表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/120

冒険者ギルド

冒険者ギルドのくたびれた木の扉が少し強めに開かれる。


荒々しい人も多く在籍ざいせきする冒険者ギルドではよくある行動のため、気にする人は誰もいない。


足早に入ってきた二人組は依頼の書かれた依頼板いらいばんへと一目散いちもくさんに向かった。



「無駄に多いな」


「この当たりは国じゃないから地図も少ないし冒険者が多いのね」



一通り目を通した二人は目当ての物が無かったよう、次に受付の立つカウンターへと向かった。


二人は何も言わず、ギルドコインをカウンターへと置いた。


口を開かない方がスムーズに話が進むことを知っているのだ。



「はっ…4級のグレム様とポロネ様ですね。ポテ帝国で受けられた依頼の報告でしょうか」



強い魔物が出現しないグレストルでは7級以上の冒険者が来るのが珍しく、受付の人間族の男は緊張した様子でグレムとポロネに向き直っている。



「それもあるが、重要度が全然違う情報を持ってきた」


「一応、ここの依頼板いらいばんを見たのだけれど、それらしいものがなかったので確認してほしいの」



ベテラン冒険者の、かなり緊迫きんぱくした様子に受付の男の顔色が悪くなる。



「高さが俺の体2つ分、巨体で真っ黒、目や口は確認できなかった」


「二本の手らしきものと、4本の足、体毛は無く、光を反射しているように光沢こうたくがあったわ」


「ちょ、ちょっと待ってください!」



あまりの早口な二人に受付か焦ったように、手元の紙に書きなぐる。


受付のレベルが他の国のギルドより低くイラつきを隠そうともしないグレムは舌打ちをする。



「み、未確認の魔物、ということでよろしいですか?」


「それ以外に何があるんだ!」


「ちょっとグレムやめましょう」



グレムがカウンターを強く叩いたためにザワついていたギルド内が静まり返る。


グレムを押しやったポロネが前に出た。



「攻撃的ではない、もしくは私達に気づいてなかったかわからないけれど、動きはなかったわ。それにこの辺りの魔物であるプチプチが大量に殺されていた」


「は、はい」


「それがこの街の近くの森で発見。その他の情報は不明。目撃情報を確認して」


「は、はい!」



慌てたように受付の男がギルドの中へと消えていく。


消えていく男の姿を見ながらポロネがため息をついた。



「この平和な空気から察して、あの魔物は未確認で間違いないな」


「ええ、あんなのが街の近くに現れてこんな平和に過ごせるわけがないもの」


「よそからハンターを呼ばないといけないだろうな」



グレムが腕を組みながら嫌そうな顔で受付の男が去っていった方を見た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ