表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/120

初心者か?

「まだ1体も倒せてないぞ!」


 お、声が聞こえてきた。


 スタート画面にあったシステムに吹き替えという項目があったので日本語に設定したからか相手の声が日本語で聞こえるようで助かった。


 後はこっちの声がちゃんと吹き替えしてくれればいいんだが。


 若い子達だ。だ、大丈夫なのか? 心配になってくる年齢だ。13から16といったところか?


 マップで確認すると10体のプチプチとかいう魔物と戦っているのはわかっていた。


 うわープチプチかわいい。さわりたい。で回したい。


 白くてふわふわして丸い。俺がこの魔物に名前をつけるならウサギのしっぽだな。



「アナライズ」



 できるだけ小さな声で分析魔法を発動させた。



 名前 プチプチ


 レベル 1

 EXP 5

 HP 8

 MP 0

 力 4

 防 4

 魔 0

 速 3


 スキル なし



 うん、弱い弱い。これなら最悪この子らでもなんとかなるだろう。



「い、今、1体倒したわ!」



 おお、プチプチが1体燃え上がって地面に転がって動かなくなった。


 早速倒せたようだな。良かった良かった。



「す、スピードアップ!」



 前衛の子がダメージをかなり負っているのが遠目でもわかる。まだ敵は大半残ってるのだからどう見ても回復が先だろう。


 服のあちこちから致命傷ではない出血が見える。痛そうだな。



「な、何やってんだよ! 攻撃力を上げてくれ! 俺の武器じゃ何度か当てないと倒せないんだぞ!」



 攻撃力? いらないだろそんなもの。スピードアップもいらないが、受けてるダメージを考えたら攻撃力アップよりましだろう。


 まず回復だよ回復! 早く誰か回復してやれ!



「ご、ごめん! でも、この数は僕たちには無理だよ! 一度撤退するべきだと思ったんだ!」



 ……どうすることもできないならそれも正解だが。うーむ、いけると思ったけど無理だなこれ。こいつらさては初心者か? 連携もなんかたどたどしいし、ベテランについてもらったほうがいいぞ?


 オンラインゲームで最初に街から出る時に出口を間違えて強いモンスターが現れる方に行ってる初心者を見てる気分になってきた。



勘弁かんべんしてくれ! プチプチの集団に襲われて逃げた、なんてハンターギルドに知られたら俺たち全員仕事が受けづらくなるぞ!」



 ……あの年齢なら周りの目が気になっても仕方がないか。


 そもそも自分たちより数が多い魔物を一度に相手にしようというのが間違いだったな。


 最初は自分達のパーティーの数より少ない敵に戦いを挑むべきだ。



「あー!! ごめん! 魔法に失敗しちゃったわ!」



 魔法って失敗するんだ。そういえばゲームだと詠唱中に敵から攻撃されたりしたら中断されたりするやつもあるな。


 手から妙な黒い煙が発生している。なんだあれ。



「最悪……わたしの魔力、切れたっぽいわ」


「おまっ! マジか……よ!」



 魔術師、一人終了。


 装備から見ると近接戦闘型魔術師ではなさそうだし、完全にお荷物になっちゃったなあの子。



「し、仕方ないじゃない! 突然体のスピードが上がったんだもの!」


「ごめん! 僕のせいだ……」


「悪いが、今そんなこと言ってる場合じゃねぇぞ!」



 あー、逆に凄いな。


 剣まで折れるか普通。


 高々と折れた剣を掲げている。


 どれだけ運が悪いんだこの子ら。


 逃げる段取りぐらいして戦闘しないのかな?



「嘘! やば! 逃げるよ!」


「すまん! そっちにプチプチが4体回った!」


「わ、わぁ! くるなぁ!」



 アイテムないのか? 逃げる用の煙幕とかなんかそういう脱出アイテムは!


 何も準備してないのかよ!!


 プライド高いみたいだし、助けられたくないだろうけど……。


 あー、もうだめだな。助けよう。


 偶然、できるだけ本当に偶然来ましたけどってのを装って木の間から出ていく。



「大丈夫ならいいけど、もしかしてピンチ?」



 一瞬ビックリしたような表情でこちらを見た。


 驚かないようにしたかったが失敗したようだ。



「あ、ああ。 俺たちは9級ハンター、純人族じゅんひとぞくのゲドルだ。助けてくれると……くっ!」



 ハンター? 冒険者じゃないんだな。……どうでもいいか。


 わざわざ種族を言うのはなんなんだろうか。種族が多いから自己紹介で入れるのが普通なのかな? 俺も一応キャラクタークリエイト画面で見ると純人族らしいからそう言ったほうがいいのだろうな。


 9級がどのぐらいか知らないが、少なくとも上位クラスじゃないのは間違いなさそうだ。


 助けを素直に受け入れてくれて良かった。よほど危なかったのだろう。


 それにこっちの声がちゃんと吹き替えされてるようで助かった。



「あー、俺は……まあいいや。後で話そうか」



 そんなことより助けてやらなくては魔物は待ってくれない。


 俺は今フルプレートメイル以外に死亡ダメージを受けたときに身代わりになってくれる系のアクセサリしか装備していない。


 アクセサリは身代わり人形を10個装備できたから装備している。小さいからまだいいがフルプレートの内側の腰にぶら下がっている。その他に身代わりの指輪を指に一つずつ計10個、パッシブスキルで耐性がなかったスリ防止用の腕輪を装備している。レベル差があるからスられる心配は無いと思いたいが、この世界のルールがわからないので念の為。


 腰の人形が気持ち悪いと思うからフルプレートメイルを人前で脱ぐわけにはいかない。


 どれだけステータスやスキルが良くても何が起きるか分からないからな。命を大事にいくことに決めたのだ。スキルで物理も魔法も完全耐性になっててダメージを受けるとは思えないが念には念を。


 武器を装備してないから普通にステータスまかせで殴って倒してもいいが、この子らが苦戦した魔物を素手でボコボコにして、あまり目立ちすぎるのもよくないだろう。


 ここは……“アイテム”


 アイテム欄が目の前に開く。


 敵を動けなくするだけでいい。


 俺が強いんじゃなくて、強いアイテムなんだよって事で。


 後はあの子らにまかせよう。


 適当に捕獲できそうなアイテムを選択する。


 ○アーティファクト 虫取り網


 ……まあ、虫みたいなものだろ。ウサギのしっぽみたいだし。


 このアーティファクトというのは俺の持っているアイテム全てに付いている。


 意味がわからないので無視しているが。


 予想をするなら俺のデータの遺産だからかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ