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恋心の行方


 ルミフィスティアの魂の奥の奥底で、私は泣いていた。


(結局……最後まで逃げてた。ルミフィスティアを応援するような事言ったけど、それは本心じゃない。考えるのさえ放棄して見守るだけの、安全な場所に逃げ込んだ)


 遠くでルミフィスティアが十万年前の……私の家へ帰るのを見ていた。


 ルミフィスティアとの繋がり……唯一、胸の中での会話方法も閉ざした。これで私が呟いた気持ちも聞こえないし、ルミフィスティアの心も聞こえない。


(私に遠慮しないで)


 色々助けてもらって感謝してるし、彼女と二人で喋っているだけで癒されていた。

 自分の恋心を押しとどめ、私の恋を応援した彼女。十万年後の世界で全然顔を出さなかったのは、アークと私を二人きりにする為だったんだね。今頃気付いて涙目になる。


 私も彼女の為に何かすればよかった。ジーラ……一高と良い雰囲気になれるように手助けできたかもしれない。もう遅いけど。


 最後に、体を彼女に渡して良かった。彼女なら、きっと私がいなくても……きっと元気で生きてくれる。


(ルミフィスティア……私の事……よろしくね)


 もう後は、この何もない空間に溶けて消えてしまおう。

 アークじゃない人と自分(中身はルミフィスティアでも)の恋愛模様も、辛くて見れたものじゃないだろう。


 遠くの方に映る、ルミフィスティアの見ている景色の窓も閉じようとした。


 その時。


 白いドレスが見えた。

 鏡に映る自分……ルミフィスティアは、とても綺麗な花嫁姿だった。


 もうそんなに時間は過ぎたのかと考えた。


 よかった……一高ジーラと結婚するんだね……私は安心感からか涙が次々に溢れてきて


『あれっ? おかしいなぁ、泣き過ぎだよぉ、もう』


 と己の顔を手で拭い続け、下を向いてしまった。


『おかしいなぁ、これでよかった筈なのに……何で……何で後悔してるの?』


 もっと自分で選んで自分で進んでいたら、もっと自分が理想の世界でニコニコ笑って生きていたのかなぁと笑った。


『じゃあね。ルミフィスティア。一高ジーラ、お父さん、お母さん、弟よ……そしてアーク……』


 窓に手を伸ばした。


 ふいに、ルミフィスティアの手を取る人物が映った。

 結婚式場……教会風の部屋の、神に永遠の愛を誓うその場で見つめ合う二人。


 ルミフィスティアの結婚相手は、一高ジーラではなかった。


『!?』


 驚いて窓に顔を張り付け、覗き込む私。


 だって彼より背が……アークでもない。

 一体……?



 ルミフィスティアの手を取り微笑んでいるのは……何と私の弟だった!



「何でじゃい!」


 思わずルミフィスティアの意識を乗っ取り、表層意識に出て来てしまう程に。

 突っ込まずにはいられなかった。


「何でそうなった!?」


読んで頂きありがとうございます。

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