悪魔の正体
悪魔(女神）が、「かくかくしかじか」で、オリビアの今の状況を説明するのを聞きながら、俺は青たんを作った顔の痛みに耐えていた。
「じゃあ結局、防具で裸を隠すというのは無理だったんですね」
手拭い一枚で前を隠すオリビアは悲しい表情を作る。
「それに関しては残念ながら。
でも、その代わりあなたは奇跡を起こしたわ。
恐らくあなたのいた世界の中でも、あなたと戦かって勝てる相手はそうそういないでしょう。
それだけの強大な力を得たのです。
この幸運に、神へ感謝することはあれ、悲しむことなんてないと思いますよ」
「はあ、まあ強くなったかどうかは良く分からないのですが……。
私はこの手拭い一枚の裸の状態をどうにかしたかっただけなんです。
あいつのように、いやらしい視線でねっとりと視姦されるのが、もう耐えられないんです！」
オリビアは、俺の方を振り向くとおっかない顔をして威嚇した。もちろん俺は、オリビアの体から視線を外さない。
「うーん、だったらそこの男と一緒にもう一度、元の世界に転移して、そこで着るものを調達するしかないわね」
「元の世界に戻れるんですか？ それは有難いです。
できれば、早くそうしてもらえないでしょうか？」
「そうね、わかりました。
少しだけ待ってて下さいね。
えーと、二人同時に転移させる方法のヘルプがどっかに掲載されてたと思ったけど……。
うーん、どこだっけ？」
悪魔(女神）がひとり言を言い始め、何かを調べ始めた時、唐突に悪魔の羊頭がぼろりと床に落ちた。
「「？！！！」」
俺とオリビアは頭が無くなった悪魔を見て驚く。
女神「んー、確か、マイホーム画面でログインしてからヘルプとサポートで……」
しかし、当の女神は何事もない様子でひとり言。
どうやら、頭が無いことに自分で気付いていないようだ。
俺は近寄るなと言われていたが、何かがおかしいと思って悪魔(女神）のところまで忍び足で近づいてみる事にした。
