共鳴する魂
『ルミ! ルミフィスティア!』
私は体を共有するもう一人の私、ルミフィスティアに呼びかけた。
『なあに?』
『あなた……その……ジーラにキスした時、〝エナジーチャージ〟って言ってなかった?』
『言ったわよ?』
『もしかして、エナジーチャージできたからジーラは助かったの?』
『そうよ?』
『あの時……酸の海辺で私にエナジーチャージしたのもあなた?』
『そうよ。あっ、いきなりすると驚かせちゃうと思ってちゃんと〝エナジーチャージします〟って呟いてからしたからね!』
『うん。それでもしこたまびっくりしたよ』
私はあの時の事を思い出し、あははと苦笑した。
『でも、何で……』
『だってあなた辛そうだったんだもの。応援を兼ねて。故郷の歌、歌わせてもらったし』
『じゃあ、あの時も起きてはいたんだね』
『うっすらね』
『すごいよね。ルミフィスティア。まるで回復魔法が使える聖女様みたいだよね』
私が目をキラキラ輝かせながら羨ましがるとルミフィスティアが『あら』と言った。
『多分、頑張って習得すれば結芽も使えるわよ。だってジーラ様に使った時あなたの身体だったのよ私。西の血族しか使えない秘術だと思ってたけど違うのかも』
ハッと思い出したように悲しみが伝わってくる。魂が一体となって記憶が共有できるようになった為、山の上の廃墟にあった骸骨たちがルミフィスティアの親族であることを知った。
『仕方なかったわ。彼らも悪い事はしてたもの。戦争って嫌ね』
それでも。仕方ないと言いつつルミフィスティアから感じる家族を失った悲痛さは消える事はなかった。
『あ、あのさ……』
私はずっと気になっている事を聞いた。
『他の人にエナジーチャージする時キスしなきゃダメなの? ファーストキスだったのに!』
『私もあれが初めてよ。もう無我夢中で。古文書で見た蘇生法を思い出したの』
『人工呼吸かいっ!』
二人で意識の海の中、笑い合った。
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