ゴブリン巣窟壊滅作戦
ゴブリン巣穴から少し離れた茂みの中。
偵察行動をした翌日にゴブリン巣窟壊滅作戦を実行に移すことにした俺達は、討ち入り前の最終確認をする。
「じゃあ、今までで分かっていることを再確認しよう。
ここに居るゴブリンの数は多分6匹。
そして今なお、五つ子のひとりである"ドザエもん”が洞窟内に囚われているはずだ。
何としても、処刑される前にゴブリンを倒しきり”ドザエもん”を救出しなければならない。
俺達は、洞窟内に入るので実際に対面して戦うのは1体ずつのみになるだろう。
そういった意味では集団としての力よりも単体の戦闘力が試される。
もっともこちらはパーティーをひとつの単体として見ることが出来るので、向こうよりも戦闘を有利に進められると思う。
前衛はパーティーの先頭に立って攻撃を、後衛は前衛の回復役に徹すること。
慌てずに落ち着いて行動すれば必ずや目標は達せられるだろう」
俺がそう言うと、五つ子の四人と女神が揃って頷く。
すると、五つ子のイチロウが今、気付いたとばかりに質問してきた。
「あれ? そう言えば、オリビアさんの姿が見えないんですけど?」
この問いに俺は、答えてやる。
「え~、オリビアさんは今日、"女の子の日”なのでお休みです」
これを聞いた五つ子達(-1)は、ざわついた。
「えっ、"女の子の日”って何なんだ?」
「初めて聞いた言葉だよね」
「じゃあ、"男の子の日”もあるんじゃないのか?」
「女の子っていうんだから、大人は関係ないはずだよな」
動揺をあらわにする五つ子達(-1)を見て、俺は心配になった。
「お前ら、"女の子の日”と聞いてもピンと来ないのか?
お母さんから、何か教えてもらっただろうに?」
しかし、五つ子達(-1)は何のこっちゃで、とぼけた顔をして頭を捻るばかり。
それを見た俺は彼らのお母さんを察して涙ぐんだ。
ただでさえ五つ子を育てるのは大変なのに、自分の体調なんて顧みずに子育て頑張ったんだね。
「えー、"女の子の日”については、次回までの宿題にします。
各自、仲の良い女の子や親類すじに聞いてレポートを提出するように。
先生からのアドバイスとして、間違っても好きな女の子には聞いてはいけないぞ」
五つ子達(-1)は、不服に思いながらも何とか頷いてくれた。
「じゃあ、今日はこれまで。日直!」
「起立、きょうつけい、 礼」
「「先生、さようなら」」
「また、明日な」
その場から立ち去ろうとした俺を、慌てて女神が呼び止めた。




