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第1話 村から森へ

 ここは、かつて国境があった山の中腹にある村…


「お隣のおばちゃん! おはよー!」


 この村の中を元気よく走り抜けていくのは、この村に住む少女アウラである。

 彼女は、もともとこの村の出身ではないのだが、物心ついたときからこの村にいるため、すっかりとなじんでいる。


「アウラちゃんは、いっつも元気だねぇ…今からどこへいくの?」

「えっと…近くの森に木の実を取りに行くの!」

「そうかいそうかい…最近、凶暴な隈が出るらしいから、気を付けなさいよ…。」


 おばちゃんが注意すると、アウラは笑顔でこう言った。


「うん! わかった! ばいばーい!」


 手を振りながら、森の方に走って行くアウラに手を振るおばちゃんの顔には、笑顔が浮かんでいた。






 アウラが森に行くと、秋が深まってきたせいなのか、たくさんの木の実が落ちていて、アウラは、オレンジや黄色に染まった葉っぱが落ちている道を木の実を拾いながら歩いていった。


「あーこんなところにもある! こっちにも!」


 アウラは、いつも1人で森に来ていたのだが、夢中になって木の実を拾っているうちに森の奥へと入って行ってしまった。






 日が暮れて、あたりが暗くなり始めたころ…

 アウラが周りを見ると、いつも行くあたりよりもずっと奥の方に来てしまったことに気づいた。


「ここ…どこ?」


 すぐ近所の森と言えども、立派な森である。

 たくさんの木が行く手を阻み、どのような道を通ってきたのかわからなくなっていた。

 アウラは、茂みをかき分けて元来た道を探そうとしていたが、ずいぶんと道から外れてしまったらしく、自分がどこを歩いているのかさえわからなくなってきていた。


「ねぇ…誰かいるでしょ? 返事してよ!」


 誰かが探しに来てくれているんじゃないかと、声を張り上げてみるがこんな森の中に、人がいるはずもなく返事は帰ってこなかった。


「どうしよう…。」


 散々、森に入るときは何か目印を付けなさいと言われていたのだが、木の実を取ることに夢中になっていた彼女は、そのことを忘れいてた。

 歩き回っているうちに本格的に火が暮れてきて、あたりが暗くなり始める。


「『火魔術 暖かな灯(ホットファイヤー)』」


 1時間ほど歩きまわって、ある程度、冷静になってきたアウラは、たき火に火をつけて暖を取っていた。

 まだ、秋と言えどもこの地域は、夜はかなり冷える…

 理由としては、すぐ西に位置する旧王国の存在が大きいだろう…この地域は、夜になると風向きの関係で、旧王国側から冷たい空気が流れてくる。そのため、たとえ春だろうが、夏だろうが、秋だろうが夜は真冬日同様にかなり冷え込むのだ…


「寒い…。」


 アウラは、たき火を見つめながら、一人座っていた…

 今までは、温かい家の中で、ぬくもりを感じて寝ていた…つい、昨日の話なのにアウラは、そのことをずっと昔のようなに感じていた。






 いつのまにか寝ていたらしく、アウラは、まぶしい朝日を見ながら起き上った。


「起きた?」


 不意に横からかけられた声に体をびくっとさせる。


「驚かした? まぁいいわ…じゃあね…。」


 そう言い残して、少女は立ち去って行った。


「待って! どうやったら帰れるかわかる?」

「…それは、他人に頼るのではなく、自らの考えによって行動するものよ…たとえ味方でも相手に必要以上に情報を出すのはよろしくない…私は、姉にそう教わった…だけど、私はそう思っていない…情報は、隠すためにある…たとえ必要不可欠な情報でも…だから、あなたには教えないの…だけど、気分がいいからアドバイスしてあげるわ…せいぜいこれから訪れる出会いを大切にしなさい…女の人だったら「お姉ちゃん」とでも、呼んであげたら?」


 少女は、何かしらの魔法を使ったらしく、一瞬で消えてしまった。


「どういうこと?」


 アウラに少女の真意を理解できるはずなく、ただ、首をかしげているだけだった。

 読んでいただきありがとうございます。


 本編にあたる「ひだまりの国」の方もよろしくお願いします。

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