表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/151

恋心の行方③


 一高ジーラは白のタキシード姿で、アークは普通の……礼服。

 ……そっか。ルミフィスティアは私の言った通り、一高を選んだ。


 ちょっとだけ肩を落としたけど、外には出さないで登場した二人を迎えた。


 弟と場所を交代した一高が、二人で永遠の愛を誓い合う為の一段高い場所から手を差し出す。

 私は躊躇いながらも、彼の手を取ろうとした。


(これは罰。今更、アークと結婚したいなんて……言えない)


 自分の気持ちに嘘をついていたツケが回ってきたんだ。


 手を重ねる直前


『また自分の気持ちに嘘をつくの?』


 声が聞こえた。

 ルミフィスティアじゃない、私の心の声。


 私は――……。


 一高に伸ばしていた手を止めた。

 振り返ってアークに抱きつくと戸惑ったような一瞬のの後、きつく抱きしめ返された。


「結芽、あなたの事を愛しています。神に……いいえ。悪魔でも何に誓っても構わない。必ず幸せにします」


 ひざまずいたアークが手を差し出した。が合って、彼は今にも泣きそうな顔だった。

 私も涙が溢れて頬を伝ったのが分かった。幾つも幾つも。


「はい」


 アークの手を取った。


「私もあなたを幸せにします」


 私は、私の意志で彼を選んだのだ。



★~★~★~★~★~★~★~★~★~★



『もうっ! くっつくの遅いよっ!』


 私の中のルミフィスティアが怒る真似をした。


『ごめんね……ルミフィスティア……色々と……』


『謝らないで……でも、そうね。もう突然いなくならないって誓うなら許してもいいわよ?』


『そんな事でいいの?』


 私はちょっと笑った。


『今までお世話になったわ。私……新しい体に移される事になったの……』


 突然の衝撃発言に息を呑んだ。戸惑っていると……、


『心配しないで。一高ジーラ様の傍だから大丈夫よ』


 と微笑まれた。


『私、ちゃんとあなたとの約束守ったわ。ジーラ様に告白したの。ジーラ様は結芽……あなたの事が好きなのではと思ってたから、ずっと言えなかったけど……。新しい体に移るまで待っててくれるって約束してくれたの』


 ふふふっと笑い、その後……私を抱きしめた。


 私も抱きしめ返した。


『ありがとう……』





『じゃあね』



 それからルミフィスティアの気配は消え、二度と私の中に彼女が現れる事はなかった。


読んで頂きありがとうございます。

もしよければ下の「☆☆☆☆☆」から評価・応援して頂けると励みになります。ブックマークもとても嬉しいのでどうかよろしくお願いします……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ