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出店

店を出すにあたって、一度確認したいことがあったので商業ギルドに向かった。


まず店に必要な商品がない。


なら、作ればいい。


家の扉が作れたのだ。木の彫り物ぐらいは作れる。


どうせなら店で作りながら売ろう。


それだけでは弱いし、金にならない。


ここはなんでも屋も同時に掲げていきたい。


これなら商品が無くてもどうにかなる。



「聞きたいことがあってきた」


「はいはい、なんでございましょう」



オシャレな片眼鏡かためがねをつけた、金持ちの匂いがする受付に声をかけた。


商業ギルドの職員はもうけているのだろうか。


今日もギルドは静かで落ち着いている。



「露店についてだが、店としてある程度の形が必要なのか?」


「と、いいますと?」


「例えばだが、床に敷物しきものいて、その上へ商品を置いて販売するというのはどうだろう」


「許可証さえ見えていれば、問題ではないです」


「よし、許可証をくれ」



銀貨1枚と商業ギルドコインを渡す。


わざわざ店などを用意する必要はないということだ。


これがまさに露店だろう。みすぼらしくは見えるだろうが。


石でできた許可証を渡された。


“光る間だけ有効”と書かれた文字が光っている。


明日になったら光らなくなるのだろう。


本来なら朝一番にきて許可証をもらった方がお得ということだ。


今回はお試しということで、儲けようと思っていない。


イメージを掴むために、どんな感じなのか確かめるだけだ。


商業ギルドから噴水広場に戻ってきた。


さあ、これで商売できる状態になったぞ!


相変わらず子ども達が走り回っている噴水広場に アーティファクト 布 を取り出す。クラフト系のゲームで防具を作るときに必要となるただの素材アイテムだ。


ちょっと広めなので端を折り込んで丁度いい大きさへと調整していく。


ぱっぱっとシワを伸ばして四隅よすみに石を置けば敷物しきものが出来上がった。


木の枝を取り出して地面に刺す。その上に許可証を吊るせば完成だ!


敷物しきものの上へ腰を下ろして、木材と道具を取り出した。


四角い板に自分で立つように足を作って“依頼をどうぞ”と書き立てかける。


商品が何もない状態では人も来づらいだろうから、作った緑の回復薬を5個並べる。結局使わなかったから丁度いい。売れるとは思えないが、在庫処分だ。


人を呼び込むわけでもない。黙々(もくもく)と木をけずる。


どういう物が売れるのかわからない。色々試そう。


木を手のひらサイズの球体に削っていく。さすがスキルレベル10だ。十分球体に見える。


しかしこのままではザラザラしているので、アーティファクト 研磨剤けんまざい と布を使ってツルツルにしていく。


……できた。命名 木の玉 だ! 木星のようで木とは思えない球体。持つと結構軽い。


ニスでも塗って光沢を出したいが、乾くまで数時間は待てない。このまま置いておくか。



「…………」


「…………」



さあ、次は何を作るか、と木材を手にしたところで子ども達が集まっている事に気づいた。


じーっと見つめている。いつから見ていたのだろうか。


走って遊ぶのにきて、物珍しい事をしていたから見に来たか。


裏路地の失敗があるから喜ばせて懐かれても面倒だ。このまま無視して作業を続けよう。

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