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AIホラー劇場  作者: gramgram


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27/27

都内の配送業者で働くAさんから聞いた話。


数年前の秋、Aさんは深夜の国道を一人で大型トラックを走らせていました。

場所は山間部を抜ける片側一車線の長い下り坂。

その夜は霧が深く、視界は最悪でした。


ふと前方に、自分と同じくらいの速度で走る軽トラックのハザードランプが

見えました。


「こんな霧の夜に、ハザードを焚いて先導してくれるのはありがたい」


Aさんはそのランプを頼りに、一定の距離を保って運転を続けました。


しばらく走っていると、前の軽トラックが緩やかにブレーキを踏み、左側の路肩に寄せて停車したそうです。

Aさんは「道を譲ってくれたんだな」と思い、軽くパッシングで挨拶をしてその

横を通り過ぎようとしました。


ところが、すれ違いざまにトラックの運転席を覗き込んだAさんは、目を疑い

ました。


運転席には、誰も座っていなかったのです。


驚いてバックミラーを確認すると、霧の中にポツンと浮かんでいたはずのハザードランプは、影も形も消えていました。道は一本道で、脇道もありません。


ゾッとしたAさんがアクセルを踏み込み、その場を離れようとした時です。

トラックの背後にある荷台から、「トントン、トントン」と、誰かが叩くような音が聞こえてきました。


「荷物は残ってないはずなのに……」


怖くてミラーを見ることもできず、ようやく麓のコンビニに駆け込んだAさん。

明るい照明の下で震えながら荷台を開けると、やはり人の姿はありません。


ただ、空荷のはずの床に、数センチ(ほど)の白い塊がパラパラと散らばっていました。


「なんだ、これ……」


手に取ると、それは石灰のように、カサカサと乾いた質感でした。


言いようのない嫌悪感に襲われた彼は、それを一つ残らず拾い集め、軍手で包むと、近くにある人気のない古い橋の上から、真っ暗な川底へ向けて全て投げ捨て

ました。


それから、Aさんは二度とその道を通りませんでした。

後で聞いた話では、その坂道は地元でも有名な事故多発地点で、数年前には霧の夜に軽トラックが崖下に転落する、悲惨な事故も起きていたようです。


あれは犬か何かの骨だった、とAさんは今も信じているそうです。



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