表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/420

   七十服目 Play Back(16)


「あの道着の子……ブラジリアン柔術の使い手か?」


 タルカスの一撃を受けた事による腹痛がなんとか(おさ)まってきた頃。

 私は試合の様子を、カメラのリアルタイム映像で見ながら(つぶや)いた。


 しかし、ブラジリアン柔術は寝技中心で、突き技はなかったハズ。

 私が聞いたところによると、日本から南米に来た武術家が現地人に教え、そしてその現地人が改良に改良を加えてブラジリアン柔術はでき……その改良の過程で、突き技などが排除された、らしいが。


 道着の子の師匠であるボギー・ホーガンは……残念ながら知らないけど、まさかそのホーガンさんが、ブラジリアン柔術を本来の日本の武術寄りの格闘技に変えて作ったのが、あの道着の子の使う格闘技の正体か?


 だとしたらあの道着の子は、突き技も投げ技も関節技も使う私と同じ……万能型の格闘家か。


 もしもぶつかる事があったら、少々厄介かもしれないな。


     ※


「ほぉ、道着の子も面白かったが……チャイナ服の子の方も、面白い暗器を使っておったな」

「えっ!? 師匠分かったんですか!? チャイナ服の子の暗器が!」


 親父の師匠――クロードさんから覆面(ふくめん)を渡され、それを(かぶ)っているそばで。親父とクロードさんが試合を、立ち席から観戦しながら言葉を()わす。


「…………お前、気付かなかったのか?」

 クロードさんが親父にジト目を向けた。

「霧彦君はともかく、お前に分からなかったとは……はぁ。それでもお前、ワシの弟子か? いや、()()()()()()()()()()()()()()


 …………えっ? 格闘方面の弟子じゃない?


 俺はその言葉に驚愕した。

 ずっとクロードさんは、親父の格闘技の師匠だと思ってたのに……違ったのか。でも、だとしたらクロードさんは親父に、何を(さず)けたんだ?


「し、師匠……人には得手不得手がありますよ」


 親父は苦笑しながら返した。

 だがこめかみが痙攣(けいれん)しているところからして、少々頭に来ている……というのはさすがの俺でも分かった。だけど師匠が分かっている以上、弟子もある程度推測を立てられなきゃカッコ悪いぞ親父。


「……まぁいい」

 クロードさんは嘆息してから言った。

「あのチャイナ服の子はな、()()()()()()()()()()()()()()()()()


「なっ!? 前髪に……ッ! じゃ、じゃあ前髪を(いじ)っていたのは!?」


 親父が驚愕する。

 もちろん俺も驚愕した。


 まさか前髪に暗器を隠して、そして前髪を(いじ)る際にその指で極細の針を取って、相手と対峙していたなんて……っていうか今知ったけど、この大会って武器の使用が許されているのか!?


 クロードさんが気付いたくらいだ。

 きっと試合関係者の中にも気付いた人がいるに違いない。


 にも拘わらず、試合が続行されるだなんて……この大会、いったい(なん)なんだ!?


「あ、そうそう」

 しかし俺のそんな驚きを余所(よそ)に、クロードさんは飄々(ひょうひょう)とした調子の日本語で俺に言う。


「霧彦君には『ミスター・メシカ』というリング名で、飛び入りで参加してもらうからよろしくね♪」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まさかの前髪!? てことはスネ夫も!?(迫真)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ