夕日と過去
「はぁ〜きれいだなぁ・・・」
あたし、霧野ユキジ、15歳は地毛である
オレンジ色の肩までくらいのショートの髪を、風の
強さで靡かせ、河原で1人体育座りをして、今日も一日
沢山の生き物に光を与えてくれた太陽が沈んでいく姿を
眺めていた
「一部を除けば、前よりは平和になったな
ここも」
そう、10年ほど前、この土地に
キルという、人間の姿形をした人喰い生物が
西の方から現れ、もちろん、その時の人類は
キルと対抗するすべどころか、彼らの存在自体知らなかった
人類は大勢の人が、キルに食い殺され、人口の約3分の2を
失った
しかし、そのキルは、人を食べあきたのか
また、疲れたのか、理由は定かではないが
突然誰一人とも姿を現すことはなかった
キルが消えたあとでも、あの時は悲惨だった
各地からキルに故郷をやられて、沢山の人か
東の方に避難してきた、だから食料不足やら
いろいろたいへんだった・・・当時五歳のあたしも
毎日5時間くらいは働かせられたな
食料不足のあまり、キル捕獲作戦という名の、食料不足という問題を
解決するため、政府は数千人という民間人を
奴隷にしたり、実験台にしたり、殺したりした
そう、キルが及ぼした悲劇は、彼らが去ったあとでも
たくさんの命を奪い、沢山の人が涙を流した
(あたしらがそうならなかったのは、運がいいだけなんだ
そう・・・あの時みたいに)
そして、その悲劇から5年、
ある組織を立ち上げた
その名はキル捕獲団
最初のキル捕獲団は実験台として奴隷が入団させられたのだが、ここ最近、あたしらは18歳以上になると、男女問わず、健康のやつは強制的に
入団しなければならない、そして、2年間キル捕獲団の団員
として働く、もちろん、その二年にキルがきた場合、命を
捧げなければならないと法律で定められた
ちなみに、あたしの義兄は今年で18歳で
来月に入団予定だ、あいつは10年前キルに
親友と呼べるくらい大切な友人を殺され、敵を取るために
キル捕獲団にはやく一秒でも早く入団したいらしい
「ユキジー?」
噂をすればなんとやらっていうのは本当らしいな
「こんなところでどうしたの?」
青色の男子にしては少し長い髪の毛 、マリンブルーの瞳をした少し身長の低いあたしの義兄、凪が、どこに行くのか、あるいはどこかに行った帰りなのか、自電車から降りながら、あたしに問いかけた
ちなみに、こいつとは血が繋がっていない、義理の兄弟だ
「別に…夕日を見に来ただけ、ここの河原はあたしが知っている中で、一番夕日が綺麗に見えるところなんだ」
凪を見ずに、夕日を見たまま
いつもどおりの、無表情で答えた
「そうなんだ」
「ああ」
「ところで、母さんが呼んでたよ」
「分かった」
それから、あたしは体育座りから
立つと凪をおいて、来た道を通って
帰宅した
「やな予感がする」
そんな凪の言葉も聞かずに