れ違ったあの時、あの瞬間、この人だって思えた。だたそれだけのこと。
―私にとって大事なのは、彼が私の期待した以上の人間だったこと。
頼りないかと思わせておいて、実は頼もしくて。
ネガティブ思考だと思えば、積極的で。
鈍感だと思えば…、とっても優しくて。
切っ掛けはどうあれ、私はこんな彼の事が今…、
*背景:挿絵(小夜満面の笑み)
―大好きです。
―夏目小夜view END―
―END―
「シナリオ」の書き方に関するご指摘、その他でも気付いたことがあれば一言お願いいたします!