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23話「ごめんね」


「!?」


目が覚めると目の前には、閖花の顔があった。

しばらく思考回路運動停止した後、あぁそう言えば泊っていったんだと昨晩の出来事を思い出した。


「にしても…」

一緒のベットで寝るのは少しまずかったかな…


取りあえず早くベッドから出よう。色々と持たん。

そう思い取りあえずケータイで時間を確認する。


現在6時56分


「…早く起きすぎたな」

多分母さんが起きるのは8時。

基本母さんが起きるより前に部屋から出るのは禁止。何故か。


「さて、どうしたもんか…」


目がパッチリ覚めてしまったため、二度寝することは不可能だ。

布団から出れば寒い。

けど布団から出ないと色々と危ない状態。


一体どうしたらいいんだ…


頭を抱え悶える。


「スースー」

小さく寝息を立てている閖花を見る。


「…畜生可愛いなぁ」

顔が熱ぃ…あーもうこれ超顔赤いパターンじゃないですか!!

恥ず…


しかも閖花ってなーんか文化部!!の弥生ちゃんに似てるし…

いやいや俺は文化部!!では花咲 未来ちゃん一筋!!…多分。


ぶっちゃけ閖花と付き合い始めて弥生ちゃんに揺らいでる気が…


「うーおはよー」

「ドキッ)」


バッと振り向くと閖花が寝ぼけ眼でこっちを見ていた。

可愛(ry


「おはよー今日はどうする?」

「あうー今日は外ぶらぶら歩きたいかもー」

「んー分かった。取りあえず着替えるか。俺はドアの方行ってドアの方むきながら着替えるから閖花はそっちの壁見ながら着替えな」

「んー分かったー」


眠そうに眼を擦りながら壁の方を見る。

ホントに分かってるのか?


まぁいい。そう思いながらドアの方へ向かう。

 

「?」


ドアの下の隙間から白い紙が顔を覗かせている。

なんだこれ。

ひょいと拾い上げ折りたたまれている紙を広げ文字を読む。


紙の絵柄と字的に兄貴だろうなぁ。


「////!?」

ガタガタァ

驚き過ぎてその場から飛びのいた。

そのせいで机に足を引っ掛け尻持ちをついた痛ぇ。


「閖花ちゃんが素直な内に襲っておけよ☆」

と兄貴が書いたであろう紙が宙を舞う。


「英勝!?」

閖花が驚きのあまり勢いよく振り返った。


「「…あ」」


双方着替えの最中だったことを忘れていた。


「嫌ぁああぁあああぁあぁああぁぁああぁ!!」

閖花の悲鳴と、思い切り叩かれた音が鳴り響いた。


―――――――――…

「すみませんでした」

「嫌っ」


ぷくっと頬を膨らませツンと横を向く。

よっぽど下着姿を見られたのが嫌だったのだろう。

それにしてもほっぺた痛い。畜生思いっきり殴りやがって。


「いや、ほら、ね?お互い様と言うことで」

俺も下着姿見られたんだからさぁ…

「男と女じゃ重みが違いますぅ」

なんて理不尽な酷ぇ!!


「閖花ちゃーん英ー朝ごはんよー」


タイミング良く母さんが声をかける。

閖花も諦めたようで、俺の肩を叩いて「一緒に行こう」と声をかけた。

ひとまず安心。


―――――――――…


「何処行きたい?」

朝ごはんを食べ、一緒にゲームをして、お昼チョイ前に家を出た。

お昼ご飯は外で一緒に食べようと言う約束をして。


「んー取りあえずゲーセン行ってゲームして喫茶店でご飯食べよ」

「了解」


俺が手を差し出すと嬉しそうな顔をして閖花が握りしめた。

付き合ってどれくらい経ったんだろうか。

大分恋人同士っぽくなったと思う。


…そう言えば、閖花の過去の記憶ってどうなったんだろうな。

考え事をしている内に、歩くスピードが遅くなっていたらしく、歩くことに関してはせっかちな閖花が手を離しさきさき歩いて行っていた。


「あ、おい閖花。危ないぞ」

「だいじょーぶ」


ほぅらと言うようにクルクルしながら歩く。

「ったく…!!閖花!!」

「へ?」


全速力で走り、閖花の腹に手を巻いて自分の方に引っ張った。

間一髪、閖花は車にひかれずに済んだ。が。


「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

いきなり頭を抱え苦しみ始めた。

「閖花!?おい閖花!!」


そのまま閖花は意識を手放した―――――――――

――――――――――――…




「母さん!!閖花が…閖花がっ!!」

「病院に連れてって!!」



――――――――――…


そのまま、閖花は入院した。


「先生、閖花…川崎さんの状態は?」

「…外傷は全くありませんが、ちょっと内面的に…」

「会わせてください」

「…後悔はしないでくださいよ」


コツコツと静かな廊下に足音だけ響く。

何故か、嫌な気がした。


「…ここです。では私はこれで」


くるりと体の向きを変えて、元来た道を歩いて行った。


ぶっちゃけ不安だ。

閖花の身に何が起こったのか。俺でも力になれるのか。


俺は…役に立つのかな…?


不安に見舞われながらも平然とした顔で扉を開ける。

「英勝…」


光のない目で俺を見つめる。

じっと俺を見つめていた。沈黙が続く。


そしてふと閖花が口を開いた。



        「生きてきてごめんなさい」



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