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黒衣の青年


 まさか一部屋一部屋、扉を開けて捜す訳にもいかない。

 ここは……アレに頼ろう。

 二人、視線を合わせ頷く。


「『基本コマンド』!」


 私の呼びかけに目の前に黒いコマンド画面が現れる。以前と同じ


1アドバイス

2自力で何とかする

3スコアボード

4マップ

5魅了

6エナジーチャージ


 という項目が表示されている。


 ここは……4のマップが望ましい。1のアドバイスでもいい。……多分2と3と5と6は出ても意味がない。


 さっきの『基本コマンド』選択時は結果的に失敗だったと思う。終了までに効果的に使えなかった事もあるし。


 次は……次は外さない! ……いや、外せない!!! そして何が当たったとしても全力で対応する!!



 私は右手の鉛筆を握り締めた。


「……いくよ……!!!」


(4……4……4……4……!!!)


 両手で祈るように持ち、目を瞑ったまま床に転がした。


 キキン……。


 目を開き、近寄って確認すると。



「5!!?」



 やってしまった! また手掛かりを得られない!? そう肩を落としそうになった。その時。



魅了する対象を選んで下さい

10/10



 という表示が現れた。

 表示の意図が解らず、謎に思いながらも画面の『10/10』という項目を指で押してみた。


「えいっ!」


 どこかで小さく『ドキュン』という音がした。


「??」


 廊下の、黒衣の青年が去って行った方向を見ていたのだが、左手の部屋の……扉の裏からのようだった。


 ギィ……。


 扉が開いたかと思うと中から黒服の……しかし昼に会った青年とは違うもっと筋肉質な、覆面をした男が現れた。


「ルミフィスティア……様……!」


「えっと……? あなたは……?」


「私はこの国の王に仕える者。今は貴方様を見張って報告する任に当たっております」


「!?」


 言葉が通じる!??


「ははあ。もしかして……今の『魅了』を受けたのかもしれない。きっと知らない言葉さえ理解してしまう程の威力だったんじゃない? ちょうどいいや。この人に聞いちゃおうよ」


 清志朗君が意地の悪い笑みを浮かべる。

 そうだ。さっきの二の舞はごめんだ。『魅了』にも時間制限があるかもしれない。

 すかさず尋ねる。


「あの……黒服で黒髪、紫の瞳の男性……お昼頃この辺りで私たちと喋ってたんですけど、彼は今どこにいますか?」


「ご案内致します」


 彼は私に深く頭を下げると、廊下を歩き出した。黒衣の青年が歩いて行った方向だ。一番奥の角を左に曲がった。


「こちらです」


 案内された部屋は、割とさっきいた場所から近かった。扉をノックしてみる。


「……どうぞ」


 部屋の中から聞こえた声は、確かにさっきの青年のもののようだった。


 扉を開けて中へ入ると窓辺に青年が座っている。上辺じょうへんが半円の形をした縦長の窓には大きな満月が映る。

 青年が伏せていた視線を上げ、目が合う。



 つるぎのような鋭利な印象の彼は、私に問うた。


「何のつもりだ?」



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