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AIホラー劇場  作者: gramgram


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26/26

映像関係の仕事をしている知人から聞いた話だ。

数年前、心霊スポットの撮影に同行したときのことだという。


場所は県境の山奥にある廃神社。

鳥居は崩れ、社殿も半分土に埋もれていた。

いわゆる“出る”場所らしいが、撮影中は何も起こらなかった。

ただ、虫の音がやけにうるさかったそうだ。

特に、耳に付きまとうような小さな羽音が、ずっと鳴っていたらしい。


そこから家に帰るまで、別段おかしなことはなかったという。

しかし風呂から上がってベッドに入ったとき、再びあの羽音が聞こえてきた。

今度は外ではなく、自分の耳の奥から。

窓を閉めても、部屋を変えても、音は止まらなかった。


病院に行っても異常は見つからなかった。

医師の診断は「ストレス性の耳鳴り」だった。

だが、彼は言う。

「音が、呼吸と同期してるんだよ。

まるで、自分の中で羽ばたいてるみたいに」


ある夜、彼は部屋の壁の隅に虫がいるのを見つけた。

小さくて、羽がある。見たことのない形だったという。

指を伸ばした瞬間、耳の奥で羽音が跳ねた。

指先が痺れたように動かなくなり、音が急に強くなった。

気づいたときには、虫は消えていた。


それから、彼は夢を見るようになった。

あの神社の中。社殿の奥に、何かが蠢いている。

羽音が、心臓の鼓動と重なるように──


最後に会ったとき、彼はこう言った。

「たぶん、音だけくっついてきたんだろうな。

あれは、鳴いてるんじゃなくて、呼んでるんだよ。

仲間を」


その後、彼とは連絡を取っていない。

彼の話を聞いて以来、夜に羽音が聞こえるようになったからだ。


窓を閉めても、止まらない。


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