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3.誰だって不敬罪は怖い/隈のあるやつはヤバイ…はずだった(テオ視点)

テオさんが目覚めてから分かったことがいくつかある。



まず彼は貴族である可能性が極めて高い、ということだ。

これは所作がきれいすぎることと、人を使うことに慣れすぎていることで何となく想像がついた。それに名前も偽名か弄っていそうな感じの言い方をしていた。


そして彼は騎士である、ということだ。

剣の装飾や私へ剣を向けたときの行動からして判断した。それに貴族という考え方を合わせると、かなり高貴な人物の護衛を務めていたのではないだろうか。



この結論から導き出されるのは、不敬罪にならないように出来るだけ丁寧に接することと生活水準を彼の本来の生活に近づけることだけだろう。


正直マニュアルか何かが欲しい。トムおじいちゃんも貴族には絶対に関わるなって言ってた。ごめんね、折角忠告してくれていたのに。


ちょっと詰みかけている現実に遠い目をしながら、お金稼ぎのためにポーション作りを始めたのだった。




ポーション作りは私が普段からお金を稼ぐためにしている仕事で作り方もトムおじいちゃんに教えてもらったものだ。


ポーションには下級ポーション、中級ポーション、上級ポーション、特級ポーションがある。


上級になるほど大きな傷を治せるが、その分値段が高くなる。

特級ポーションに至っては腕が千切れていても引っ付くと言われていて国や上級貴族くらいしか持っていないらしく、とても貴重なんだって。


ちなみに私は上級ポーションは作れるが、特級ポーションは作ることが出来ない。素材が手に入らないし、多分、技術も足りない。


そしてポーションは傷口を癒してくれるが、飲み続けてしまうと自身の免疫がなくなり、身体が傷を治さなくなる上にポーションの効かない病気にも罹りやすくなってしまう。


しかし回復魔法では自身の回復力を高めて傷を癒すので免疫がなくなるということはないが、大きな怪我を治療するのに向かない。


だから最初のテオさんの治療には上級ポーションを使用して、その後の比較的小さい傷には回復魔法を使ったのだ。



今後は回復魔法を使わない方がいいかな。

回復魔法を使いこなせる人はとても希少だと聞いているので、傷もしっかり癒えているようだし、自分から危険を冒す必要はないと思う。変に目を付けられて勧誘でもされたら困るし。


彼には悪いが、何かあったらポーションでどうにかしよう。



考え事をしながらの作業はあっという間だ。

まあ、ポーション自体、薬草を刻んで魔力を込めながら煮込み、濾すだけという単純作業ばかりなのだが。

きっちり200本分、いつもの倍である。


これを売りに行ってついでに食料や服も買わないと。

彼が寝ている間はいつ体調が急変するか分からないので、家からほとんど出られなかった。


食料はもうほとんどないし、彼が着ている服はトムおじいちゃんが使っていたもので、サイズが合ってない。


ポーションを無属性の空間魔法で作り出したアイテムボックスという名の摩訶不思議4次元空間に入れる。テオさんに一言声をかけて久しぶりの買い物に向かったのだった。






「はあ…はあ……!」


どこかの森の中を魔物に追われながら走り続けている。相当遠くにこいつらを誘い込めたはずだ。


「シャァーーー!!!」


右斜め前方からこちらを丸呑みにしようと口を大きく開けた魔物の顔が飛び出してきて、それを地面に転がりながら回避し、また走り出す。


私を追い続けているのはホワイトバイパーという白い巨大な蛇だ。それも2体。


早く倒してしまいたいが、一匹を攻撃しようとするともう一匹が邪魔をしてくる。

面倒以外の何物でもない。


そして今度は前方から襲ってきたため回避しながら、剣を太い首に振るう。

しかし予想外に骨が硬く、半分ほど首が繋がったままになり、痛みで怒り狂って暴れ始めた。


暴れたことで動きの予想がつかなくなり、尻尾からの攻撃を受け、数m吹っ飛ばされ木に激突した。


その状態を見逃してくれる相手ではなく、二匹が一斉に口を開け、突っ込んできた。


左側に飛んで回避を試みたが、左足を噛みつかれてしまった。


しかし、噛みついていたのは首に一撃を加えている個体だった。そのため再度剣で首を狙い、ついに首を落とすことに成功する。


だが、まだ無傷のホワイトバイパーがもう一匹残っている。それに対してこちらは片足がやられた状態だ。


暗殺者から逃げた森の中でホワイトバイパーの縄張りに侵入してしまうとは全く運がない。


痛む足に鞭を打って再度、森の中を走り始めた。






目が覚めて最初に見たのは木製の古い天井だった。



そして次に視界に入って来たのは古ぼけているが清潔にされているシンプルな部屋と目の下に真っ黒な隈がある女の顔だった。


昔から女には苦労させられてきた。隈を作っている女は頭が狂った行動しかしない。



だから近くに置いてあった自身の剣を抜き、首に添えた。


そうすると、ほとんど者は恐れて近づいてこなくなる。今回もそうなることを想定していたのだが、なぜかすごく優しい目を向け、こちらを心配してくる。


今更気が付いたが、あれだけの怪我をしていたのに痛みがない。しかも私を治療したのは自分なのだと言う。


まさか命の恩人に剣を向けてしまうとは…。


素直に謝罪し、感謝を伝える。彼女は全く気にすることなく、再度私のことを心配してくれる。

何と懐の深いことだろうか。


食事が摂れるかと聞かれ、「食べられると思う」と答えると、彼女は料理をしに部屋を出ていった。


一人になった部屋で左足を確認する。

もう歩くことは出来ないだろうと諦めていたが、傷跡ひとつなく、繋がったままだ。動かしてみると少しの違和感は感じるが、ちゃんと動く。




そのことに心の底から安堵した。




彼女の作ってくれたパン粥はとてもおいしかった。

細かく切られた野菜に普通のパンを使った至ってシンプルなものだったが、優しく、温かい味がした。


食べ終えると身体が睡眠を欲していた。まだ完全には回復していないのだろう。


寝ることを伝えて目を閉じる。するとすぐに意識を手放したのだった。

読んでいただきありがとうございます!


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