三十九服目 怪氣学園S(15)
学園✕超能力
なんとなく、ねらわれた学園を思い出す。
無論、古い方だ(ぇ
――殴る。
――殴る!
――殴る!!
――殴る!!!!
不完全なる煙草の煙に紛れて襲撃してきた、清雲高校での一連の事件の実行犯達に対し、璃奈達は背中合わせの陣形を組み応戦した。
無傷とはいかない。
時には反応が追い付かず、攻撃を受ける事もあった。しかし彼女達は喧嘩などで場数をそれなりに踏んだ実力者。しかもカノアの使う煙草の煙の効果により、個人差はあれど身体能力がそれなりに上がっている。
「くそっ! こいつら強いぞ!?」
「不良ってだけの一般人じゃなかったのか!?」
「こうなったら超能力の方で……ッ!!」
ここに来て、ようやく売人達は璃奈達の異常性を認識した。
そこまでダメージを負っていない数人が、その場で両手、または片手を璃奈達へ向ける。
しかし彼らが、何かを成す事はなかった。
なぜなら何かが起こるその直前、璃奈と霧彦が事態に気付き、手を向けた者の内の半数を気絶させたからである。
「ッ!? 霧彦!?」
まさか幼馴染が同時に動いていたとは思わず、璃奈は驚愕した。
確かに霧彦は、校門での朝の身だしなみチェックの時に璃奈を注意しつつ、その周囲の生徒の身だしなみをチェックし、さらには校則違反者を引き留めるという、同じ人間とは思えない注意力や観察力がある生徒ではあるが、それだけのハズだ。
今回の救出作戦においては、霧彦のその注意力や観察力が役に立つんじゃないかと璃奈が考え、彼を呼んだのだ。喧嘩や格闘技の経験がある、などの話は聞いた事がない。少なくとも、幼馴染である璃奈は。
霧彦の方へと視線を向けると、超能力を使おうとした売人を床に転がしている彼がいた。
いったいどんな技を霧彦にかけられたのか。
目の前の相手に集中していたため、璃奈は残念ながら見れていない。
だが何にせよ、霧彦が得体の知れない実力者である事は、充分に理解できた。
※
一方で、霧彦の方も……敵を制圧した後に驚愕していた。
彼の視線は、自分と璃奈が相手にした敵がいた方向とは逆の方向に向いていた。
そしてその視線の先にいたのは、自分と璃奈が相手取った敵の倍の数の敵を無力化したカノアだった。
璃奈が、霧彦が何をしたのかを見れなかったのと同じく、彼も彼でカノアが何をしたのか……全ては見れなかった。
かろうじて見れたのは、最後の一瞬。
自分達の中で一番背の低い彼女が最後の相手の肩に、肩車の体勢になるよう飛び乗り、そのまま相手の首を捻り上げ気絶させたシーンだけだった。
――あれは……須藤政宗にやろうとしていた技か!?
そして目撃した瞬間、彼はカノアの転校初日に起きた事を思い出す。
彼女が自己紹介などで目立ったせいで、須藤達に絡まれた……あの時の事を。
カノアはあの時も、須藤の肩に肩車の体勢で座った。
もし須藤があのまま抵抗していたら、今の敵と同じ目に遭っていたのか。
そう思うと、霧彦はなんとも言えない気持ちになった――その時だった。
彼の脳裏に閃光が迸り。
そして……カノアのその勇姿がブレた。
「ッ!?」
それは、一瞬の出来事だった。
今は既に、元のカノアの姿に戻っている。
しかし霧彦の心には、先ほど、一瞬だけ現れた存在――カノアの姿と重なるようにして現れた少女の姿が。
龍を模したと思われるレスリング用マスク、そして女性のレスラーが着るリングコスチュームを身に着けた少女の姿がしっかりと焼き付いていた。
ここから賛否分かれていきかねん予感(ぇ




