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2.そんなことする?普通

あれから何日も経った。水を飲ませて、ご飯を食べさせ、体を拭き、回復魔法をかけた。


そして今も、1日1回の回復魔法をかけ終えたところだ。





私の魔力量や魔法の威力は普通だったが、火、水、風、土、聖、闇、無の7つ全ての属性扱うことが出来た。


魔力は魔法を使うために必要なものらしく、この世界の人はみんな持っている。けれど、魔法を使える人は大体3割くらいの人だけで「これはチートなのでは?」と思ったが、いるにはいるらしい。


国に仕えている魔法省の筆頭魔法士というのは全属性使えるのが、入省条件だとトムおじいちゃんが言っていた。



そしてトムおじいちゃんは全属性扱えて、かつ風精霊との契約者だった。



精霊はこの世界で信仰されるほど神聖な存在で基本的に人生で1回姿を見れるかどうかというほど希少だけれど、家には契約者がいたからよく見かけていた。

トムおじいちゃんが亡くなってからは、1度も見ていないけど。


そんな精霊契約者の風魔法は別格で、もうすごいとしか言いようがなかった。


そして魔法を教えてくれた人が本当にすごかったので、私の魔法の扱いは上手なのだ。特に聖属性の回復魔法はトムおじいちゃんも良く褒めてくれたし。






男性はスゥー、スゥー、と規則正しい寝息を立てて眠っている。


回復魔法を何度もかけているので傷のあった顔も綺麗になっているが、見たときは本当に驚いた。


だって、神様が作ったみたいに顔のパーツが整っていたんだもん。


こんなに整った顔ある?!とマジで思った。


この顔面を見てスカートなどの女性らしい服装はやめることにした。女性に苦労してそうだから起きた時に心休まないかと思って。


元々日本ではズボンばかり穿いていたけど、ここでは女性はスカートオンリーだと言われて仕方なく穿いていたからむしろそうであってほしい。


顔は置いておくとしても見た目は傷ひとつなく、いつ目を覚ましてもおかしくないけれど、一向に目覚める気配がない。


正直お手上げ状態で他に何をすればいいか分からなくて困っている。

私に医療の知識は全くと言っていいほどないし。


しかも、もう何日もまともに寝れていないから頭が働かなくなっている。一度仮眠をとってまた何かいい方法がないか考えよう…。


そうして自室に戻り、ベッドに潜り込むとすぐに睡魔が襲ってきて瞼が落ちた。




やっぱりあまり寝れなかった。眠りも浅いし、時間も短い。



本当に起きてくれないと私の方が先に死んじゃう。


本格的に焦りながらも足はあの客間に向かっていく。もしかしたら、という希望を込めてノックをして中に入ると綺麗に寝ている男性がベッドにいるだけだ。またもや希望を打ち砕かれたことに絶望する。


本当に何したら起きてくれるのだろうか。


「お姫様のキスで目覚めるとかそんなメルヘンチックなことだったりする?ここにお姫様はいないけど」


本格的に現実逃避をしてしまうヤバイ事態だ。

それに一人になってから独り言が多くなっているから、これからは気を付けなければ。


今この部屋には私だけじゃないし。


「んん……」


私のヤバイ発想に危機感を覚えてか身じろぎをし、ゆっくりと目が開いた。


その瞳はサファイアのように深い青をしていて何度か瞬きを繰り返してやっと私を視界に入れてくれたようで目が合った。


「おはようございます。調子はどうですか?」


私が問いかけるとこれでもかというほど目を見開き、玄関に落ちていたので取り敢えず立てかけておいた彼の物と思われる剣を持ち、抜き放った。


もちろん剣先は私の首に添えられている。


正直めちゃくちゃ怖い。だって、少し動いただけで頭と胴体が永遠のお別れを告げてしまうから。


しかし、彼は一応怪我人(見たところ傷はない)だし、さっきまで寝ていたのだ(看病は私がした)。多少取り乱すことは仕方のないことだと思う。


だから、出来るだけ優しく、無害そうに、微笑んで対応しないと。



私の命のために…!


「それだけ動けるなら大丈夫でしょうか?それともどこか痛みますか?」

「…あなたは誰だ」

「私は瀬奈と言います。あなたは私の家の玄関に倒れていたのです。」

「あなたが私を治療したと?」

「はい、そうです。」

「…すまない。取り乱してしまった。助けてくれたこと、礼を言う」

「いえいえ。どういたしまして。」


そう言って彼は剣を鞘に収めて元の位置に戻し、ベッドに座り直している。


どうにか分かってもらえたようで助かったー!!!本当に命の危機だった!


とりあえず名前を聞いて、それから痛いところがないかもう一度聞いて、何か食べられそうかも聞こう。


「すみませんが、あなたのお名前を教えてくれませんか?」

「私は、テオ、と言う。改めて、助けてくれてありがとう。」

「テオさん、ですね。気にしないで下さい。それで、痛いところはないですか?」

「問題ない」

「それは良かったです。何か食べられそうですか?」

「ああ、食べられると思う」

「分かりました。胃腸に優しいものを作ってきますので、少し待っていてください。」


彼を部屋に残して1階のキッチンに向かう。

野菜や鳥がらで摂った出汁に小さく切った野菜を加えて火にかけ、小さく千切ったパンを投入し、やわらかくなるまで煮込んで塩コショウで味を整えたら、パン粥の完成。


一応、味見。うん、おいしく出来てる。


どれくらい食べるか分からないので、鍋ごと2階の部屋へ持っていく。ノックをして返事を待ってから扉を開けて中に入り、鍋を近くのサイドテーブルに置く。お椀にパン粥を取り分け、テオさんに渡す。


「パン粥を作りましたので、食べられるだけ食べて下さい。」

「ありがとう。頂こう」


そう言ってとてもきれいな所作でパン粥を食べていく。

器の中身がなくなったら受け取って注いで渡す。それを鍋の中身がなくなるまで繰り返した。


「うまかった。ご馳走様。」

「お口に合って何よりです。」


結構な量を作っていたので、完食するとは思わなかった。そしてご飯を食べて満腹になったからか、少し眠そうだ。


「…悪いが、少し寝ていいか」

「どうぞ、ゆっくり休んで下さいね。おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」


そうして彼はまた眠りに落ちていった。




その日の私もまた、久しぶりによく眠ることが出来た。

読んでいただきありがとうございます!


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