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17. バレたな、これ。/許さない(???視点)

次の日も、そのまた次の日も掃除をしたが、一向に終わる気がしない。片づける度に省長が散らかしてしまい埒が明かないからだ。


一応本人にはしっかりと言い含めたのだが、直る気配は今のところない。



最近の昼食は第三近衛騎士団の執務室でテオと共にお弁当を食べるのが習慣になっている。ついでにお菓子まで要求されたので、私は毎朝時間に追われている。




そして今日は彼が会議に出席するため初めて第八魔法省の三人と食堂で昼食を食べることになった。



「ねぇ!あのテオドール騎士団長様と仲がいいって本当?!」


初めて食べる食堂のご飯に舌鼓を打っているとユリアさんが先程の言葉と共にキラキラと瞳を輝かせてこちらを見つめてくる。


「…それ、どこ情報ですか?」

「えっとねぇ、色々かな!騎士様とかメイドさんとか。あ、あと、魔法士の中にも噂してる人がいたよ?…で、どうなの?実際!!」


彼女は身体を前のめりにし、さっきよりも更に瞳を輝かせて聞いてくる。


彼女から少し視線を外すと、話題に興味を持ったマックと省長もこちらに視線を寄越しているのが確認できた。


実際執務室に通っているし、団員達に会ったりもするし、ヒュドラ戦もあったから噂になっていても仕方ないし、これくらいなら話してもいいかな…。



「うん、まあ、良いか悪いかで言うと良い方だと思いますよ」

「ええー!やっぱりそうなの?!いいなぁー!テオドール騎士団長様とどうやって仲良くなったの?!」

「僕も気になるなぁ」

「ええっと、テオ、ドール様が、怪我しているところを偶々助けたのがきっかけですね」

「え、あー!!もしかしてテオドール騎士団長様が行方不明になってた時?!」

「多分そうですね」


騎士団以外の人にも彼がいなくなっていた事実が伝わってるって事は相当大騒ぎになっていたのでは…?帰るように促した過去の自分、グッジョブ!!!


「なるほどねぇ~」

「なるほど!なら仲良くなっても可笑しくないね!」

「?テオドール様が誰かと親しくすることって変なんですか?」

「変っていうか、テオドール騎士団長様って女性嫌いで有名だもん。」


有名…貴族社会では周知の事実なの?


「筆頭魔法士の中にも邪険にされたっていう女の人が時々いるんだよねぇ」

「…よく聞く話」

「あー…確かに、始めは警戒されていましたね」


警戒されたというか、起きて早々に剣を突きつけられましたね。そしてやっぱり今までに女性関係で苦労してきたようだ。


「じゃあどうやって親しくなったのかな?」

「普通に女性らしさを失くして過ごしてましたね」

「「女性らしさを失くす??」」

「まあ簡単に言うと男性と同じようにズボンを穿いて過ごす、とかですね」


私にとっては快適でした。

この世界の女性にはない発想だったから気に入られたのかしら?


「えー!?それだと見初めてもらえないじゃない!!!」

「いや、見染めてほしくて助けたわけじゃないですし。」

「そんなことある?あの美貌よ?!あわよくば!って思うじゃない!!普通!!」

「…そういうものなんですか?」


チラッと男性陣の方に視線を向けてみると、苦笑を浮かべられてしまった。


「知らない…」

「いや~僕に聞かれても困るんだけどねぇ…でも、あの見た目で公爵家の次男で近衛騎士団の団長だから、狙ってる令嬢は多いかな」

「省長の言う通り!テオドール騎士団長様に愛を囁かれたいって思うご令嬢は大勢いるのよ!!!」



「私が何か。」


「「えっ?!」」  「え?」  「?!」



その声に驚いて一斉にバッと振り向くとそこには噂の張本人であるテオが立っていた。


いきなりのご本人登場に普段会話をすることがない他の三人は固まってしまった。

そのため私しか彼の相手出来る人が残っていない。


面倒事が降って湧いてきそうな予感がひしひしとしているので本当は相手したくないけど。


「…会議、お疲れ様です。昼食ですか?」

「ああ。セナもか。」

「はい。食堂のランチ、おいしいですね。テオが普段利用しないのであんまりなのかと思っていました。」

「セナが作る方がうまいと思うが。」

「そう言ってもらえると嬉しいんですけど、食堂もとてもおいしいので是非食べてみて下さい」


そうして頂けると私の睡眠時間が毎日一時間以上長くなるので、是非食堂を利用して下さい。


あと簡単にお菓子も作ってくるように私に言ってくれましたが、大変なんですからね!


「ふむ。検討しよう。」

「…それは利用しないっていう結論が出ていますよね?」

「そんなことはない。実際今日は昼食を摂りに来ている。」

「でも、積極的ではないですよね?」

「それはそうだな。」


肯定されてしまったため、これからも毎朝時間に追われることに変わりなさそう。


でも一応諦めはしないでおく。


「おいしいですよ?とっても。」

「分かった、考えよう。」

「そうして下さい」

「ああ。午後からまた違う会議があるので私はこれで失礼する。」

「会議、頑張って下さいね。」

「ああ。」


そしてテオがスタスタと私達のいるテーブルから離れていった。


彼が去った後でも第五魔法省の三人は硬直から復帰出来ていなかったので一人黙々と食事を再開した。


「…ちょっとぉーーーー!!!すごく仲いいじゃない!!!しかもテオドール騎士団長様のこと、テオって呼んでるの?!?!」

「あ、やっと戻ってきましたか。全然動かないから心配しましたよ?」

「いやいやいやいや!!驚くよ!普通!!いつもあんな感じでテオドール騎士団長様と会話してるの?!」

「そうですね、あんな感じですね」

「うっらやましいぃーーー!!!!!」

「セナ君、大物だねぇ…」

「…確かに…」











何なのよ、あの女。

私のテオドール様とあんなに親しげに接するなんて。


しかも「テオ」と愛称で呼んでいたわ。




許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない!!!!!!!!!!




私のテオドール様を助けてくれたことには感謝しているけれど、そこまで許可した覚えはないわ!!!


きっと、その件を持ち出されて上手く断れないのね。




あぁ、なんてお可哀想なテオドール様。




…調子に乗っている平民に身の程を分からせなくてはいけないわよね?



ほんの少しだけ待っていて下さい、テオドール様。



私が貴方様を自由にしてみせますわ。


読んでいただきありがとうございます!


「面白いなぁ!」

「続きが気になる!」

「早く投稿を!」


と思ったら!



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正直なお気持ちで良いので是非!!


でも、

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