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10.帰ってきて良かったとも思うし、もう既に帰りたいとも思うが、どうしたらいい?(テオ視点)

「テオドール・リィ・アルガータ、只今帰還致しました。多大なるご迷惑をお掛け致しましたこと、深くお詫び申し上げます。如何なる処罰も受ける所存です。」

「おかえり、テオドール。君が無事に帰ってきてくれて良かったよ。勿論、処罰なんてものはないから安心してね」

「殿下の温情、感謝致します。」

「もう、固いなぁ。普通にしてくれていいのに。」

「では、そうさせてもらう」

「うん、そうして」



今、殿下の執務室にいる。

セナに送ってもらってから門まで歩き、門兵に家紋の入ったペンダントを見せた。


すると公爵家に連絡が行き、迎えの馬車が来てタウンハウスに戻った。それから近衛騎士の騎士服に着替え王城に報告のため登城し、今に至る。



殿下とは王家と公爵家と言うこともあり、幼いころからの仲だ。仰々しい挨拶も他の視線がなければ許してくれている。


しかしもう既にセナのいるあの家に帰りたい。


まず暑い。

まだ殿下の執務室は温度調整されているが、それでももう少し冷やして欲しい。


あと、これから始まる久しぶりに会う貴族や王族への堅苦しい挨拶。

既に息が詰まりそうだ。


せめてこの騎士服にもう少し柔軟性があればとも思う。


なぜ私はここへ帰ってきてしまったのだろう。



後悔の念に駆られているテオドールなど知る由のないセシル殿下は喜びを露わにした表情を隠そうともしない。それほどまでに心配してくれていたのだろう。


「にしてもこの3か月くらいどこにいたの?君の目撃情報がほとんど集まらなくて困ってたのにいきなり王都に現れてさ。ビックリしたんだよ?」

「それはすまない。怪我をしたところを一般市民に助けられた。王都には転移魔法で帰ってきた」

「転移魔法?それはすごいね。怪我も治療してもらっていい人に助けられたね。」

「ああ。彼女に助けてもらわなければ死んでいた。本当に私は運がいい」

「彼女ってことは、女性?!しかも死んでたって、そんなに酷かったの?!」

「そうだが。何に驚いている?」

「全部だよ!君が女性に対して普通の反応なのも、死にかけるほど酷い怪我を負ってたことも!…本当に君が無事でよかったよ…」


彼女の言った通り誰もが私を心配し、帰ってきたことを喜んでくれた。


こうなることが分かっていたからあんなにも強引に帰らせようとしたのか。あのままあそこで暮らしていたら、今も殿下たちを心配させ続けていたのか。


自身の浅慮さに申し訳なくなる。


「…心配をお掛けしました」

「本当に心配したんだから。…で、その女性は何か言ってた?」

「何か、とは?」

「君を助けたんだよ?何か要求されなかった?例えばお金とか。」

「いや何も」

「え、本当に?」

「ああ」

「テオドール自身を望んできたりも?」

「いや、無い」


そんなことがあったらどれほど良かったことか…!

もし、望んでくれていたら…皆に再び会うこともなかったのか…。


どうするのが正解だったのだろうか。

皆に会えて嬉しいが、それでも彼女への思いは捨てきれない。恋情とは、こんなにもままならないものか。



テオドールは自身の初めての感情を持て余していた。


これから長い時間セナには会えないことが分かっているからこそ恋しく思い、彼女のもとへ帰りたいと思う反面、今までを築き上げてきた友人たちと過ごす時間も大切だったと気づき、これから先も関わりを持っていきたいと思う気持ちがせめぎ合っているのだ。


そしてこれらの感情に正解はきっとないことだろう。



ある意味贅沢な悩みに頭を抱えているテオドールだが、それを表情に出すことはない。顔に出すことは貴族社会では弱みになるからだ。そしてそのことが身体に染みついている。


私の淡々とした返しを聞いたセシル殿下は助けてくれた彼女への対応に頭を悩ませているのか、考え込んで黙ってしまった。


だが、きっと礼など必要ないと彼女は言うと思うから意味のない悩みだ。



セナが聞いていたら「欲しいに決まってるでしょう?!」と言うこと間違いなしであるが。


そしてこの後の話し合いでギルバート自身が礼をしに行くことで決着した。


一応王家の方からも報奨金がテオドールを経由して渡される運びとなっている。


きっとお金を渡された時セナは顔には出さないが、心の中で大喜びすることだろう。

貯金がほとんど底を付いていたのだから。



そんなことなど知らない執務室二人のセナへの株が本人の与り知らぬところで急上昇していたのだった。






「失礼する。明日から職務に復帰する」

「「「団長!!!」」」


第三近衛騎士団に与えられた執務室へ顔出しをしている。

皆、私が入って声を掛けた途端に立ち上がった。見渡すと涙ぐんでいる者までいる。それ程までに慕われていたのだとは知らなかった。


そして友人であり、第三騎士団副団長として支えてくれているフィンが力を込めて肩を叩いてきた。


きっと心配させていたのだろう。


「テオっ…!」

「すまない、迷惑をかけた」

「ホントに勘弁してくれよな!団長代理とかマジで大変だったんだぞ!」

「ああ、助かった」

「もうぜってぇ、やらないからな?」

「ああ」

「本当だからな!あと、酒奢れ!」

「分かっている」

「ならよし!」

「他の者達も、いない間苦労を掛けた。私から皆にも酒を奢ろう」


団員たちの「ありがとうございます!」や「ゴチになります!」と言った弾んだ声が湧く。こういう賑やかな時間も悪くない。




テオドールは仕事仲間からはとても評判がいい。

強いし、仕事は出来るし、真面目だし、指導も的確だし、ご飯に連れて行ってもくれる。どこをどう取ってもいい上司、同僚なのだ。




だがそれを恋愛には活かせないのが本当に残念な男である。

読んでいただきありがとうございます!

第二章開幕です!


「面白いなぁ!」

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