闇夜の星
結芽とアークの結婚式が終わり実家へ帰ったオレは、機械人形に魂を移されたルミフィスティアと再会していた。
「信じられない……本当にこんな事ができるんだな」
由治がルミフィスティアの周囲をうろうろして、顔を輝かせ「面白い!」と言ったところでオレの視線に気付き大人しくなった。
結芽から機械人形へ波調を移す役目を果たしたミズが「フー」と息をついた。
「成功してよかったよ」
オレの視線を受けてミズはそう言い、肩を竦めてみせた。
「失敗は……俺の死を意味する言葉だもんな」
ミズのため息混じりの言動に、由治がコクコク激しく頷いて同意している。
「二人共……ありがとう」
お礼を言った俺に、二人は目を丸くして顔を見合わせていた。
親父にルミフィスティアを紹介した。『彼女』だと。
親父は彼女が機械人形だと知ってか知らずか、目ん玉がぐわっと飛び出そうな程目を見開くと
「……そうか……ついに……お前も…………うくっ」
と泣き出した。
ええっ? 泣ける要素あった??
確かにことごとくお見合いもせず、彼女も作らずずっと独身だったけど。そこまで心配されていたなんて。
そしてやっと息子が捕まえた彼女を逃がさないかのように。
親父は実家の離れにオレたちの部屋を用意した。
「まぁ……何だ……。いきなりこちらの実家住まいじゃルミさんも気を遣うだろう。気兼ねしないように……なっ」
そしてニコッと笑った親父はとんでもない事を言い出そうとしていた。
「ここで思う存分、こ……もごっには……もがっ」
オレはそれを阻止する為親父の口を両手で塞ぎ「さっさと出てってくれ」と退出を促した。親父は「心配するまでもなさそうだな」とうんうん頷いてニコニコと満足そうに部屋を出て行った。
(あんの親父~~~!)
部屋に目線を戻すと、きょとんとしたルミフィスティアと目が合った。よかった。気付かれてないみたいだ。
だが。
彼女の後方に置いてあった大きめのベッドに目が行ってしまう。
(何で一つしかないんだよ!!!)
親父の采配だろう。
他に眠れそうな寝具もないし、この状況でルミフィスティアと別々に寝るのも不自然なので同じベッドで眠る事にした。
……これ、どういう拷問?
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