ゴブリン巣窟壊滅作戦3
「何を言ってるんだ?! 五つ子のそれぞれが得意分野が違うんじゃないのか?!
全員が後衛の回復術師ってどれだけバランスの悪いパーティーなんだよっ!」
「ああ、オレ達、五つ子は趣味も好みもみんなバラバラなんだけど、この回復術師だけはなぜか絶対に譲れないんだ。
だから、モンスターなんかと戦ったのは一度もないの」
「自分たちが強いって言ってたのは?!」
「あれは、小学校時代のドッジボールの話さ」
「バカヤローっ!!!
なんで唐突に小学校のドッジボールことを言う気になったんだよっ?!!!」
俺が絶賛、五つ子たちに文句を言っている最中。
ゴンッ!!!
頭に強烈な痛みを感じる。
「ギャ――――ッ!!! 痛い――――っ!!!」
気付くと巣穴の前に立っていた俺は、こん棒を持っているゴブリン達に囲まれていた。
ゴンッ!!!
次は体側面を力強くこん棒で殴られ、ボキリと腕の骨が折れた音がした。
その痛さに思わず地面に倒れ込んだ俺。
「いっ、痛すぎる――――っ!!! 止めて――――っ!!! 降参するて――――っ!!!」
だがゴブリン達は、攻撃の手を緩めるなんてことはしない。
むしろ6匹で振りかざしたこん棒を次々に叩き込んできた。
ボキッ、バキッ、ボカスカ、ボカスカ
こん棒が打ち下ろされるたびに俺の骨は折れて、肉は潰れた。
「痛すぎて、しっ、死んじゃう、死んじゃう――――っ!!! たっ、助けてくれ――――っ!!!」
事実、俺の生命力(HP)はレッドゲージで風前の灯火。もはや死ぬ直前である。
と、その時。
「「ヒール!!!」」
茂みの中から五つ子(-1)と女神が同時に回復魔法を使った。
俺の体は緑色の優しい光に満ち溢れ、傷は癒えて、生命力(HP)は、あっという間に満杯になる。さすがに5人も同時に魔法を使っているだけあって効果は絶大。
だが、それだけであった。
俺を囲んだゴブリン達は再び、こん棒を振り上げ、それを次々と打ち下ろしてきた。
「ギャ――――ッ!!! 痛い――――っ!!!
だっ、誰か――――っ!!! 助けてくれ――――っ!!!」
そして、また生命力(HP)がゼロに近くなると回復魔法で全開に戻される。
「なんじゃこりゃ――――っ!!! ただ痛いのが続きまくる拷問じゃねえか――――っ!!!
いくらタイムリープが流行っているからって、酷すぎる――――っ!!!」
と、その時、俺は気付いてしまった。
「ああああああああっっっっっ!!!
何かゴブリンの緑に混じって青色が混じってると思ったら、お前はドザエもんじゃねえかっ!!!
貴様、ゴブリン側に寝返ったなっ!!!」
そこには、青い全身タイツを着込みゴブリン達と一緒にこん棒を打ち下ろすドザエもんの姿があった。




