道路(中)
シスターのように真っ白な服を着ていて、気配は人間ではなかった。
「 『し、・・・しっちの・・』 」
「ああ、《湿地の教会》のネズミか。なるほどね。わかるだろうけど、おれは《魔法使い》につかえる『白いカラス』だ」
カラス!!
おれはほんとうにいた『カラス』にみつかってしまったのだ!
そのまま、男の顔の前にもってきて、ぶらさげられた。
黒い髪に白い肌の男が、濃い青い目をじっくりとむけてくる。
おれの勘が、こいつはヤバい、とつげた。
「なんだよ、そんなあばれるなよ。しっぽがちぎれるぞ」
「 『 ・・・・・ 』 」脅しに屈したくはなかったが、尻尾はだいじだ。
「いいか、こんなところの道路のまんなかで立ち止まるなんて、このあたりの動物ならやらないんだ。もっと野ネズミらしくしたほうが安全だけど・・・、 ふうん、ちょうどいいところにちょうどいい車がきた。 ―― なあ、ヒッチハイクってしってるか?」
「 『 ひっち・・・? 』 」
魔法使いがつかうなにかのおそろしい呪文か、それとも、この『カラス』がつかうことをゆるされている、残酷な拷問器具の名だろうか?
「いいか?よくみて。おれの真似をするんだ」
いって、おれをてのひらにのせると、もう片方の腕を横につきだしてに手をにぎり、つぎに親指だけを立てた。
「ほら、やってみろ」
その『真似』をしたら、おれはいったいどうなるのか、・・・おそろしくてたまらない。
だが、これは、えらばれたおれが、試されているんだ。
おれはくじけない。
たとえおそろしいことがあっても、おれはその試練をのりこえてゆくと決めたんだ。
ふるえたがどうにかたちあがり、男のてのひらのうえで、ゆっくりと前あしのかたほうをつきだして、ゆっくりとゆびをいっぽんたてた。




