旅の道連れ②
久々に会うエイジャは、背が伸びて少し大人っぽくなっていた。少女少女しかった顔立ちは年相応のお姉さんに見える。髪も以前の短い三つ編みではなく肩まで下ろしていて、クセ毛なのかウェーブがかかっている。オレンジ色で、実は私の好きな色なのだ。
恥ずかしい話だが、以前最後に会った時は彼女とアークの仲を疑って迷惑をかけてしまった……。
謝ると、逆に謝られた。
「何で女神様が謝るんですか? あれは私が悪かったんです!」
頬を赤くして手を振るエイジャ。
「魅力的な人には、人を暴走させる力があります……ああっ! 消し去りたい黒歴史……」
アークをチラッと見た後しゃがんで俯いている。
「うん。分かるよ……」
私も過去の自分の暴走を思い出し、うっとなる。
屈んで、彼女の顔の前に手を差し出す。
おずおずと手を握ったエイジャを引っ張って立たせた。
彼女とは、ずっと話したいなって……友達になりたいなって考えてた。
「……今日はあなたに会いに来たの」
ちょっと気恥ずかしくなって伏し目がちに伝えた。
「えっ?」
「あの城の周辺より遠くに来た事なくて、もし……よかったら色々案内してくれないかな……?」
チラッとエイジャを見ると、頬を上気させてこちらを見ている。
「~~~っ!! もちろんです!!」
ぎゅっと両手で私の右手を握り、身を乗り出してくる彼女。勢いと近さで若干後ろに上半身仰け反る私。
「私に任せて下さい! 女神様。地の果てでもお供します!」
「そ……それはありがとう……。あ、あと私の事は女神様じゃなくて結芽って呼んでほしいな……?」
「結芽……様?」
「えと……様付けじゃなくて……呼び捨てで……私もエイジャって呼んでいい?」
「わかりました……! 呼んで下さい!!!」
ぎこちなくドギマギしている私と彼女。
彼女の髪色と似た色に空が染まる。
「そろそろ夜になりますね……今晩は村に泊まって行きますか?」
エイジャの質問に、アークを見ると頷いたので私も頷いた。
「村には食堂と宿屋、一軒ずつしかなくって……。まずは食堂でご飯を食べて、その後宿屋に行った方がいいと思います。宿屋には食堂ないので」
案内してもらった食堂は賑わっていた。そして見た事のある先客が、店の人とおぼしきごついおじさんとカウンター越しに喋っているのが聞こえた。
「そういえば、お前が二年前『神域』で見つけるとか話していた宝物とやらは見つかったのか? 一体なんだったんだ?」
おじさんの言葉に……黒っぽいラフな服装のミズさんは、店の入口に立つ私たちを手で指して言った。
「あー。彼女の事だったんだ(至宝って意味で)……」
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