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お買い物

///一晩開けて宿屋///


ベッドは錬金術師が占領し、荷物を枕にして寝ていた戦士さん。

朝起きると荷物はそのままで戦士さんの姿は見当たらなかった。

外から明るい日差しが差し込んでいる。

もう戦士さんは起きて、顔でも洗にいったのかと窓を開け、外を眺める。


まだ少し重いまぶたをこすりながら温かい朝日を浴びていると、外を走る人影が。

戦士さんだ。

こちらに気づき軽く手を上げてまた走っていく戦士さん。


「トレーニングかぁ、私も運動しないとなぁ・・・」


旅を続ける中で、やはり長時間歩くことが多い、この小さいからでは結構つらい。

というより、体に違和感がある。

前世との違いだ。


前世では栄養不足で細かったのだが、なぜか身長は大きいほうだった。

しかし、今はどちらかというと身長は低め、そして産まれたてだ。

心と体の感覚が一致していないのだ。


錬金術師はよく転ぶがそれが理由、歩いてる時は大丈夫だが、走ろうものなら1歩の距離感がうまくつかめない。

本来ならもう少し前に足がでるのだが、短い足は前に出ず、こけてしまう。


「よし!私も明日からやろっ・・・!」


やらないやつだ。


///出発の準備///


「よし、忘れ物はないね!」

「はい、大丈夫です!」


二人は荷物をまとめ、宿を出る。

と、その前に戦士さんは寄りたいところがあるらしい。

前回言っていたことだが、傷薬や包帯等、旅の必需品を買うようだ。


戦士さんはこの街にも来たことがあるため、すぐに雑貨屋、いや錬金術のお店についた。


「・・・いらっしゃい・・・」


中には気弱そうな女性店主、年齢は20代後半といったところだろうか?

細身でメガネをしており、猫背の女性。

だが、なぜだかそういう見た目に少し信頼できるような感じがした。

漫画でこういうタイプは知識豊富っぽいからだろうか。


戦士さんが必要な物を選び、カウンターに持って行く。


傷薬(塗り薬)

ポーション(飲み薬)

包帯

ランプの燃料

着火剤(油を固めたやつみたいなの少し削って使うよ)

保存食少々(ドライフルーツ)

等々


「えぇーっと・・・全部で・・・銀貨8枚・・・だったかな・・・」


ちょっと適当だが、適切な価格、よりは安い気もする。

戦士さんは鞄に丁寧に詰め込んでいる。

その間に錬金術師はお店を物色していた。

いろいろ見ている中に、ひときわ気になる石を発見した。


「んー?虫?」


中に何かいるような気がして、覗き込む。


「・・・・おじょうさん、その精霊が見えるの・・・?すごいね・・・」


店主が話かけてくる。

しかし、なんのことやらわからない錬金術師。

店主は続けてこう話した。


錬金術師が見ていた石は、例のごとく精霊石。

かなり古い精霊が中にいるようで、精霊を感じられる人でも見るのは難しいそうだ。


(精霊石は精霊が一番活発な時に結晶化し、石が大きくなり、その後精霊の寿命やエネルギー供給がない場合、輝きが薄れていきます)


「・・・私は石が好きでして、もしそんな感じの珍しい石があったら持ってきてね、買い取るよ・・・」


その言葉に錬金術師は思い出し、ゴソゴソと戦士さんの荷物に手を突っ込み、石を取り出す。

戦士さんはいつのまに入れたの?と驚いていたが、錬金術師は銅貨1枚でもいいので旅の足しになるかなとカウンターに置いてみた。

店主はさっそく手に取り、手触りと、ルーペで確認してみる。


「ど、どうですか・・・(やっぱりただの石かなぁ)」


じっくりと見る店主。

いつ拾ったのかなと思う戦士さん。


「・・・・この石、出所は?」

「え!?あぁー?ひ、ひろいましたー(やばい、また捕まるかも!)」


この石は井戸を掘った時に錬金術で変換した石だ。

特にこの石にしようと思って変換したわけではないので、なんの石か本人にもわからない。

店主は少し考えながらこちらを見つめる。

ドキドキする錬金術師。


「・・・・なんだろこの石・・・珍しいね・・・出所が不明ってのはちょっと、買い取りづらいんだけど・・・・」

「あ、ほんと、全然!大丈夫なんで!」


両手を出して受け取って帰ろうとしたが店主が石を離さない。


「・・・古い精霊石に近いものを感じるけど、なんだろうなぁ、精霊が作った感じじゃない、けど、人工的に削った感じでもない、けど、

 精霊が作ったようにも見えるし、人工的な物にも見える・・・不思議・・・」


・・・・・・沈黙が続く。


「・・・よし、金貨5枚でどうかな・・・」

「えぇ!!」


戦士さんが一番驚く。


「い、いんですか?」

「・・・いいよ、正直わかんないけど、価値はあると思う、何より私が調べたい・・・」


ほっとする錬金術師に、なぜだか嬉しそうな戦士さん。

ただ店主がまたこちらをジロッと見て、不敵な笑みを浮かべる。


「・・・おじょーさん、あんまり分からない物をその辺で売らないようにね・・・誰が見てるかわからないし、後をつけられるかもしれないよ・・・ふふ」


身震いする錬金術師。

一瞬地面を掘って、石を換金したらもうかるかと思ったが、やはり知識の無いことはやめておこうと思った。


金貨を受け取り、少し余裕ができたので何か買おうと思う。

よくわからん石を売って金貨5枚もらうのも申し訳ないしなとも思う。

だが、特に自分が必要というものがない、というか、よくわからん道具が多いので何を買えばいいのか悩む。


(うーん、無駄な物買うと荷物になるしなぁ・・・荷物・・・)


自分のバッグを買うことにした。

正直荷物はほとんど戦士さんが持ってくれるから自分が持つ分はほぼないのだが。


「これ、ください」


旅用の鞄ではなく、最初に作ったようなショルダーバッグを選んだ、小さな宝石のアクセサリつきだ。


「・・・ありがとね、金貨1枚だよ・・・」


アクセサリがついてこの値段は安い、安くしてくれたのだろうきっと。

支払いをすませ、鞄の使い方を聞いて二人は店を後にした。


///街を歩きながら///


「おじょーちゃん、もう1軒お店に行ってもいいかい?」

「えぇ、もちろんいいですよ?何屋さんですか?」


戦士さんは装備しているグローブを見せてくる。

前に火をつける時に使っていた石の部分が摩耗してきており、火を起こしにくいから新しいものにしたいようだ。


そして次は道具屋。

錬金術屋と似ているが、武器、刃物、防具、器具、農具、工具等の重そうなもの中心に扱っている店だ。

こちらの店は50代くらいのヒゲをはやし、体格のいいおじさん店主だ、麦わら帽とか似合いそうだ。


「いらっしゃい!お、にぃちゃんか?元気だったか?」


戦士さんは顔馴染なのか、兜を被っていても店主さんから挨拶されていた。

さっそく店主にグローブを見せて、修理できるか聞いている。


石を削って火花を出す代物なので、修理というより交換になるらしい。

しかし、グローブ自体に損傷などはないので石部分だけの交換で良いんだとか。


「銀貨1枚で交換してやるよ、すぐに出来るからちょっとまってな」


その間に戦士さんは道具を物色する、錬金術師はさっきの店より見るものがないので、座れそうな場所に座らせてもらっている。


///10分くらいして///


「おまたせ、またすり減ってきたらうちで交換してやっからよ」


戦士さんはグローブを受け取り、手につけて違和感がないかニギニギしている。


「ところでよ、あんちゃん、いーものがあるんだけどな、これ、どうだい?」


店主がニヤニヤしながらカウンターの下から何かを取り出した。

戦士さんはなんだろうと覗き込む。


「あんちゃん、剣が苦手っていってたろ?こういう武器もあるんだぜぇ?」


戦士さんは店主から2つの物、いや両手につけるものを受け取り、兜の中で目を輝かせていた。

それをみた錬金術師は思い出す。


(・・・うわぁ、なんだっけ、ナックル?・・・男子って好きだよねあれ・・・)


店主が使い方を説明する。

普段から装備していても良いし、アクセサリーとして付けておくのも良い。

さらに店主は戦士さんをワクワクさせることを言う。


「あんちゃん、ここにボタンがあるだろ?これを押すと・・・」

『カシュッ!』

「おぉぉぉ!ナイフが出てきた!」


大興奮の戦士さん。

ナックルの親指側に小さなボタンがあり、それを押すと小さなナイフが飛び出す仕組みらしい。

そしてさらに。


「どうだい・・・あんちゃん?いいだろぉう?あんちゃんのでかい手なら仕込みナイフだとバレねぇ・・・

 だがな!これだけじゃねぇ・・・もう一度押すと・・・」

『チィンッ!』

「おぉぉぉぉぉぉぉ!」


小さなナイフが飛び出し壁に突き刺さる。

1度目はナイフが飛び出し、2度目はナイフが飛んで行く仕組みで、ナイフは回収可能なんだとか。


「・・・いぃ・・・すごくいい・・・」


戦士さんはこういうのが大好き。


「おじょーちゃん!これ!・・・・あ、いや」


買おうと言う前に思いとどまった。

錬金術師はハテナ顔で戦士さんを見る。


「無駄遣いはできないしね、というか、おじょーちゃんが稼いだお金だし」


確かに錬金術師の功績と鉱石でお金を稼ぐことができた。

しかし、本人は全然気にしていない、どころか何も知らない場所で戦士さんがいたからこそ稼ぐことができた。


「じゃぁー、私の護衛代と荷物持ってくれている感謝代で買いましょう・・・その武器で私をちゃんと守ってくださいね」


店主は目をつむり、ほくそ笑む。


「え、いいのかい!?ほんとに!?」

「もちろん!戦士さんには感謝してますよー!」

「いいねぇ!サービスして金貨1枚だ!」


飛び出るナイフがついてこの値段、安いのかどうかはわからないが、安くしてくれたのだろうきっと。

支払いをすませて、大事そうにバッグにしまう戦士さん。


(使わないんだ・・・)


///そして次の街へ///


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