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待ってましたの異世界ハーレム

 俺たちはお腹がいっぱいになるまでワームの肉片を食べた。

 また、これからの道中で必要になる携帯食料として、焼いた肉の固まりを調理して確保する。


「これくらいあれば十分でしょう。近くの町まではもつと思います。

 わたしの聖水とこのワーム食糧があれば、何とかたどり着けるんじゃないでしょうか」


「あと町までどれくらいあるんだ?」


「……」


 俺が聞いても人見知りオンボロイドのシリーは答えない。くそっ!


「シリー、気持ちはわかりますが、答えてあげなさい」


 女神がそう言うとやっと機械音声はそれを答えた。


「およそ、あと120km」


「この砂地の中で1日に限界まで歩いても40km程だろう。

 そう考えると大体、3日間くらいか。

 だが、水と食糧さえあれば何とか……、な」


 言ってはみたものの、あの凄まじい太陽の中、3日間も歩き続ける事を強いられると思うと気が重くなるのを感じる。


「さあ、今日はこれくらいにして、もう休みましょう。

 分かっているとは思いますが、どう効率的に休息が取れるかも生き残る上で重要なポイントです」


 俺とオリビアは、同時に頷く。


 気がつけば、陽射しがもう大分傾いて、太陽は赤く地平線に差し掛かっていた。




 俺達三人は、風がしのげる窪地をそれぞれ見つけ、そこに体を横たえた。

 過酷な一日の疲労が、どっと出る。

 俺は、和らいだ陽射しと気温のお陰で、すぐに眠りに落ちていった。



 数時間後


 尋常じゃない寒さに俺は目を覚ます。

 疲労と暑さで忘れていた。

 砂漠で恐ろしいのは、日中の陽射しだけでなく、昼と夜の温度の落差だ。

 前の世界の砂漠では、±20℃程の高低差は普通に存在する。

 今、俺が体感しているのは、恐らく10℃もない。冬の寒さだ。

 手はかじかみ、全身が震える。とても眠れたものじゃない。


 さらに俺は、他の二人の事が心配になった。

 オリビアなんかは、いまだに手拭い一丁でいるはず。

 しかし少し離れたオリビアの方を見ると、全く寒がる気配はなく、むしろぬくぬくと暖かいベットで寝ているような幸せそうな寝顔だった。

 また、女神の方を見ても同様で、盛大にいびきをかいて熟睡していた。

 オリビアは、黒炎の魔神と呼ばれるウルトラレアな鎧を装備することで、女神は恐らくあの白い神聖な修道着が何らかの能力で温度を制御しているのだろう。


 俺は、二人を見るのを止めて強引に体を寝転ばせ、出来るだけ縮こまって、吐く息で手の指を温めた。


「ううう(涙)、寒いよう。俺だけ寒いなんて、辛過ぎるよう」


 そう愚痴を小さく呟いた時、突然、震える俺の背中に何かがぶつかった。

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