路地裏通りのお約束2
路地裏通りに助けを求める美女とチンピラ三人組。
あまりの異世界テンプレぶりに思わず大声を出してしまった俺。
やっとこの展開がやってきたかと喜んだのだが、美女と三人組は俺が大声をあげてしまったことで驚いてこちらを向いて固まってしまった。
「あっ! 大きな声を出して驚かせてしまって、どうもすみません。
ささ、どうぞ続きの方をお願いします」
俺がそう言うと、大きなおっぱいの美女は素知らぬふりでそこから離れようとし、また三人組は頭を掻きながらあきらめた様子で踵を返した。
「えっ?! うそでしょ!!!
このまま、何もしないで帰っちゃうの?!
ち、ちょっと待って……、待って下さいっ!!!」
俺は、思わず美女の片手を掴んでしまった。
「痛った! 何をするんですか?!
わたし、凄く急いでいるんです!
離して下さい!」
「いやいや、このまま何も事件が起きなかったら『異世界テンプレ』じゃなくなっちゃうじゃないですか?」
「はあ? 何なんですか? 異世界テンプレって?!
意味がわかんないっ!
とにかく、わたしの手を離してよっ!!!」
美女は俺の手を振りほどこうと力を入れるが、俺は逃してたまるかとそれ以上の力で引き止める。
そんな中、それを見ていたチンピラ三人組のデブが言った。
「おいおい、お前さあ。
そのお姉さんが嫌がってるんじゃねえか?
もう変なこと言うのは止めて、その手を離してやれよ」
「違ーーーーーーうっ!!!
それは、俺のセリフだから、あんたが言っちゃダメだからっ!!!」
「たっ、助けて下さい! わたし、この人、全然知らないんですけど絡まれているんですっ!!!」
「ちょっ、待って!!!
これじゃ、俺が完全に悪役になっちゃっうんじゃないのっ?!
きっ、緊急ミーティングッ!!!
緊急ミーティングを要請しますっ!!!」
俺は、巨乳の美女とチンピラ三人組と緊急ミーティングを開いた。
しばらくして……。
俺「じゃあ、みんな準備は良いかな? もう位置について。
よしっ! それじゃあ行ってみよう。
シーン126 『路地裏通りのお約束2』
よーい、アクションッ!!!」
ここは、表通りからすると、少し陰りの見える路地裏通り。
そこをひとりの美しい女性が、少しだけ足早に帰路を進んでいた。
「ここは、お母さんから物騒だから通らないように言われていたけど近道なのよね。
だから、なるべく早く通り過ぎてしまいましょう」
そんな独り言を呟いた時だった。
「ようよう、姉ちゃん。何をそんなに急いでいるのかな?」
そこに、物陰から通りを塞ぐように現れたのは、チビ・デブ・ヒョロヒョロのいかにも悪党のようなチンピラ三人組だった。
つづく




