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地獄の二日目

 それからの二日間は、本当に地獄のようだった。

 容赦なく降り注ぐ紫外線に、歩く度に足を取られる砂地。

 気温は、昼間40℃を越して、夜間10℃を下回るほどだった。

 体力は、みるみるとゲージを減らし、気力も疲労で朦朧とする頭では回復するのは難しい。

 とてもじゃないが、女神が作ってくれた食糧と聖水がなければ、確実に砂漠で干上がっていただろう。

 俺達は二日目に夜が明けて、砂丘ばかりの風景を見ても、何とか足を前に出すことが出来るかどうかのギリギリの精神状態だった。


 しかし、その時は突然、やってきた。


「女神さま、女神さま。

 ほんのわずかですが、5G電波をキャッチすることに成功しました。

 今ならば、ネットに通信可能です」


 オンボロイドAIのシリーが、こう報告したのを聞いて俺は、思わず両足の膝を砂地について目を閉じた。

 これで救助が呼べると思い、緊張と気力の糸が切れたのだ。


「それは、いい報告だわ。ありがとう、シリー」


 俺は、このオンボロイドが嫌いだったが、この時ばかりはありがとうと百万回言いたいくらいだった。

 だが、次の女神の発言に、砂漠というのに鳥肌が立った。


「じゃあ、ウーパーイーツでタピオカミルクティーを注文してくれる?」


「検索すると、一番近いところで、丸七日以上かかりそうです」


「えっ?! 七日以上?

 困ったわねえ。それだと、飲み物が温くなっちゃうわ。

 しょうがないわね。

 持ち帰りに変更してくれる?」


「了解しました」


「おいっ! おいっ! おいっ! おいっ! 

 ちょっと待て――――――い!

 何で今、タピオカミルクティーなんだよ!

 今、まさに生きるか死ぬかの瀬戸際にいるのに、絶対にやるべき事があるだろうがっ!」


「タピオカ以上に欲しいものですか?

 うーん、じゃあホット烏龍茶で」


「違――――――うっ!!!

 飲み物の種類を言ってるんじゃないよ!

 しかも、こんな砂漠の真ん中でホットだし!

 緊急事態なんだよ! もう死にかけてる真っ最中なの!

 『S・O・S!』

 緊急遭難信号出して救助を求めるんだよ!!!」


「ああ、大丈夫ですよ。

 飲み物頼んだら、それしようと思ってましたから。

 もうダーリンは、せっかちですね」


「ダーリンでも、ダージリンでもいいから『SOS』を先に出してくれ!」


「ダージリンもいいですね。一緒に頼みましょうか。

 まあ、でも言いたいことは分かりましたよ。

 お茶よりも『SOS』を先に、ですね。

 じゃあそうします。

 Hey、シリー!」


「……」


 女神は返事のない、スマートフォンを不信に思い、その画面を覗いてみた。


「すみません、バッテリー切れです」


 ズコ――――――ッ!!!!!


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