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私の傍にいる人②


 後日。肩下までの淡い金髪、碧の瞳の機械人形に魂を移されたルミフィスティアと再会する事ができた。


 第一回逢坂家家族会議で、ルミフィスティアと私の魂を分離させても大丈夫なくらいルミフィスティアの魂の大きさが戻っている事、機械人形で身体を代用できないかという事が話し合われていたらしい。


 体調を尋ねると


「結構快適よ。人間より体力もあるし、これは本当に何万年でも生きられる気がしてくるわ~」


 と、馴染んでいる様子だった。


 一高ジーラと気兼ねなく一緒にいれる事が嬉しいらしく、終始笑顔だ。

 二人が幸せそうで私は目頭が熱くなった。


「よかったね」


 と言うと


「お互いにね」


 と、また笑顔をくれた。


 そういえば……。以前おしか……訪ねて来た美紡子さんはどうなったんだろう……と考えていると道の先、駅前の歩道橋の上を何だか見た事のある人物が三人歩いている。



「美紡子~。今日の夕飯ハンバーグがいいな」


 短めの明るい茶髪が風にそよいでいる。彼に絡まれながら、久々に見た美紡子さんは鬱陶しそうに振り返る。


「えーい! うるさい! 四日連続じゃない! 私に指図するんじゃありません! 毎日ハンバーグは……まぁ、別にいいですケド」


 フン! とそっぽを向きながらも、そんなに嫌そうじゃない。


 彼等の後を、荷物をたくさん抱えた男性がついていく。


「何でボクが荷物持ち……」


 何かブツブツ言っている彼に、美紡子さんが尋ねる。


「由治、あなたは何が食べたいの?」


「…………オムライス」


「明日作ってあげるわ」



 その様子を歩道橋下から見ていた私。

 ……うーん。薄っすら三角関係の気配がするわ。


 一高によると美紡子さんは一時期ルミフィスティアに怒って家に何度も突撃しようとしてたらしいけど、その度ミズさんが彼女を見つけて追いかけてたので断念したらしい。

 もちろん、教えたのは一高だ。


 彼の実家も今のところ不穏な動きはないらしい。ただ……一高の父の、初孫への期待がすごいらしい。機械人形と人間の間に子供ってできるんだろうか??


「今、研究中」


 悪戯いたずらを思いついた子供のように楽しそうに笑う一高に、ルミフィスティアが


「変な事言わないで下さい!」


 と顔を赤くして抗議していた。



★~★~★~★~★~★~★~★~★~★



 十万年後の未来で、もう一人のアークも待っていてくれた。


 目を覚ますと潤んだ瞳で微笑まれて胸がきゅうっと苦しくなった。

 いつものように、寝台の側の椅子に腰掛けて手を握ってくれている彼に、そっと囁いた。


「ただいま」



 ふと、いつかテレビで流れてた曲……『絶体絶命恋心』を思い出す。以前は歌詞がよく分からなくて好きじゃなかったけど、今は何となく分かる気もする。それに耳に馴染んでしまったので、今度こっちのアークにも歌を聞いてもらおう。


 楽しい未来の予感に微笑んだ。


読んで頂きありがとうございます。

もしよければ下の「☆☆☆☆☆」から評価・応援して頂けると励みになります。ブックマークもとても嬉しいのでどうかよろしくお願いします……!

――――――――――――――――――――

56.私の傍にいる人②

お久しぶりです。樹みのりです。

PVが増えていて、読んで下さっている方がどこかに存在している……と、投稿の原動力になっています。いつもいつも、ありがとうございます!


今回の話で、二章「新世界に月は歌う②」は最終話です。また続きを書きたいと思っているので、完結にしないで連載中のままにしておきます。

ここまでお付き合い頂きありがとうございました。

続きを書けた時は、また読んで頂けると嬉しいです。


(前書きを再掲載しました。2022.2.12)

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