自業自得とは、奴のこと
モンスターのスライムに話しかけられ、思考が追い付かない俺は、次の言葉でさらに混乱する。
「早速ですが、あなたは異世界から来たんじゃないですか? 日本人とか?」
ビックリした俺は、直ぐに答えることが出来なかった。
「ああ、もしかしてだけど、こっちに来てからまだ、間もないのかな?
それは、すみませんでした。
ボクの名前は、光 金太。日本人ですよ」
「えっ?! じゃあ、あんたも?」
「そう、異世界転生者でーす!」
俺は、自分以外にも転生転移している者がいようとは露程も考えていなかったのので、これには驚いた。
「何で俺が異世界転移者だと分かったんだ?」
「えーと、スライムの勘? みたいな感じですかね。アハハハ(笑)」
スライムの感って、一体なんだよっ! と思ったがここは一旦おいといた。
「スライム転生っていったら、今の流行り真っ只中じゃないか。
実は凄い能力を持ってるとか、国を支配してるとかしてないのか?」
「いや~、ボクも異世界に来て自分がスライムだと分かった時は、
『これは主人公決定じゃない?! おいし過ぎるっ! こっから怒涛の成り上がり人生じゃいっ!!!』って思ってたんすけど、実際は真逆でした。
森の中の虫や川のカエルを食べたりして、リアル昆虫食でただ生き残るだけで精いっぱい。
ドラゴンが友達なったり魔石を食べてスキルアップ、大賢者獲得なんていったいどこのお話で?
何でこんな目に合わなくちゃならないのか、自分でも本当に笑っちゃいますよ」
「うーん、だいぶ悲惨な目にあってるね。
でも何でスライムなんかに転生したんだろうか?
何か心当たりはない?」
「さあ、ボクにも何がなんだか……。
あっ! でもこちらの異世界に来る前に神様に怒られました。
『お前はやり過ぎた。そして、作り過ぎた』って」
俺はこの言葉に何か、重要なことが隠されているのように感じた。
「因みに、前世では何をしてたの?」
「Youtuberです」
うん、全ての謎は解けた。
動画の再生回数を稼げるからって、スライム作り過ぎなんじゃーいっ!!!




