ひつじさんのおとしもの
このはちゃんは、みつけてしまいました。
みちにおちている、きんいろのけいとを。
きんいろにかがやくおとしものを。
「おまわりさんにとどけよう!」
このはちゃんは、きめました。しかし、このはちゃんはしょうがっこうのいちねんせい。そして、このまちにひっこししてきたばかりで、おまわりさんがいるところはまだわかりません。
「わからなかったら、きけばいい。きっとだれかがおしえてくれる!」
わからはいみちを、みぎへ、ひだりへ、あるいていきます。
ひがくれてきました。それでもまだあるきます。おとしたひとはきっと、こまってます。みぎ、ひだり、みぎ、ひだり、、、
そうして、そらにおほしさまがでてきたころ、このはちゃんはみちにまよってしまいました。
「ここはどこ?おまわりさんは、どこにいるの?」
ここまでのみちに、ひとはあるいていませんでした。そして、くるまもいませんでした。さらに、どこのおうちにもあかりがついていません。
むこうのほうに、あかりがみえました。
このはちゃんは、そのあかりにむかって、はしっていきました。だれかいるとおもったからです。
あかりは、だれかのおうちからでした。
おうちのインターホンをおします。ぴんぽーんというおとがしたあと、だれかがでてきました。
しろくてもこもこしたふくをきた、おばあさんでした。
「こんばんわ。」
このはちゃんはあいさつをしました。
「こんばんわ。どうしたんだい、こんなよるに。」
おばあさんは、やさしそうなこえでいいました。
このはちゃんは、おばあさんにききました。
「どっちにいったら、おまわりさんがいますか。」
おばあさんは、こたえてくれました。
「いまはいないね。もう、よるおそいから。さぁ、おあがり。つかれたでしょう。」
「でも、おとしもの、とどけないといけないの。きっと、おとしたひとは、とってもこまっているから。」
このはちゃんのひとことで、おばあさんは、とってもあかるいおかおになりました。
「それは、わたしがおとしたけいと!ありがとう。これで、あみもののつづきができるわ。」
このはちゃんも、うれしくなりました。
「ココアがあったまっているから、さめないうちにどうぞ。」
ココアをのんで、こころもからだもぽっかぽか。
でも、なにかをわすれているきがします。
「おうちにかえらなくちゃ!もうまっくらだし、かえるみちがわからないよ。どうしよう、、、」
おうちにいる、おとうさん、おかあさん、おとうとのことをおもいだして、なみだがでてきました。いまごろどうしているだろう、きっとこまっているよね。それに、こんなにおそいじかんにおそとをあるいていたから、おこられちゃうよ。どうしよう。
そんなことをかんがえていると、パトカーのサイレンがきこえてきました。
「おまわりさんだ!」
このはちゃんはうれしくなりました。でも、おばあさんはおちこんでいます。
パトカーのサイレンがちかくでとまると、おばあさんのおうちのドアをたたくおとと、おまわりさんのこえがきこえました。
「メリーさん、このはちゃんのおむかえにきました。」
「はい、、、」
おばあさんがおちこんだかおをしていたわけがわかりました。このはちゃんにあえて、とてもうれしかったのに、すぐにいなくなっちゃうからです。
「おまわりさん、こことわたしのおうちって、ちかい?」
このはちゃんのしつもんに、おまわりさんは、ちずをひろげていいました。
「うーん、、、くるまでならちかいけど、あるいていくにはちょっととおいかな。」
「じゃあ、またあえるね。」
みんな、えがおになりました。
そのあと、このはちゃんは、パトカーにのってかえりました。
「おばあさん、メリーさんっていうんだなぁ、、、ひつじみたい!」なんてことをかんがえながら、かえりました。
そのよるから、このはちゃんとおばあさんはなかよしになったそうです。