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好敵手②


「……なっ?!!」


 驚いた顔の少女と目が合う。


 ……しまったーーー! 思わず彼女の目の前に飛び出してしまったけど何も考えずに行動してしまった。こんな朝早くに静かな住宅地で騒動を起こしたら父様の耳にも入ってしまうかもしれない。しかし、もう手遅れだった。後には引けない。


「あなたは……一体……?」


「私は八蘇やそ美紡子みつこ。一高様の幼馴染よ」


 強気に若干胸を反らして教えてやる。


「一高様は将来、私と結婚する予定なの。邪魔しないで頂けるかしら?」


 嘘ではない。私の中ではちゃんと予定に組み込んでいる。一高様にその気がなかったとしても無理矢理でもその気にさせるつもりでいる。


 その言葉に少女は少しハッとしたように目を見開くと、両手をこぶしに握りしめぷるぷると顔を赤く染めた。


(お? 反応あり。このも、一高様の事を好きなのかしら?)


 七歳年上の一高様は昔から冴えない人だったけど最近何だか雰囲気がガラッと変わって妙に格好良さが増したというか……体つきも以前のひょろひょろじゃなくて細いのに引き締まって筋肉が付いているというか……。

 その変化がこの女の影響かもしれないと思うと無性に腹立たしい。何で私じゃないのかと。


 彼女が睨んできた。とてもただの高校生とは思えない迫力にゾクッと気圧された。

 ……でも負けたくない。


「彼から手を引いて」


 私は提案する事にした。


「手切れ金は渡すわ。高校生のお小遣いじゃ考えられないくらいの額は用意するわ」


 腕を組んだまま、横を向いて話を続ける。


「だからもう二度と一高様には……って、え?」


 ドサッ。


 横から突き飛ばされて尻もちをついたんだと状況を理解するのにだいぶ時間がかかった。地面に手をついて上半身を支える。


「あ……あなた……!!!」


 頭に血が昇って顔を朱に染めながら見上げる。


「この私をよくも……!!!」


 高校生の小娘は少し長めの前髪から私を射殺しそうな程冷たい眼光を宿らせ見下ろしている。


(本当に高校生なの? 暗殺者の方がしっくりくるわ……)


 一瞬怯みはしたが私も相当腹が立っていたので考えるより先に手が出ていた。

 彼女に掴みかかり頬を叩いた。彼女は抵抗もせず叩かれた頬に手をやり先程のような鋭い視線で私を見たかと思うと、私の長い髪の毛を掴んできた。


「なっ……!」


 もう、そこからは大惨事だった。


 髪の毛を引っ張り合い爪で引っ掻き合い、朝の通勤・通学時間帯の道で転がり合いながら力尽きるまで戦った。



読んで頂きありがとうございます。

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