グレストル、ハンターギルド
深刻な顔をした者。バカにしたように笑う者。はなから話を聞いてない者。
グレストルのハンターギルドには数多くのハンター達が、よそのギルドから集まっていた。
武器一つとっても色々で、剣や弓といった一般的な物は当然としてチャクラムや鎖鉄球(モーニングスター)などの特殊武器。名前すら分からない長く折れ曲がった鉄の棒を持った者までいる。
そんななか、緑のクチバシのメンバーが中心に立って説明をしていた。
「とにかく、油断していると即死する」
「バカを言うな。どれだけの攻撃だというんだ」
「ゴザー」
メルトリゥに呼ばれたゴザーが盾を持って前に出てくる。
「この盾がバラバラに砕かれて四散するほどの威力だ」
本当はこの盾ではない。
この盾は太った全身鎧の錬金術師兼鍛冶師に作ってもらった物だ。
だが、少しでも大げさに言って気を引き締めさせようという狙いがあった。人間とは集団になるほど大丈夫だろうという意識が働く生き物なのだ。
「なるほど……それは凄い攻撃力だ。だが食らわなければどうということはない」
丸太のように太い腕を組んだ筋肉男がゴザーの盾を見ながら話す。
「確かにそう思う。それほどの攻撃力なら行動は遅いというのが一般的な魔物。しかしこの魔物は違う。とてもではないが攻撃が始まったのを見てから動くのでは間に合わない。間違いなく食らう」
「そんなに早くは無いだろう。緊張感は大事だが、さすがに脅かし過ぎだぜ」
本当に危険な魔物だとは思っている様子だが、メルトリゥが言うほどの魔物ではないと判断したようだ。
「僕達はしっかり伝えたぞ。攻撃間隔も異常に短い。1撃目を耐えたりかわしたりしても、2撃目はすぐだ。もちろん3撃目も。タメや予備動作も確認できなかった」
「魔法は使わないんでしょ?」
「多分、な」
魔法は使わない。
それだけでその場の緊張していた空気が緩まるのを感じた。
この世界の常識として、物理より魔法を使う魔物の方が脅威となる。
元々、耐久力が高い傾向にある魔物に攻撃力など高いまま、魔法も使ってくる事が多いからだ。
魔法を使わないというだけで、対策のしようはいくらでもある。
「とりあえず、現物を見て判断するとするか」
誰かが呟いたのを皮切りにギルドからハンター達が出ていく。
一応、全員抜け駆けして倒そうなどという気はないようだ。
伝えるべきことは伝えた、と緑のクチバシのメンバーもあとを続いた。




