武器屋!!
次の日、商業ギルドに許可証を返して、再度銀貨を1枚払って新しい許可証をもらった。
許可証は次の日になると効力が切れて光っていた文字が消えるようになっているようだ。
今日は鍛冶の依頼があるかもしれない、事前にある程度の準備をしておこう。
この世界に来て初めての武器屋だ。
最初ゲドルに案内された時に武器屋は案内されなかった。
別の区画になるだろう。
丁度商業ギルドにきているので、武器屋のおおよその場所を聞いておいたので、しばらく探せば見つかるだろう。
武器や防具を売る店は門の周辺に集まっているらしい。
今まで物乞いたちが目立って気づかなかったようだ。
「え……あ、はい。気づかれ、ませんでした?」みたいな事を商業ギルドの人間に言われた上でかなり変な顔をされてしまった。
さっそく向かってみると、確かに通りは武器屋っぽい家が多い。
煙突から煙が出ている家も多い。
なぜ今まで気づかなかったのか。
初めて見る異世界の家だからこれが普通の家だと錯覚していたのだろう。
店の中に入る。
ダガー、ショートソード、ロングソード、ラージソード、サーベル、シミター。パッと見ただけで色々な種類の剣を取り扱っている。
壁にかけられて見やすい剣、木の棚に並べて手に取りやすくなった剣、空き樽に無造作に突っ込まれた中古の剣。
防具も弓も槍もランスも置いていない。武器屋というより剣専門店だ。
店の中は鉄臭く、錆止め用に塗るのだろう油の匂いがしている。
「兄さん、でいいのかな? 得物は何を使うんだ?」
「ああ、えー……そうだな」
鍛冶に使う鉄鉱石なんかを探しに来ただけなので、正直剣はいらない。
だが、聞くだけ聞いて去るというのも礼儀がなってないきがする。
お金もあるし、安そうなものをもらおう。
「素材剥ぎ取りようの道具を探しに来たんだ。ついでにそいつで攻撃できれば完璧なんだが」
「なんだ……そんなナリで買ってくれるのは小物かよ。まあいい。こっちだ」
オレンジ色の肌。見た目は人族だが、明らかに何かのハーフだ。
首周りと肩、腕が強調されるタンクトップを身にまとい、凄まじい筋肉だ。肩なんか前と後ろで筋肉が割れている。なんだあれ。
若い筋肉に案内されて、短剣が並ぶスペースに案内された。
「どうする? 攻撃できるってのはこういうのもあるぜ」
手渡してきたのは持ち手にナックルが付いた短剣だ。
指の本数分へこませてあるグリップのやつで、ナックル部分には円すい状の小さな鉄の塊が付いている。
殴って刺してという特殊武器だな。正直見たことがないし、聞いたことがない。それほど武器に詳しいわけではないから暗器のようなものだろうか。ゲームの知識しかないからわからない。
「見たことがない武器だな。名前はあるのか?」
「ナックルダガーだ」
「聞いたことがない」
「だろうな。俺が作ったから」
お前が作ったんかい! と口から出そうになった。
ドワーフ……ではないだろう。もしかしたらドワーフとのハーフなのかもしれない。コイツも珍しい部類の人間だな。
しかし、これはまあ使えそうだ。
短剣の強みである持ち替えができにくくなる。
当然逆手持ちはできないし、ナックルが邪魔して簡単に装備を外せない。
だが、反面強い攻撃が来ても取り落とす可能性はかなり低くなる。
特に武器を買いに来たのではなかったが、欲しくなってきた。
「いくらだ?」
「お? マジで買ってくれるのか? そいつは金貨1枚だぜ」
……高い。まあいいだろう。今は金持ちだ。
「そうだ。鉄鉱石とかはどこに行けば手に入るか知っているか?」
「お? 隣に鍛冶屋があるだろう。そこで売ってくれるぜ」
隣に入れば無駄な出費をしなくて済んだのではないだろうか。
だがレアな短剣を手に入れたので良しとしよう。
次は隣か。
自分の作った武器が売れた喜びからかちょっとくたびれた短剣の鞘が付いた皮の腰ベルトをプレゼントしてくれた。
まあ……来てよかった。




