運命の結び目②
「えええ?! ちょっ……!」
白衣の少年は信じられない! といった様子で騒いでいた。
「ここ駅前だよ? 外だよ? 公衆の面前で何やってんの!」
その駅前をこんなに破壊しといて、そういうモラルはあるのねと意識の遠くの方で考える。
「いくらそいつが死ぬからって……え!!?」
少年の目が丸くなる。私の上に倒れていた男が起き上がったからだ。
「な、なんで??!」
アークの力を受けて生き延びる奴がいるなんて……と小さくブツブツ呟いて歩道橋を行ったり来たりしている。そして……。
「面白い! アーク、あいつを研究材料に欲しい! 死なせずに捕まえて来て!」
まるで子供が親に玩具をねだるように指示する。
「させない!」
私を操ってルミフィスティアは立ち上がったばかりのスーツ姿の男の前へ出て彼を庇おうとした。その肩にぽん、と手を置いて男性は更に前へ進み出た。
「使者様……」
「ルミフィスティア……大丈夫だ」
私にニコ、と微笑んでアークの方を向く。
「よぉ……管理人……。これはどういう事だよ!?」
額に青筋が出る程怒っている。
「オレを生き返らせろとは言ってないだろ!?」
「はい。ですが転生を希望されているようでしたので……」
「……お前、喋り方むちゃくちゃ人間ぽくなってない?」
まるで旧友にでも会ったような口調でやり取りが続いた。
白衣の少年はポカーンと二人の会話を見ている。
「ボクの……ボクの命令しか聞かないようにできてる筈なのに……」
「いいえ」
アークは哀れむような優しげな眼差しで少年に向き合った。
「管理者の権限は私が持っています。あなたは未来で権限を子孫たちに渡しますが、それよりも遥か未来で私の呪縛は解かれたのです」
「な……にを言ってるんだ?」
少年は数歩、後ずさる。
アークは噛み締めるように言葉を紡いだ。
「私は当初から特定の人物の命令に従うようプログラムされていた。けれど果ての未来に、最後の一人に許された。私の中に芽生えた私という自我を」
言って、私の方を横目で見て微笑んだ。
「彼女を守る条件付きでね」
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