二話 少女
(よし、まず一旦整理しよう。)
影色は心の中でそう呟いた。
目の前にいるのは自分と同じ制服を着ている少女。髪は肩まであり色は黒。美少女と言っても過言ではない顔立ちをしているのだが、影色からすると、あまり関係ないようだ。そして何故か刀を持って…いない。
(…あれ?)
影色は頭の中が混乱した。
(確かさっき刀を持っていたんだけど…。それと切り裂かれた何かも見当たらないし…。)
そして一つの答えにたどり着いた。
(ということは…、ただの見間違いか。)
どうせ自分はまだ寝ぼけているのだろうという結論だった。
自己完結をしたところで、影色はふと気づく。
(あ!そういえば…。)
影色は携帯を取り出し時間を確認する。
「うわヤバ!」
「!?」
少女は後ろから声が聞こえ、素早く振り返る。そこには本来いるはずのない者がそこにはいた。
「ちょっとあなた!なんでこ…」
少女が話している途中で、影色は少女の腕を掴んだ。
「走るぞ!」
「…え?」
影色は少女と一緒に走り出した。しかし少女は戸惑ったままだ。
「ちょっと!いきなりなに!」
少女は影色に怒鳴る。
「急がないと遅刻するぞ!」
「どこによ!」
(…は?コイツ馬鹿か?)
「学校に決まってんだろ!」
「え、ウソ!?もうそんな時間なの!」
「お前今更かよ!」
影色は少女に呆れた。もうそんな時間と言うことはちゃんとした時間に出たのだろう。
(…コイツどんだけ道草食ったんだよ。明らかに時間気にしてないだろ…。)
「とにかく走れ!」
「ちょっと!そんなに引っ張らないでよ!」
二人は急いで学校に向かった。
「「はぁ、はぁ」」
なんとか間に合った二人は校門の前で息を切らしていた。
「な、なんとか間に合ったな…。」
「う、うん…。」
影色は息が整ってきたので少女に声を掛けた。
「そんじゃ、そろそろオレは教室に向かうから。お前も急いで教室に向かえよ。」
「う、うん…。」
少女はまだ息を切らしているようだ。
「じゃあな。」
そう言って影色は教室に向かっていった。
少女はあることを思い出す。
「そういえば彼、何であそこに…。」
少女は呟いた。
「あの反応、明らかにこっち側ではなく一般人よね。」
(しかもあの結界は…。)
少女はさっきのことについて考えていた。彼女からして見ればとてもイレギュラーなことなのだ。
(そうだ!)
少女は何かを思いついたようだ。
ふと、少女の視線が時計にいく。
「あ、いけない!」
少女は急いで職員室に向かっていった。