革新の調13
十三日目、夕刻。
「よーし、コリンにジェシカ。飯、食いに行くぞ!」
「…………」
「…………」
バルクが呼び掛けても門下生達は返事もしない。真剣を握りしめ、交互に斬り掛かり、鍔迫り合いを繰り広げる。
ジェシカは、三系統の魔法を剣戟の合間に織り交ぜ、凶暴かつ華やかに。
コリンは、防具を一切纏わずに両手剣で攻め、靭に避け、鋭く斬った。
離れ業の域に達した二名の練武は、訓練だと弁えていても手に汗握る壮絶な闘いだった。とても、二週間前まで、素人に毛が生えた程度の実力しか具わっていなかったとは考えられない。
二名の闘いに追随できるのは、それこそ、誤魔化しようのない一流の実力を持ち合せている戦士のみだろう。
「オラオラ! 止めろ、やーめーろッ!」
全身に魔力を纏ったバルクは、闘いの火中に飛び込んだ。聞き分けのない門下生達は、両手から剣と杖を弾き飛ばされ、茫然としている。
「支度しろ! 皆待ってるんだから。……どうした、ほら!」
コリンとジェシカは、うつむきながら呟く。
「……僕達、破門なんですか?」
「……私達破門されるの?」
「は?」
コリンとジェシカは、目に涙を浮かべ、悲しみと悔しさで声を詰まらせていた。
「バルク言ってた、SSSランクに一カ月でなるんだから、ワイバーンくらい簡単に倒して貰わないと困るって、できなかったら破門だって」
実は昨日、バルクはワイバーンを狩ってこいという死刑宣告にも等しい指令を二人に下し、コリンとジェシカをエルトシル帝国領のドラゴン連山に置き去りにした。
昨日の彼らのレベルは、コリンが二十五、ジェシカが二十六。ドラゴン連山に赴くには無謀すぎるほどに低レベルだ。あのウルクナルですら、レベル三十八の時に挑み、既に常人離れした魔力と、魔力を直接操る原初魔法を修得していたにも関わらず、手厳しい洗礼を受けたのである。
剣と魔法が扱える程度では、ドラゴン連山のヒエラルキー底辺に位置するレベル八十のビッグフットですら倒すのは難しい。
斬っても焼いても生きている魔物、バリアと紫電を纏う魔物、これまで培ってきた技術では太刀打ちできない魔物。そんな化物が犇めくドラゴン連山を昼夜逃げ回ったコリンとジェシカは、バルクが迎えにくるまでの間、耐え難い恐怖を味わい続けたことだろう。
それでもコリンとジェシカは、ドラゴン連山で数匹のビッグフットを打ち倒すことに成功し、それぞれレベル三十に到達していた。
「もう一度だけチャンスを下さい。お願いしますッ」
「お願いしますッ」
「お前ら……」
バルクに縋りつき、懇願する二名。バルクは思う。どうしてこうまで、コイツらは純情なのかと。
死よりも濃い絶望に丸一日浸されていたはずなのに、彼らは戦意を失わず、それどころか、今すぐにでもあの山に連れて行けと言って聞かない。
呆れる半面、嬉しかった。ウルクナル式道場第一期生が、途轍もなく純真で、しかも真っ直ぐな彼らで良かった、と。ほほ笑んだバルクは、普段通りのぶっきら棒な口調に一滴の優しさを混ぜ、言う。
「心配するな、破門なんかするわけないだろ。山には明日でも明後日でも好きな時に行ける。今は黙ってついて来い、美味い飯を食いに行くぞ」
「でも、討伐に失敗したら破門だって。言っていたじゃないですか!」
「いやいや、コリン、よく考えてみろよ。Dランク冒険者をドラゴン連山に置き去りにして、ワイバーンの討伐に失敗したから門下生を破門にするなんて、そんなことあるわけないだろ。道場の沽券に関わるわ」
「……え?」
「……は?」
「……その、今のは言葉のあやだからな?」
門下生二名の殺意の籠った目線に、己の失言を悟り、冷や汗を掻くバルクだった。
――王都の西部には、シルバーフォレストという料亭が存在する。小奇麗で隠れ家的な佇まいの店なのだが、提供される料理はどれも一級揃いであり、値段も一級だ。
シルバーフォレストで提供される料理の特徴は、とにかく料理に使われる食材が珍しいことである。ブラックベアーの肉から始まり、タワーデーモン、ワイバーン、ドラゴンと、高レベル帯の魔物を、見事な一品に変身させることに関して、この店は他の追随を許さない。
このシルバーフォレストは、支払い能力があるのならば、エルフにだって料理を提供する変わった料亭でもある。
店主曰く、どんなに美しい料理にしても、結局は魔物の肉というゲテモノを使用した料理であることには変わりない。エルフ出入り禁止などと、ゲテモノ料理屋如きが粋がるのは間違っている、らしい。
「ここだ」
「うわ、……すごい値段」
軒先に出された立て看板には、コース料理の値段が記載されている。一番グレードが低いコースでも、金貨二枚を用意せねばならないらしい。冒険者になって日が浅いコリンの金銭感覚はまだ正常であった。
「本当に私達エルフが入っても良い店なの?」
「金払えるヤツ限定だがな。金さえ払えて魔物の肉を喰うのが平気なら誰でも歓迎だとよ。――ジェシカ、店主は人間だが、今だけは敵対心を忘れろ。ここの店主、本当に良い人なんだ」
「……わかったわよ」
古風な戸をスライドさせ、青色のノレンをくぐると、夕闇に沈み掛けていた王都の情景から一気に切り離された。床は濃い色合いの石材、壁と天井は木目の美しい板材で覆われた店内は質素でありながら、明るく、清潔で、美しい。
「お、やっと来た。皆、こっち!」
カウンターの一番奥に座っていたウルクナルが、背伸びしてバルク達に手を振っている。テーブル席もあるようだが、サラもマシューもカウンター席に座っていた。
彼らの手元には、既に数点の小鉢と酒の注がれたコップが置かれている。一足先に始めてしまったらしい。
シルバーフォレストの店主は、やや黄みを帯びた肌と、鋭い眼光、そして短く切り揃えられた黒髪が特徴的な、筋肉質な中年男性だった。
彼の名前はサイモン=イノウエ。料亭シルバーフォレストの五十一代目店主である。
何とこのシルバーフォレスト、トートス王国の建国当初から、この場に店を構え、魔物の肉料理を提供してきた由緒正しきゲテモノ料亭なのである。
口をヘの字に硬く噤んだ不機嫌顔のサイモンは、見事な包丁捌きをウルクナル達の前で披露していた。その合間に、入口に立つバルク達に目配せすると、開いているカウンター席に座るように手で示す。
「オヤジ。俺にも、ウルクナル達と同じ酒瓶をくれ」
「…………」
サイモンは、水晶製のコップと、これまた水晶製の酒のボトルを無言で差し出す。
この店に慣れているウルクナル達はそれでよかったが、初入店のコリンとジェシカはそうもいかない。料亭が醸しだす独特な空気と、無愛想で強面のサイモンに委縮してしまっていた。ブラックベアーを完封する冒険者二名が、である。
コリンとジェシカがまだ席に座っていないことに気付いたサイモンは、再び手で座るようにとカウンター席を示す。
二人はぎこちない動きで、バルクの隣に座った。
ジェシカは、出されたお通しを口に運ぼうとするが。
「……あれ?」
「ジェシカって実は不器用?」
シルバーフォレストでは、食器として箸が出される。初めて箸を使うジェシカは、小鉢の中の和え物が摘めずに悪戦苦闘し、コリンに不器用と言われてみるみる赤くなる。
「どうぞ」
「あ、ありがとう」
それを見たサイモンが、そっとフォークを差し出す。ジェシカは、人間への憎しみなどすっかり忘れて、フォークを手に取り料理を口に運んだ。
シルバーフォレスト自慢の最高級コースは、どれもこれもが新鮮で、珍しく、料理を口に運ぶのが止まらない。
コースのメインはドラゴンの肉だった。一口大に切り分けられたミディアムレアの肉には、特製のソースがよく合う。出しゃばり過ぎないソースは、肉の味を最大限引き立てていた。
デザートのバニラアイスクリームを食べ終えれば、シルバーフォレストのコース料理は終了である。ちなみに、気に入った料理があれば単品でも追加注文が可能だったりする。
初めてシルバーフォレストを訪れた際のウルクナルは、一番グレードが低いコース料理をカルロと共に食べ、そのメインディッシュであったワイバーン肉の料理を繰り返し追加注文したのである。
ウルクナルは、追加注文したワイバーンの肉料理を懐かしみながら食べるのだった。
ふと、バルクが呟く。
「ゴード遅いな。マシュー、何か聞いてないか?」
「いいえ、まったく聞いていません。ですが、親方がこれだけ遅いとなると、かなり苦戦しているのかもしれませんね」
「親方?」
ジェシカが尋ねると、ウルクナルは言った。
「俺達エルフリードの武器や防具を造ってくれているゴードっていう鍛冶師が、今日ここに、とある道具を持ってくる手筈になっていたんだけど。素材が特殊で、作成に苦労しているみたいなんだ」
「エルフリードの武器や防具を造っているのが、……人間」
「すごい人なんですね」
ウルクナルが門下生達にゴードの話をした直後、貸し切りの札が出されていた店の戸が開く。そこには、矮躯でありながら筋骨隆々の老人、鍛冶屋ドワーフの鉄の店主であるゴードの姿があった。
「お前ら、まだ居るか?」
「ゴード! 遅い!」
「すまん、ウルクナル。砥石が足りなくてな、調達するのに手間取った。妥協したくなかったんでな。その分、我ながら素晴らしい包丁が出来た。サイモン、存分に振るってくれ」
サイモンは、ゴードを見るや否や駆け足で調理場を離れ、彼から木箱を受け取った。それでもサイモンは無言のままであったが、瞳に浮かぶ喜色までは隠せていない。
逸る気持ちを抑えているのか、彼の手は小刻みに震えている。その震えは、木箱を開け、ゴードが作成したと思われる包丁を手にすると治まった。全神経を研ぎ澄まし、様々な角度から白銀の包丁を観察すると、サイモンは包丁の出来栄えに固唾を飲んだ。
ゴードは、サイモンが手に取っている包丁について語る。
「それは、魔物鉄ホワイトドラゴンのインゴットから削り出した包丁でな。刀身と柄の間に繋ぎ目がないだろ? 全てホワイトドラゴンの魔物鉄だ。まったく苦労したぜ、最も硬くて滑らかなクッソ高い砥石を五十個程磨り潰しちまった。単に硬いだけでなく、靭な、相変わらず化物みたいな金属だぜ」
早速、試し切りをしようとするサイモンをゴードは止めた。
「サイモン、コレ使え。普通のまな板で、その包丁を使うと怪我するぞ」
ゴードが持ち出したのは、一見すると何の変哲もない普通のまな板だった。しかし、市販の物とは材質が異なる。これは、未踏破エリアに生える巨木の幹から削り出した一枚板で、ドラゴン製の剣すら挫くまな板である。
「…………」
まな板を受け取ったサイモンは、今度こそと意気込んで調理場に向かう。彼がホワイトドラゴンの包丁で調理するのは、未踏破エリアのみで手に入る食材である。ドラゴン製の包丁では傷も付けられない食材を調理するには、この特製包丁が不可欠だったのだ。
金棒を得た料理の鬼であるサイモンは、己が尽くせる限りの技術を駆使し、未踏破エリアで採取された食材のみを使った料理の数々を即興で生み出していく。
未踏破エリアの湖に生息する魚の、魔物鉄ドラゴンよりも強固な鱗を除き、三枚に下ろして、ムニエルに。
鋼の数倍の硬さを誇る玉ねぎに似た球根をスライス、サラお手製の魔法薬に浸して柔らかくし。先ほどの魚の切り身を薄く切り、スライスした球根とあえ、ワイバーン製の刃も欠ける外皮で包まれた柑橘類の果実を絞って、カルパッチョ風に。
先ほどの柑橘類はレモンに似ている。未踏破エリアから持ち帰った花の百花蜜と柑橘類の果汁を混ぜてソースを作り、油でカラっと揚げたフェニックスの胸肉にかけた、フェニックスのから揚げのレモン風ソースがけ。
地上の最高権力者達ですら易々と再現できないであろう三品の料理は、食した者達の心を鷲掴みにした。それは魔結晶を食べなれたエルフリード達と言えと例外ではなく、サイモンの新たな料理は、既存の料理を大きく突き放していた。
「どれも美味しかった。……なんか、これまで食べてきた料理と次元が違う感じ」
「どう言ったら良いのか難しいんですけど……。食べていると体の一番深いところが潤されていく感じがしました」
「おいおい、もう満足しちまったのか? メインディッシュはまだだぜ?」
ジェシカとコリンの感想を聞き、にやにやと笑いながら、酒を飲むバルク。
一方サイモンは、空いた食器を下げ、新しい食器を用意し始めた。
「でも、さっきのが未踏破エリアの食材で作られた料理なんじゃなかったの?」
「おいおい、ジェシカ。まだアレを食べてないだろ?」
「アレ?」
「――ホワイトドラゴン」
「――あの魔物を食べるの!?」
ジェシカは以前、サラに頼み込み、高ランク冒険者でなければ開示されない書物である未踏破エリア魔物大全集の、ホワイトドラゴンの項を読ませてもらったことがあった。
レベル五千の魔物、ホワイトドラゴン。現在商会で正式登録されている全魔物の頂点に君臨する化物の中の化物。だが、同時に、純白の鱗で覆われた姿は神々しく、神性すら感じさせる程であると、大全集に記載されていたのをジェシカは覚えている。
そんなにも美しい存在を食べても良いのだろうか、と疑問を感じていたジェシカだったが、サイモンが調理場の奥から持ち出したソレを目にした途端、ためらいは消し飛んだ。
美しい純白の鱗が付いたままの、ホワイトドラゴンのものと思われる巨大なブロック肉が、目の前にゴロンと出現した。そのインパクトたるや凄まじく、ジェシカとコリンはその明るいピンク色の肉塊に釘付けになる。
サイモンは、丁寧に鱗を削ぎ落す。鱗一枚一枚が、宝石貨一掴み分の価値を秘めた宝である。慎重に、傷つけないよう全て取り除く。
ピンクの肉の表面には、白い網目状のサシが走り、脂が常温でも溶け出して、テラテラと宝石のように光り輝いている。
本日のメインディッシュを飾るのは、レベル五千の魔物、ホワイトドラゴンのステーキだ。
包丁を置いたサイモンは、右手の平をウルクナルに見せるように突き出す。カウンター席最奥のウルクナルから順にオーダーを取るらしい。
エルフリードのリーダーは迷わずに言った。「三百、ブルーレア」サイモンの手は隣のマシューへ向く。「三百。……ブルーレア」その隣のサラ。「レア。……三百」彼女は恥ずかしそうに肉の量を言った。バルクに向く。「四百。レア」
サイモンの手は、コリンに向けられる。
「……えっと、ミディアム、二百」
「えーッ!? ミディアム!? 嘘、信じらんないッ!」
「な、何が……?」
コリンのミディアム発言に、ジェシカは有り得ないと声を張り上げる。
よりにもよって彼女はコリンの耳元で声を出した。その怒声の大きさに、彼の鼓膜が破れてしまいそうになる。
「ホワイトドラゴンの肉なのよッ!? この美しいサシを見て! 肉は、焼けばその分肉汁が流れ出ちゃうの! うま味が減るのッ! 硬くなるのッ! ミディアムレアでも焼き過ぎなのに、アンタって奴はッ!」
「良いじゃん別に、僕は生焼け肉が食べられないんだよ。昔、露店の肉料理で食あたりして、それ以来ダメなんだ」
コリンは耳鳴りに顔をしかめながら、ブツクサと反論する。
「アンタねッ! 露店の肉と、この一グラムで宝石貨が何枚も吹き飛ぶホワイトドラゴンの肉を同列に考えないでッ! 食に対する冒涜だわ!」
「……そんなに、怒らなくても」
(――あーあ、ブラックベアーも捌けなかったクセに)
と、ジェシカの地獄耳を恐れ、心の中で溜息を吐くコリンだった。
結局、ジェシカに押し負け、レアに限りなく近いミディアムレアを注文することにしたコリン。当のジェシカは、当然と言わんばかりに、ブルーレアよりも一層生に近い焼き加減である、ブルーを三百で注文した。
ちなみにブルーとは、片面または両面を数秒炙った焼き加減のことである。ほぼ生だ。
「たまげた。お前ら食い過ぎだろ、あれだけ食べておいてまだそんな量入るのか。……張り合いたいが、この老いぼれ、包丁作って体が疲れとる。二百、レア」
老いた、疲れたと言いながら、二百グラムの肉をレアで注文するゴード。食い意地は人一倍のようだ。
これで全員のオーダーが出揃った。サイモンは、ホワイトドラゴンの肉塊を、全員の目の前で正確に切り分ける。秤を使わずとも、サイモンは一グラム単位で正確に切り分けられるのだ。
六基のコンロをフル稼働させ、塩で味付けした肉を六枚同時に焼き上げていく。一番早く出来あがったのは、ジェシカが注文したブルーの三百だった。
焼いた時間は両面合わせても十秒だったが、溶け出した脂が眩い輝きを放っている。分厚い肉だが、常温に戻してから焼いたので、中心部も冷たくはない。
濡らしておいた布巾にフライパンを押し付け粗熱を取り、余熱を肉の保温に用いる。
焼き上がった順にフライパンを火から遠ざけ、並べられた食器の上によそう。そして荒くひいた黒胡椒をまぶしていく。ホワイトドラゴンの肉に、塩と胡椒以外の味付けは考えられない。ソースは邪魔者にしかならないので、作る必要はないのだ。
最後に、カリカリになるまで炒めていたスライスガーリックを、それぞれの皿に多めにトッピングして完成である。冷めない内に、サイモンは客の手元に料理を送り届ける。生唾を飲んで調理場を凝視していたウルクナル達の目線は今、自分達の手元に集中した。
全員分の料理が揃ったのを確認すると、彼らは一斉に掴んだナイフとフォークを肉に突き刺した。
全員が、無心で肉を切る。
桜色だった肉は、超強火で一気に焼いたので、僅かではあったが、表面にきつね色の焦げ目がついている。だが、内部には火が通りきっておらず、各自の肉は、注文通りのブルーレアとレア、そしてミディアムレアに仕上がっていた。ガーリックの香りが食欲を一層引き立て、肉は非常に柔らかく、硬い筋はゼロ。ナイフを入れるとすいすい切れる。
口の中で噛み締めると、途端に肉汁がだくだくと流れだし、うま味とコクが口一杯に広がった。一口食べる毎に、胃袋だけでなく肉体そのものが満たされるのを、全員が確かに感じていた。その感覚は、未踏破エリア産の食材を用いた三品の創作料理を食した時よりも強く、魔結晶を吸収した際のそれに一層近かった。
現在、人間が魔結晶に近い味を知る唯一の方法は、ホワイトドラゴンの肉を食べることなのだろう。
そして、レベル五千以下のコリンとジェシカとゴードが、ホワイトドラゴンの肉を食べたことで、それぞれ五十のレベルアップを果たしていたのだが、現時点では誰も気付いていなかった。
コリン、ジェシカ、レベル八十に到達。ゴード、レベル九十五に到達。




