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二話 「思い出のあの場所へ」
気が付くと私は、郊外より少し離れた住宅街に来ていた。
日が沈みかけていることもあり、人影は少ないが、どこの家にも明かりが点いてる。
しかしその明かりがどこか目のようなものに見え、
「なぜこの町に帰ってきた?」
と、言われているような気がした。
しかし、そんな事を考えている自分が馬鹿らしくなり、その住宅街を通り抜け、さらに歩を進めた。
「ここだ・・・」
その場所に着いた頃にはもう完全に日が暮れ、辺りは闇に包まれていた。
「あの時のままだ」
そこにあった建物、看板には『横井写真館』の文字が20年前と同じくきざまれていた。
この横井写真館は当時栄えていた商店街の中に造られた。
そして初めてこの写真館、祖母の家に来てからもう20年が経つ。
あの時はまだ5歳だった。
夏休みの一日だけ、この家に来てこの商店街を遊び回ったのを今でも覚えている。
だが今はもうこの写真館はつぶれ、商店街もほとんどの店がシャッターを閉め、人の気配も無かった。