表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/147

検問所2

 検問所の前では、軽鎧を着た5、6人程度の兵士が任務を行っていて、みんな長剣などで武装していた。


「良し! 行っていいぞ。

 では、次の者。ここの線まで前に出せ」


 そこの班長らしき精悍(せいかん)な兵士が俺達の馬車を呼ぶ。

 俺達は、指示された位置まで馬を前に歩ませ、そこで止めた。


「通行手形は持っているか? この町には何をしに来た?」


 俺は、わざと下卑た声を出して答える。


「商売で来やした。残念ながら通行手形は持ち合わせておりませんでゲス」


「商売で来たのに通行手形を持っていないのか?

 ふむ。珍しいな。

 ならば、まず積み荷を確認させてもらおう。

 おいっ!」


 声を掛けられた若手の兵士が、馬車の後ろにまわり込み、荷車の部分を覗き込む。

 そこには、荷物と呼べるものは何もなく、いたのは手拭い一枚で座り込んでいるオリビアだけだった。


「班長! 裸の女がひとりいます。後は、何もありません」


 若手の兵士がそう言うと、班長と呼ばれた男の顔がみるみるうちに渋い表情になった。


「お前たち、奴隷商か?」


「はい。そうでゲス」


「ならば、通行料として銀貨三枚を支払ってもらうが、それで良いな?」


「それが大変残念でゲスが、お金の持ち合わせがありません。

 なので、もし宜しければ、どうか商品で支払わせて下さいでゲス」


「商品と言うと……、奴隷のことか?!」


 俺は、静かにゆっくりと頷いた。

 すると今度は、その班長が、ずかずかと馬車の後ろにまわって、自らの目でオリビアを確認する。

 それを目にした班長は目を見開いて驚くと、また俺の方へ駆け寄って来て興奮気味に言った。


「本当に良いのだな? あの奴隷で。

 うん、良し。分かった。

 しょうがない。

 あの奴隷は、気は進まないが私、自らが買い取ってやろう」


 こうして俺と女神は、オリビアを検問所に残して町への入場を許されたのだった。



 さらば、オリビア。

 最後まで手拭い一枚で通してしまい、ごめんね。

 だけどWヒロイン、頑張ってくれて本当にありがとう!

 (夜空の星がひとつ流れた)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ