15話「シークレット」
「はーまのーっ!!」
朝、濱野を見つけては濱野が遠かろうと近かろうと声をかける。
ただ気をひきたいだけ。
「おー川崎。おはよー」
何時も通りボサボサの髪。やる気のない感じの目。ダラッとしたラフな格好。そして右耳には文化部!!の未来の絵が描いてあるイヤホン。
すっごく眩しく感じてしまう私は馬鹿なのだろうか。
顔を見ることも恥ずかしくて出来ない。このまま顔を手で覆って土に潜りたいくらい←
「ん?その手にある袋…何?」
「ん?あぁ…これ?」
肩にかけてあった袋を手に取り、ガサゴソと袋の中を漁る。
「イエイ!!」
ズイッと濱野の顔の前につきだす。出されたのは全長20?程度のフンワリした感じの未来のマスコット。
「おまっ!!これはっ!!」
濱野のテンションが上がるのも当たり前。だってこれは難易度が高いと言われているクレーンゲームの景品で、可愛いので人気があるが取れないし数が少ないと言うレア物。
「ふっふっふー昨日私がこれを2つ取ったのだー☆」
クレーンゲームは得意なので対して金は使ってない。1000円ぐらい。使いすぎだって?でも1000円で取れたの合計15個だからどっちかって言うと儲けた方でしょ。多分ね。
「うわーいいなぁ!!」
目をキラキラさせてマスコットを見つめる濱野。
可愛い。という思いと同時に嫉妬、憎悪も芽生えた。
2次元だから次元は違うし、私は可愛くないけどこの子は可愛い。だから仕方ない。
そう分かってるけど…
どうしても生まれる嫉妬。
あぁ、私もこんなに可愛かったらなぁ。そしたら濱野に好いて貰えたのかな。
「要る?」
「要るッッ!!」
私は、都合のいい女としてでもいい。濱野に私を見てほしい。
気をひかせる。
何だってあげる。勉強だって教えたげる。
ただ、濱野の声が聞きたい。濱野の気をひきたい。傍に居たい。
――――――――…
「濱野!!クッキー要るか?」
「マジ!?くれんの!?ラッキー♪せんきゅーな(ニッコリ」
「ッッ!!/////」
可愛いな。可愛いな。こんな笑顔もっと見たいな。
…もっと…もっと…
―――…
「ふふっ。閖花もやっと自覚したんだね」
「え?」
「好きなんでしょ?濱野君」
ブーッと思わず飲んでいたお茶を噴き出してしまった。
「なっななな///」
顔が真っ赤になる。嘘をつけない可哀想なこの顔…←
「隠さなくていいよ、分かってるから。そうでしょ?」
小さく首を縦にふる
「「でもこれは私たちだけの秘密だよ」」